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経営コラム SOLID AS FAITH 16周年記念特別号
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目次
はじめに
第1章:ソリタイカイタイ =ソリアズタイトル分析=
第2章:ソリタイの付け方
第3章:世の中的なタイトル付けの王道から評価するソリタイ
第4章:これがソリアズ最長/最短タイトルだ!
第5章:元弟子・現ステルス弟子による座談会
第6章:2015年度版 市川の選ぶ ソリタイベスト10
第7章:第1回ソリタイオタク度検定
おわりに
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はじめに
ソリアズをご覧の皆様、はじめまして。このたび16周年記念特別号の執筆を
担当します、キラ店格Laboの吉良悠子と申します。「サービス店舗専門の店舗
診断屋」として事業を展開すべく、市川の下でステルス弟子として修行を始め
ました。
ステルス弟子、別名もぐり弟子。従来のカバン持ちと違い通信教育形式で指
導を受けているためそう呼んでいます。ちなみに、市川のアメリカ留学時代の
あだ名は「ステルス爆撃機」。授業ではほとんど発言せず(できず)、米国人
学生からすると全く存在感がないのに、テストでは高得点をあげ、ぶっちぎり
で進級していく様子がその名の所以。元「ステルス爆撃機」と現「ステルス弟
子」との異例の師弟関係。しっかり学び取り、確実に事業を進めて参りたい所
存です。どうぞ、お見知り置き願います。
さて、1999年10月31日の創刊以降16年間、毎月10日・25日の月2回、市川が
休まず発行してきたメルマガ『経営コラム SOLID AS FAITH』、通称ソリア
ズ。今やそのタイトル数はシリーズタイトルも含めると約400本にものぼりま
す。届いたメルマガの本文タイトルを見ては内容を想像し、本文読後すぐその
意味が分かる時もあれば、そこから謎解きが始まることもソリアズ読者の皆様
なら経験済みかと思います。
本号ではテーマをソリアズタイトル(以降ソリタイと呼ぶ)に絞りました。
第1章?第3章ではソリタイを俯瞰します。特徴、頻出言い回しパターンなど
独自に分析し、市川にタイトルの付け方をインタビュー。さらに世の中的なタ
イトル付けの王道からソリタイを評価します。第4章では最長・最短タイトル
の意外な共通点が明らかに。第5章以降、市川と私を繋ぐキーパーソンとイミ
フタイトルをテーマに座談会、10年記念特別号以来6年ぶりに市川が選ぶタイ
トルベスト、おまけ企画のソリタイオタク度検定と続きます。稚拙な文章では
ありますが、お楽しみいただければ幸いです。
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☆注意:お読みになる際には、枚数がかさみ恐縮ながら、プリントアウトの上
お読みになることを、心よりお勧め申し上げます。
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第1章:ソリタイカイタイ =ソリアズタイトル分析=
早速、ソリタイの解体に入ろう。
<ソリタイ=体言止め>
「タイトルの体言止め」は、市川がメルマガ創刊時に決めたルールの一つで、
その後現在に至るまでタイトルに関して明言されている唯一のルールである。
遵守率を確認すべくソリタイの分法的構成分析を試みた。「一単語」、「修飾
語+名詞」、「名詞+名詞」などの型に分かれつつ99.75%と言う頑ななまでの
体言止め。残り0.25%、つまり、400本中たった1本だけがルールを破っている。
それは、2008年8月25日発行の『ラスト・ラスツ』。この破戒について市川は
本編開始前に早々に弁解している。
「英語なので分かり難いですが、ソリアズ発行以降初めて「体言止め」のタイ
トルルールを破った号です。タイトルをつけてから、「ああ、ルールを破っ
ちゃった」と気付いたのですが、音の響きが良いのと、英語だから目立たない
かと言うことで、敢えてそのままにしました」
なるほど目立たない。『ラスト・ラスツ』(Lust lasts)は「名詞+動詞」
という構成。「強い欲望,切望,渇望」を意味するlust。「続く、持続する、
存続する」という意味の自動詞lastに三単現のsがついてlasts。直訳すると
『欲望は続く』。インセンティブによる動機付けの難しさについて語られてい
るこの話では、人間の「欲望」を「儲けさせてくれもすれば、破滅させもする
魔物」と表現し、それは永遠に滅ぼすことができないという。ゆえに上手に付
き合うべきであると。まさに『ラスト・ラスツ』。なんともお洒落なタイトル
だ。こちら市川もお気に入りで、10周年記念特別号では「筆者によるタイトル
ベスト20」に入選している。
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第206話『ラスト・ラスツ』
http://tales.msi-group.org/?p=283
10周年記念特別号 後編
http://tales.msi-group.org/?p=362
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<ソリタイ×カタカナ>
ソリタイを一覧すると、カタカナがちらほら見受けられる。カタカナを含む
タイトルの割合を調べると、結果は約18%。その多くは、日本語表記ルールに
則り外来語をカタカナにしたもの。一方、日本語を敢えてカタカナ表記してい
るものも、カタカナ含有タイトルの15%程度(ソリタイ全体の2?3%)存在する。
一例として『フカフカのショッカン』、『フダンのコシ』。カタカナを使わ
ないと前者は『付加不可の触感』となる(200話発行特別記念号 第六弾の第4
章「200話までの道のりを振り返る ?自己満足的タイトル解説?」参照)。
後者は少し複雑で『不断(=普段)の腰(&虎視)』と記号を要する。これは
敢えてカタカナにすることで、言葉に複数の意味を持たせている例である。こ
れもまた実にお洒落である。
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第103話『フカフカのショッカン=足元の発見(1)=』
http://tales.msi-group.org/?p=154
第179話『フダンのコシ』
http://tales.msi-group.org/?p=233
第200話発行記念特別号 第六弾
http://tales.msi-group.org/?p=278
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<ソリタイ×人力テキスト・マイニング>
ソリタイに対して人力テキスト・マイニングを試み、頻出言い回しパターン
を割り出してみた。
第1位 『?的○○』(8タイトル)
『縁故的予定調和』(第17話)、『持続的全体主義』(第72話)、『対律止揚
的見解』(第74話)、『開放的認識』(第102話)、『効率的電話』(第131
話)、『一般的広範囲』(第138話)、『家電的経営』(第149話)、『相対的
巧手』(第245話)
同率第1位 『?ない○○』(8タイトル)
『かけがえのない財産』(第20話)、『果てしない戦地』(第76話)、『抜け
ない毒矢』(第96話)、『乗れない仕事』(第97話)、『逃げない象』
(第120話)、『地図にない水路』(第236話)、『解せない記号』
(第263話)、『足りない盛り付け』(第330話)
第3位 『○○の?化/○○?化』(7タイトル)
『思考の羽化』(第245?248話シリーズタイトル)、『無知の商品化』(第115
話)、『脊椎の退化』(第135話)、『池水浄化』(第172話)、『反復強化』
(第185話)、『時の結晶化』(第219話)、『役員の有能化』(第219話)
第4位『?仕事』(6タイトル)。第5位『?夢』(5タイトル)。第6位以降は、
「記憶」「常識」「生活」を含むものが4タイトルずつと続くものの、400本中
4本ということはこの時点で全体の1%ということ。既に頻出と言うには苦しい
状態となり、ソリタイのバリエーションの豊かさを象徴する結果となった。
さて、同率第1位の『?的○○』の『的』は中国語で“の”の意味。とする
と、これは前述の「名詞+名詞」の典型的パターンの亜種と考える方が良いか
もしれない。注目されるのは、ある意味、平凡な名詞の接続のパターンの亜種
の「?的○○」と同じぐらいに頻繁に、『?ない○○』が使われていることだ
ろう。これを市川の旺盛な批判精神の発露と考えるのは穿ち過ぎだろうか。
第3位『?化』の方は、“効率化”、“合理化”、“多能化”などはもちろん、
“スリム化”や“見える化”など、経営用語で頻繁に登場する表現なので、登
場自体は不思議ではない。しかし、経営のことを扱っていながら、これらの用
語は一切ランキングに登場していないところが、一筋縄ではいかないソリタイ
の特徴そのものである。
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第2章:ソリタイの付け方
ソリタイはどのように付けられているのだろうか? その真実を探るべく市
川にインタビューで迫った。
Q. タイトルの付け方の具体的な手順を教えてください。
A. タイトルを付ける時は「本文が何かに例えられるか」を常に考えます。
『ヘイスタック・ネイル』(第169話)、『有り触れたラムネ瓶』(第217話)、
『現実の蟻穴』(第16話)などは、ネタ帳や本文を書いている最中からあった
タイトル候補がそのままタイトルとして採用された例で、内容のイメージが始
めから鮮明でした。扱うテーマが明確なシリーズタイトルも本文より先にほと
んど決まります。(イメージ先行型)。
本文完成時にタイトル未定の場合、書き上げた文章を眺めて何かに例えられ
ないか考えます(イメージ後付け型)。『ラスト・ラスツ』(第206話)、
『空ろな鳩穴』(第36話)など、結構あります。もじり系のタイトルが発生し
やすいのもこのパターン。『積木遊び』(第214話)、『パーチェス・レップ』
(第259話)、『曇天の霹靂』(第351話)など。
しっくりくる例えが浮かばない場合、『22年間の18時』(第280話)のよう
に本文の中に入っている言葉や内容を直接タイトルに引用することもあります
(直接型)。とはいえ、あまりにも本文に対して直球すぎるのは抵抗あるため、
極力何か一捻り入れるよう心がけます。例えば、シリーズ『ワン・エイトゥス・
ワンダー』。「時間」「頻度」「人数」という切り口から社内勉強会の在り方
を言及する3話ものですが、タイトルは各々英語にした時の頭文字を取り『Tの
考察』『Fの考察』『Nの考察』(第339?341話)と付けました。
Q. タイトルを先に決めて書く割合はどれくらいですか?
A. 実はネタ帳時点では7割方タイトルが付いているのですが、多くはエピソ
ードを多少書き換えた結果相応しくなくなるとか、ネタの合併などで淘汰され、
最終的に書き上げた本文まで残りません。ネタ帳から残って付いたタイトルは
ソリタイ全体の1割にも満たないものと思います。
Q. 「タイトルの体言止め」以外に、暗黙のルールはありますか?
A. 「続・?」はありだけど、「続々・?」はやらない。基本的に続編というの
は、元の文章の続きというより、その進化系という位置付けです。テーマに関
する見識や経験値が増えた結果、以前の考えを補足・補正したりしたものです。
例えるなら元々の内容に修正パッチを当てるイメージ。「続々・?」になると
つぎはぎだらけでかっこ悪い感じがするので、その時は敢えて別のタイトルを
付けます。
Q. ソリタイには幅広い分野の言葉が引用されていますが、タイトルに付ける
言葉を選定する際に頼る辞書など補助的なツールはありますか?
A. これといってありません。そもそもタイトルのための言葉は外へ探しにい
きません。どちらかというと自らのおぼろげな記憶を含めた知識のストックか
ら掘り起こすイメージです。選んだ言葉の妥当性はググって検証します。
タイトルには今までに読んだ文学作品からの引用も案外多くあります。『猟
師の常識』(第191話)は小泉八雲の『常識』から。『未明の野菜』(第114
話)は島崎藤村の『夜明け前』の世界観を意識し、敢えて言葉を「未明」に変
えています。他にも映画や音楽、アーティスト名など身近なものからの引用も
多くあります。
Q. 経営コラムであるにもかかわらず、タイトルに経営用語そのものがほとんど
用いられていないような気がしますが、なぜでしょう?
A. 中小零細企業のオーナー社長にとって、経営とは人生そのものです。経営論
イコール人生論。人生の延長線上にある経営だからこそ、敢えて経営として語
りたくない。これを「日常目線」と私は呼びますが、中小零細企業で必要とさ
れている経営とは、突き詰めれば凡事徹底、しつけ、常識といったもの。それ
を敢えて小難しい経営用語で語るのではなく、身の丈サイズの当たり前の教訓
に落とし込んでいくことに意義があると考えます。
Q. タイトルを付ける上で一番のこだわりといったらなんでしょうか?
A. わずかな「違和感」を敢えて残すこと。狙うは「快い違和感」をタイトルに
持たせるとことです。先ほど「日常目線」が大事と言いましたが、タイトルそ
のものは敢えて日常の言葉では収めない。簡便性や分かりやすさっていいので
すが、平凡になり易い。余計なものこそが付加価値だと思います。タイトルを
みて「?」と感じていただき、その後本文を読むと、タイトルの違和感が良い
驚きに変換されるというのが理想。そのためにも、ありきたりでない、一見飲
み込みにくいタイトルを目指しています。
Q. タイトル付けで苦労したエピソードがあれば教えて下さい。
A. 熟考の甲斐無く、時間切れで嫌々付けたタイトルのまま発行した号が二つ
あります。『身近な漁業』(第63話)と『虚弱と悪手』(第101話)。平均的
な出来のタイトルが0付近で分布されているとしたら、この二本はそれぞれ
-100点と-101点。ダントツに嫌です。前者は、本文の構成の練りの足りなさを
タイトルで補いきれなかった感がずっと残っています。後者は、直接型ですが
あまりにも安直すぎて、『虚弱』と『悪手』に何ら関係性が無いというのも気
に入りません。ただ、どちらも中身(ネタ)は嫌いではありません。
Q. ソリアズにおけるタイトルの役割とはなんでしょう?
A. ソリアズ本文の典型的構成は、二つのエピソードを並べ、そこから浮かび
上がる共通点を言及するというもの。タイトルには両エピソードを串刺す役割
を求めます。串刺してエピソードを繋げたり、包み込んだり、弁解したり、補
正したりする。一見関連性のなさそうな二つのエピソードに共通する世界観を
タイトルで体現できればベストです。
<インタビューを終えて>
ソリアズというメルマガでありながらも一種芸術的な作品群。市川は、ソリ
アズのタイトル付けは抽象画にタイトルを付けるようなイメージに近いかもし
れないという。本文を読み解く上での手がかり、読後の理解を助けるような含
蓄のあるもの。確かに抽象画のタイトルとソリタイ、共通点が多そうだ。
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第3章:世の中的なタイトル付けの王道から評価するソリタイ
ソリタイの分析はまだまだ続く。本章では、ソリアズのタイトルについて世
の中的なタイトル付けの王道からの評価を試みる。
<前提>
ここで今一度、ソリアズのタイトル構成を整理しておく。ソリアズの中でタ
イトルを呼べるものは実は以下の3種類存在する。
1. 『経営コラム SOLID AS FAITH』
「まぐまぐ!」発行申請時に登録されたメルマガのタイトル。市川のブログ
「MSI-TALES」内ではカテゴリー名として扱われる(注:『経営コラム solid
as faith』…ブログ作成当初のテクニカルな問題からアルファベット部分が
小文字になっているという誤差はある)。
2. 『SOLID AS FAITH yyyy/mm/dd』
件名(サブジェクト)。メルマガを発行して読者に送信する際、メールの件名
として扱われるタイトル。例『SOLID AS FAITH 2015/06/25』。
3. 『号数 号タイトル (=シリーズ名=)』
メルマガ的には本文の一部とみなされる部分。ブログ「MSI-TALES」において
は、ブログタイトルの位置付け。例『370 無敵のスペック =これからの
生活=』。本稿では、この号タイトル及びシリーズ名をソリタイと呼んでいる。
<評価基準>
今回ものさしに用いたのは、各分野で書店に平積みされていた以下の3書籍。
評価ポイント及び対象と共に紹介する。
■『儲かるメルマガ』 田渕隆茂著
“メルマガ”として、メルマガのタイトル、件名の評価
■『儲かるアメブロ』 田渕隆茂著
“ブログ”として、MSI-TALESのブログタイトルであるソリタイを評価
■『凡文を名文に変える技術』 植竹伸太郎著
“文章としてのコラム”として、ソリタイを評価
<メルマガ的評価>
田渕隆茂著『儲かるメルマガ』によると、メルマガのタイトルは、どんなこ
とが書かれているのか、読むとどんなメリットがあるのか、タイトルをみただ
けでビシビシ伝わってくる必要があるらしい。ソリアズのメルマガタイトル
『経営コラム SOLID AS FAITH』。「経営コラム」の部分でかろうじて内容を
示唆するものの、どんなことが書かれているか、読むことのメリットは、全く
ビシビシ伝わってこない。
続いて件名。同書によると、「件名(サブジェクト)」は「記事に何が書か
れているのか?」が気になり、思わずクリックして開封したくなるようなもの
がよいという。ソリアズの件名は『SOLID AS FAITH yyyy/mm/dd』という形式。
記事に何が書かれているのかは確かに開けてみないと分からないが、同書の意
図する興味を引くタイトルとは全く異なる。
<ブログ的評価>
田渕隆茂著『儲かるアメブロ』よりチェック項目を引用し、市川のブログ
「MSI-TALES」のブログタイトルであるソリタイを評価した。魅力的なブログ
タイトルの付け方として同書では以下の4項目を列挙する。「0.5秒で分かる
か」、「ひと言で言えるか」、「キーワードを入れること」、「クリックした
くなるタイトル」。残念なことに何一つソリタイに合致しない。
続いて、ダメなブログタイトルも4項目紹介されている。「意味が分からない
タイトル」、「英語などの外国語を使っているタイトル」、「情報が少なすぎ
るタイトル」、「キーワードが少ないタイトル」。なんと、こちらは恐ろしい
ほどにソリタイに合致する。
<コラム的評価>
植竹伸太郎著『凡文を名文に変える技術』では、魅力的なタイトルの付け方
を「ありきたりでなく」「本文からとるのが原則」「要約にならないように」
の3項目でまとめる。
ここで第2章のインタビュー結果を振り返り、評価したい。まず、「ありき
たりでなく」は合格。市川はありきたりでないタイトルを付けることで、読者
にわずかな「違和感」を敢えて残すことにこだわる。次の「本文からとるのが
原則」は△。タイトル付けでは本文が何に例えられるかを常に考えるが、本文
内キーワードの直接引用は稀であり読後のタイトル理解は多少難易度が高い。
最後の「要約にならないように」は合格。タイトルの違和感を読後のよい驚き
に変換することを狙っているだけあり、ソリタイで結末を知らせることはまず
ない。
<結論>
ネット系のタイトル付けという観点では完全に王道から外れてしまっている
ソリアズだが、“文章としてのコラム”として考えると、ソリタイまあまあ許
せるのではないだろうか(上から目線でゴメンなさい)。
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第4章:これがソリアズ最長/最短タイトルだ!
2015年現在、日本一長い駅名(表記文字数)は「東京ディズニーランド・ス
テーション駅」及び「リゾートゲートウェイ・ステーション駅」。日本一短い
駅名は「津駅」だそうだ。何でも一番が何か知りたくなるのは人間の性だろう
か? ではソリタイは? 最長は20文字の『ネガティブ・ハッピー・カスタ
マー・エッジ』(第363号)、最短は2文字の『桿体』(第273号)である。本
章ではこの2話のタイトル由来に迫る。
<最長タイトル『ネガティブ・ハッピー・カスタマー・エッジ』>
イメージ後付け型と推測される本タイトルは、映画『ネガティブハッピー・
チェーンソーエッヂ』のもじり。本文では終始某航空会社とのエピソードが続
く。CRMを負の方向に使っているのではないかと疑念を抱かせるまでの今まで
受けた数々の不当な扱い、航空会社への問い合わせに対して逆CRMの存在を否
定しないとも取れる回答。
一見、単なるクレーマーの愚痴とも捉えられそうな文章だが、全体を読んで
はっとする。理由は正に冒頭紹介文の通り。幸せと感じるか否か、決めるのは
他でもないお客様自身。満足度向上の施策が、想定とは別の印象を与える材料
になっていたら? 真のお客様満足を追求するためには、負の感情を抱いてし
まったお客様が向ける刃にも、目を背けてはならない。そんな教訓が導き出さ
れる一話である。
<最短タイトル『桿体』>
「かんたい」と入力し変換キーを押してもリストに並ばないこの単語、目で大
きな役割を果たしている視細胞の一つ「桿体細胞」に由来する。視細胞には
「桿体細胞」と「錐体細胞」の2種類があり、この2つの視細胞で明るい暗い、
物の形や色を認識している。「桿体細胞」は弱い光を感じ取る細胞。明暗や物
の形は認識できるが、色は識別できない。一方、「錐体細胞」は、明るい所で
主に作用する。色を認識することはできるが、強い光がなければ反応しない。
本文は、敢えて目立たず地味な策を重ねる、市川と当時の市川のクライアン
トであるインド占星術師の、二つのエピソードからなる。両氏が各々の立場で
マス・マーケティング手法を採用する業界の有力者から批判される構図の対比
が面白い。結びでは、市川の尊敬する物流コンサルタント花房先生がメルマガ
で「マス・マーケティングは怠け者の商法でした」といい、肌理細やかな経営
の姿を説かれていることが紹介される。
派手なマス・マーケティングの手法が当たり前だと思っている人々は、派手
なモノしか見えない。逆に地味で薄暗い中ではっきりしないような手法を重ね
るには、それが見える目(=桿体)を持つ必要がある。桿体を持てば、錐体し
か持たない人間には理解し難い、零細ビジネスの商売のからくりがはっきりと
見える。桿体的立場で向き合えば、お客様が本当に必要としていることに敏感
になれる。桿体を持って、お客様に満足いただける肌理細やかな付加価値を提
供することこそ、零細ビジネス事業者の強みでありミッションであると考えら
れる。私も自らの「桿体」に磨きをかけねばと気が引き締まる一話である。
ソリアズ最長タイトル『ネガティブ・ハッピー・チェーンソー・エッジ』、
最短タイトル『桿体』、偶然にもいずれも「顧客満足」について考えさせられ
る号だった。
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第363話『ネガティブ・ハッピー・カスタマー・エッジ』
http://tales.msi-group.org/?p=743
第273話『桿体』
http://tales.msi-group.org/?p=441
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第5章:元弟子・現ステルス弟子による座談会
『このソリタイぶっちゃけイミフでSHOW!! 』
本章は、市川の元弟子である、会社の現場監督合同会社代表 市場真理子と
私が座談会形式でざっくばらんにソリアズと市川について語り合う企画。市場
と私は元々高校の同級生。スキー部の紅二点で苦楽を共にした仲(市場は途中
空手部へ転身)。卒業後十数年音信不通だった二人がfacebookで再会したのは
2年前。昨年、市川も講師を務める市場主催「ママ起業家養成講座」を私が受
講したことからリアルな交友も再開。今では良き先輩兼仕事のパートナー兼友
人。そんな元弟子・現ステルス弟子二人の座談会、題して『このソリタイぶっ
ちゃけイミフでSHOW!! 』。どうぞお楽しみください。
吉良「今日は宜しくお願いします」
市場「こちらこそ。なんか変な感じ」
吉良「確かに。でも始めます(笑) 今日のテーマ「ソリアズのイミフ(意味
不明)タイトル」として、選んでくれた5タイトル中、『桿体』(第273話)、
『開口譚』(第334話)、『対律止揚的見解』(第74話)は、私もイミフフラ
グ立てていた」
市場「『桿体』はまず読めない。初めて見た漢字」
吉良「読めても普通の人は意味が分からない。私達が著しく漢字を知らないだ
けだと恥ずかしいので周りにも確認したら、皆首を傾げ、辛うじて読めた人も
意味までは」
市場「本文読んでもなぜこの言葉につながるのか、分からなかった」
吉良「それは今回の特別号の第4章にまとめているから、是非読んでみてね」
市場「分かった」
吉良「『開口譚』の「開口」はオープニング? 「譚」は物語? 始まりの物
語?」
市場「あ、そうなの? 実はこれも最後まで分からず(笑) 本文の内容はす
ごく理解できる。スキルマップは私の得意な処方箋だし。感覚的には『開口譚』
=「レベル1」かと。勉強会・スキルマップ作りという終わりの見えにくい物
語のオープニング。「レベル1」さえ乗り切れば、あとは自動操縦も可能」
吉良「そんな意味なのか」
市場「あ、でも市川さんに確認してね」
吉良「了解。『対律止揚的見解』は? アウフヘーベン?? ヘーゲル弁証
法!? 分かる?」
市場「内容はなんとなく分かる。でも見慣れない漢字。”対律止揚”で
ググったら、何故かエヴァが出てきてガーン! 修行時代を思い出した」
吉良「エヴァって、エヴァンゲリオン?」
市場「そう! 修行時代にDVD全巻を丸二日貫徹で観た記憶が蘇る」
吉良「何の修行だっけ?」
市場「お客様との会話で生きてくるのよ。エヴァ好きのお客様って結構多い。
当時仕事でよくお邪魔していたパチンコ屋さんにもエヴァの台があって、会話
についていけるようになった。それからエヴァで人を救ったことも!」
吉良「エヴァネタになって固まっちゃった研修会社の営業さんを救ったのだっ
け?」
市場「そうそれ。エヴァのタイトルもだけど、いろんな世界観を持っていてこ
そ気付けるところ、ソリアズと似ているなって思った!」
吉良「よし、私もエヴァ全巻観る! 『対律止揚的見解』の内容とは全く関係
ない話になってしまったが、ま、いいか(笑) 次、『斜陽の樹影』(第200話
記念号)って、真理ちゃんが書いたシリーズよね?」
市場「そう! タイトルをイメージで捉えていて、市川さんの説明を受けてう
ーんと唸った記憶がある」
吉良「私これ高校のポプラ並木が夕日に照らされて影が伸びてグランドに映っ
ている風景が浮かぶ」
市場「同じ! 斜陽の樹影は実際その風景のこと。このシリーズのモチーフは
『下流志向』でしょ。「斜陽」っていうのは下流志向の若者たちの落ちていく
様子で、樹影の「樹」は実は筆者の内田樹さんのこと。彼の指摘が鋭く刺さる
みたいな話だったかと」
吉良「真理ちゃん、シリーズ最終回でタイトル解説している」
市場「本当だ…これこれ! 深いでしょ!」
吉良「でも、イミフ?」
市場「うーん、解説なしに気付ける人どれだけいる?」
吉良「確かに、難易度高し!」
市場「これに限った話じゃないけど(笑)」
吉良「そういえば、意外だったのは『陶酔の営み』(第46話)。これもイミ
フ?」
市場「厳密にはイミフではないけど、なぜこのタイトルに行き着くか? そこ
が市川さんらしいと思う号」
吉良「ん?」
市場「営みって、色んな意味含まれているんじゃないかと思って」
吉良「経営以外にも?」
市場「多分。市川さんはソリアズのタイトルに、三つくらい意味を込めている
ように思えてならないのよね。一つは表面的な意味合い。二つ目は含蓄」
吉良「そう聞いている」
市場「三つ目は、市川さん本人とよほど親しい人のみが‘ニヤリ’と思えるよ
うな暗号的な意味合いを含めていることがあるのでは?」
吉良「『陶酔の営み』にも?」
市場「なんとなく。暗号だから確信ないけど、あの「営み」も含まれていそう」
吉良「あの営みって?」
市場「あの営みはあの営み。市川さんに聞いてみて」
吉良「う?ん、聞けなそう。ていうか、今このタイトル私のイミフリスト入っ
た(笑) でも、結局ソリアズってスルメ的ってこと?」
市場「スルメ? かな? まあ、先輩としてアドバイスすると、仕事や市川さん
の人柄を理解してくると、これ本当はこんな意味じゃないかなと自分的な意味
付けや、裏の面・新たな一面が見えてくるはず。そこに面白さや仕事の意義を
感じられるようになったら、そうね、スルメ的な楽しさになるよ!」
吉良「噛めば噛むほど?」
市場「うん。久々に遡ってソリアズ読み返したら、同じ話でも今だから内容理
解できたり、納得できることが多かった」
吉良「さすが!」
市場「とはいえ、まだソリアズ100%読み解く自信はなし。今日話した内容も
怪しいから、師匠に確認お願いね。まだまだ勉強することいくらでもあるね」
吉良「了解。私も勉強頑張って、自分の分野だけでも早く市川さんの脳内シミ
ュレーションできるようにならなくては!」
<座談会後記>
座談会原稿を握りしめ市川の元へ答え合わせに。座談会内の話は実情にかす
りもしないとのことで、なんとなく納得してしまった『開口譚』、うっかり本
題そっちのけでエヴァンゲリオン話に花を咲かせてしまった『対律止揚的見解』
について、市川より正しい解釈を教えてもらった。
『開口譚』 http://tales.msi-group.org/?p=674
開口端のもじり。開口端とは共鳴を起こす道具の中で、端っこが空いていて、
共鳴を響かせられる波動を拡散させる形状のもの。スキルマップのレベル1だ
け作っておいて、レベル2は1を作ってから様子見で作る位置づけ。「スキルマ
ップの高いレベルの端っこを開けた状態を放置することを勧めている話」なの
で、“開口譚”。必要になるまで、敢えて先の話を決めないでおくと言う発想
自体がこの号のテーマである。
『対律止揚的見解』 http://tales.msi-group.org/?p=124
文中の陰陽思想とヘーゲルの提唱したアウフヘーベン(止揚)という概念は
実質同一。Aと言う選択肢もBと言う選択肢も両方ほしい(選ばざるを得な
い)、しかし、両方を同時に手に入れることはできないと言った状況で、どち
らの問題も矛盾なく解決する次元の違う解を手に入れることで、全体を一段高
い状態にするということ。文中の後半、ただの労働者は、賃下げか労働者の仲
間を切るかの選択肢を迫られている。その次元の違う答えは、つまるところ、
「経営者視点を持ち、奴隷の発想をやめる」こと。この構造が対律止揚的なの
である。
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第6章:2015年度版 市川の選ぶ ソリタイベスト10
記念特別号で過去4回実施済みの市川によるタイトルベスト企画。前回の10
周年特別記念号から丸6年たった今、市川の選ぶソリタイベスト10とは? 過
去のタイトルベストにてランキング形式は最初の一回のみ。ソリタイに迫る本
号では、敢えて順位付けもしてもらった。
<結果発表>
第1位 第226話『天国の蛹』
http://tales.msi-group.org/?p=338
ダンボールの中にいる蛹は羽化するのか? 夢を見ているのか? 本文で描い
たシーンをバシッとタイトルで表現でき堂々の第1位。
第2位 第331話『臆断の虜囚』
http://tales.msi-group.org/?p=636
因習にとらわれて合理的になれない人々をニーチェは「臆断の虜囚」と批判し
た。実存主義を勉強した市川がソリアズ創刊からずっと使いたかったタイトル。
内田樹氏も著書で引用したことも刺激となった。
第3位 第114話『未明の野菜』 *
http://tales.msi-group.org/?p=165
過去2回のタイトルベストでも入選。本文にある下請け会社のビジネス・モデ
ルを持つ市川のクライアント企業でも人気のタイトル。
第4位 第335話『兵の夢』
http://tales.msi-group.org/?p=645
松尾芭蕉の名句「夏草や兵どもが夢の跡」に由来。凋落していく企業の儚さを
タイトルで表現。
第5位 第280話『22年間の18時』
http://tales.msi-group.org/?p=455
読む前には「なにこれ?」と言う感じでなぞかけ的であり、読むと、内容のド
直球ぶりをさらりと表現したスタイリッシュさがあるタイトル。
第6位 第362話『大人のサンタクロース』
http://tales.msi-group.org/?p=742
タダでプレゼントをもらえるのは子供だけ。大人のサンタクロースなどいない
と「引き寄せの法則」を批判。
第7位 第294話『もどかしい存在』
http://tales.msi-group.org/?p=488
世の中のタイトルにあまり登場しない「もどかしい」という単語を採用。
第8位 第154話『雨滴の気配』 *
http://tales.msi-group.org/?p=207
10周年記念特別号に引き続き入選。勉強会の効果の表れ方を的確に表現したタ
イトル。この表現を用いて説明すれば皆すぐに理解してくれる程、例えのはま
り感は半端ない。
第9位 第 59話『よほどのこと』 *
http://tales.msi-group.org/?p=101
過去2回のタイトルベストでも入選。「もどかしい」同様「よほど」もあまりタ
イトルで見かけない単語。日常でよく使う「よほどのこと」の余程さを再認識
した一話。
第10位 第292話『マソキズム』
http://tales.msi-group.org/?p=485
サディズムの反対語。サドの反対語がマゾは当然知っていたが、サディズムの
反対語は分からないということにタイトルを付けるタイミングで気付いたそう。
* 過去タイトルベストで取り上げられたもの
<インタビュー:タイトルベスト10を振り返って>
Q.今回選出されたタイトルは割と最近のものが多いようですが?
A. ここ100号くらいに限って言うと、タイトル付けに関しては肩の力が抜けた
感があります。悩む号が確実に減っています。同時に、気に入るタイトルも
200後半の号からは増加傾向です。本文に関しては相変わらず肩の力は抜けて
いないのですが、テーマを絞り込んでピンポイントでシーンを描くことが多く
なり、文章全体の抽象度が低くなっているのだと思います。それもあって、タ
イトルもすんなりと決まることが多くなりました。
Q. 200号後半くらいからとのことですが、転機となる何かがありましたか?
A. これといったイベントがあった訳ではないですが、その頃からあまり周り
を気にしなくなったのではないかと思います。以前はメルマガへフィードバッ
クをくださる方が多く、「あれはどうかな?」「これは書いたらまずいか
な?」と結構色々気にしていました。幸か不幸か読者数も限定されてきて、ソ
リアズそのものの位置付けが自分の中で微妙に変わってきたのだと思います。
「諦念」とか「自由」が生まれてきました。端的にいうと「どんなに何を言お
うと、結局‘変な市川’って言われるんだよな」という開き直りです。ならば
もっと自由にテーマを掘り下げ、好きに書いてみようと思いました。すると、
自分で言うのもなんですが文章にエッジが効くようになりました。同時にバ
シッとしたイメージがタイトルに集約されやすくなったということではないか
と自分なりに分析します。
Q. 変化をもたらしたのは、フィードバックや読者数によるものだけでしょう
か?
A. もう一つ、無意識についての学びを深めたことも大きいです。学びの内容
は15周年記念特別号でも紹介した通りです。人の言うことはコロコロ変わるの
が当たり前という前提に立つと、人間の言っていることが全体的に以前より軽
く思えるようになりました。
<インタビューを終えて>
高校時代「自分の性格を最もよく表す漢字二文字は?」という宿題に熟考の
末「律儀」と回答した市川。出題した現国の先生もなるほどと唸る程、その言
葉があてはまる人間だったという。しかし、50歳を超え、独立して15年も過
ぎた今、肩の力が抜け、ある意味いい加減になったと本人は自覚しているよう
である。今回インタビューで浮かび上がったのは、いい加減さの中で仕事に絞
り込まれた律儀な部分が屹立していることのように私には思えた。
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第7章:第1回ソリタイオタク度検定
ソリタイに関するクイズを作成しました。皆さま何問正解できるでしょう
か? ソリアズファンの方々には少々難易度が低すぎるかも知れません。5問
中5問全問正解で、あなたも立派な「ソリタイオタク」です。是非挑戦してみ
てください!
<問題編>
【第1問】以下の6タイトルに共通することは何でしょう?
『面白くなる設定』(第27話)、『執着の表現』(第31話)、『分類と理解』
(第32話)、『陶酔の営み』(第46話)、『ネガティブ・フィードバック』
(第107話)、『花瓶の配達』(第182話)
【第2問】『割切れる性』(第94話)は、男性・女性のどちらのことでしょう?
【第3問】シリーズタイトル『思考の羽化』(第245?248話)は、モチーフに
した書籍『先を読む頭脳』の著者名のもじりでもあります。さてその著者とは
誰でしょう?
【第4問】タイトルに今まで登場した動物漢字は「兎、狼、羊、犬(/狗)、
龍、蟻、烏、鳥、鳩、象、虫…」ときて、残り一つは何でしょう?
【第5問】】『女衒の?』『猟師の?』『囚人の?』の?部分に共通する単語
は何でしょう。
<回答・解説編>
【第1問/回答】続編(『続・?』)が存在する。
【第1問/解説】ソリアズ初の続編『続・陶酔の営み』(第95話)は、『陶酔
の営み』の2年4ヶ月後に発行されている。オーナー経営者にとっては、会社経
営そのものが陶酔する対象であるというオリジナルに対して、続編では陶酔し
た経営者の傍で幹部社員はどう振る舞えるかを考えさせられる一話で正に続
編。その他はオリジナルから続編発行までの期間を見ると、『続・花瓶の配
達』(第348話/6年11ヶ月)、『続・ネガティブ・フィードバック』(第327
話/9年2ヶ月)、『続・分類と理解』(第293話/11年2ヶ月)、『続・執着の
表現』(第357話/13年10ヶ月)とかなり時間が経過する。つい先日続編が発
行された『続・面白くなる設定』(第376話/14年10ヶ月)はオリジナルから
実にほぼ15年の時を経ての発行。第2章のインタビューで、続編は元来の文章
の進化系で修正パッチを当てるイメージと言及している。テーマへの見識の変
化は続編発行までの期間の長さからも納得だが、同時に、パッチが増えたのは
市川が諦念の心境になってからという点にもなるほど頷ける。
【第2問/回答】女性
【第2問/解説】女性は割り切って相手に合わせることができるという一話。
市川の床屋選びの条件は、担当理容師が女性であること。男性理容師は話題が
限定されるが、女性理容師は話題の豊富さに事欠かないどころか、こちらに合
わせて情報収集の努力も怠らない。かつて外資フィルム会社でマーケティング
をしていた際に付き合いのあった取引先の営業も、臆断の虜囚になりがちな男
性と違って、女性は市川の打診する新たな挑戦に食いついてきたという。女性
は自分が考えつかないことに思いを至らせてくれる補完し合える存在という市
川。弟子が私も含め女性が多い理由の一つかもしれない。
【第3問/回答】羽生善治
【第3問/解説】天才棋士羽生善治の思考方法を説明した『先を読む頭脳』を
読んだ感想から構成されているシリーズ。手馴れた手を自ら崩さねばならない
局面の分析、順算と逆算の考え方、知識の理解や記憶を強固にする方法論な
ど。『思考の羽化』の羽化には、「羽生化」の意味も掛けている。
【第4問/回答】蛸
【第4問/解説】二度使われている狼や、シリーズタイトルで何度も登場した
兎もあるが、実は非常に少ない動物漢字。具体的には、『青い鳥の所在』(増
刊第3号)『脱兎の心中』(第300?304話)、『現実の蟻穴』(第16話)、
『狼の代理』(第23話)、『空ろな鳩穴』(第36話)、『犬の記憶』(第64
話)、『烏の掟』(第119話)、『逃げない象』(第120話)、『人狼のマージ
ン』(第170話)、『羊狗の隔絶』(第254話)、『島に眠る蛸壺』(第255
話)、『龍火の毎日』(第288話)、『蓼食う虫』(第290話)。どちらかと言
うと、初期の作品に多い。理由は不明。
【第5問/回答】常識
【第5問/解説】】『女衒の常識』(第144話)、『猟師の常識』(第191話)、
『囚人の常識』(第287話)。この他に「常識」を含むタイトルとしては『常
識試験例題』(第122話)もある。
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おわりに
テーマをソリタイに絞ってお届けした16周年記念特別号。ソリタイ幕内弁当
をこしらえるつもりで7章に渡る文章作成に取り組みましたが、おかずのバリ
エーションとそれぞれの味付け、いかがでしたでしょうか。お楽しみいただけ
れば幸甚です。
ソリアズが創刊された1999年10月、私は大学4年生。夏の初めには大手外
資系IT企業への就職も決まり、大学生活でやり残したことはとひそかに興味を
抱いていたお芝居に挑戦。友人が所属する演劇サークルに入れてもらい、稽古
を重ね役者デビューしたのがこの時期でした。
その後、卒論執筆の合間を縫って在学中に計3本のお芝居に出演、就職後も
なんだかんだ2007年までの8年間、年1回ペースで下北沢の小劇場にてお芝居
に出ていました。市川の発行するソリアズは月2回で16年。お芝居とメルマガ
は別ものですが、作りあげて公開するという意味では同じ。全く比べ物にもな
らない頻度で、倍の期間、市川はメルマガ発行を休まず継続しているのだと思
うと頭が下がります。
今回の記念特別号執筆で市川から多くのことを学びました。文章の構成、書
き方、書籍の選び方に読み方。論旨を強化するために書籍を選定し必要部分の
み飛ばし読みするのは、おそらく卒論以来。会社員時代に査定の一環として書
いた論文は、提出自体が目的となり、内容の充実より少ないソースでいかにペ
ージ数を増やすかを追求する始末。まともに文章を書くのは初めてといっても
いい素人の私に、市川は根気よく丁寧に指導してくれました。
薦められた谷崎潤一郎著『文書読本』を読んだものの、唯一の一発クリアは
最終章のみ。ほとんどの章は入稿後、市川の肌理細やかなアドバイスの下、論
旨の整備、内容を変えず文字数を減らす含蓄の作業の繰り返しでした。書く上
で一番大事なのは、読み手にとって読みやすく理解しやすいこと。伝わらなけ
れば意味がない。伝えたい相手や状況に合わせてアウトプットを調整する技術
は、文章に限らずコミュニケーション全般で私が最も力を注いで磨いていかね
ばならない分野です。師匠の教えを一つ一つ消化し成長して参ります。
改めまして、この度は発展途上の私の文章に最後までお付合いいただき、あ
りがとうございました。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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発行者挨拶 (市川正人)
最近弟子になった吉良氏に、「修行も兼ねて、ソリアズの記念号書いてみ
る?」と軽いノリで言ってみたら、コンセプトが決まらず悪戦苦闘した割りに
は、文章が比較的すんなりできて、胸を撫で下ろしています。
ソリアズのタイトルだけをまとめて、こんな色々な切り口になるとは自分で
も思っていませんでした。400話近く溜まった今だからできる企画だとは思え
ますが、今迄にない軽い切り口でまとめられていて、最も“深刻になることな
く読める周年記念特別号”になったのではないかと思います。
特に、引用書籍も多数動員して、私が久々に書いてみた15周年記念特別号と
比べると、内容の気軽さや軽妙さがとても際立っています。長年の読者の方が
今となっては非常に多い当コラムと思っていますが、タイトルだけでも、「う
ん、そうそう」とか、「ああ、そう言えばそんな号もあった」などと頷きつつ
楽しんで戴けたらと思っています。
まだまだ、当分ネタは尽きないので、今後とも、ご愛読を賜れれば幸甚です。
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※ ご注意!!
サーバのエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様子
です。当メルマガ通常号は毎月10日・25日に、周年記念号は毎年10月末日に休
まず発行しております。発行状況のご確認は上述の弊社ブログにて行なってく
ださい。
また、まぐまぐからの連絡によると、一部フリーメール運営企業でサーバの
受信量規制を行なっているケースがあり、その場合は大幅にメールマガジンの
到着が遅れるとのことです。
「届かない」、「再送希望」などの連絡は、まぐまぐの窓口である
「magpost@mag2.com」に、メルマガID(#0000019921)、タイトル(『経営コ
ラム SOLID AS FAITH』)、購読アドレス、再送希望の旨を記載の上、メール
にてご連絡下さい。
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発行:
「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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