331 臆断の虜囚

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経営コラム SOLID AS FAITH 第331号
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ご愛読ありがとうございます。第331話をお届けします。

早くも14周年記念特別号の発行から10日が経ちました。弊社の事業における
書籍の位置付けを探った内容にしてみましたが、お楽しみ戴けたでしょうか。
自分自身が親しんできた作者のどこがどう好きであるのか。そんなことを改め
て考え直してみる機会を、とても愉快に感じました。ソリアズにあまり登場し
ていない作者の紹介もありましたが、当コラムの読者の方々に何か気になる作
者の紹介ができたのでしたら幸いです。今号から、最近読んで感じるところが
あった書籍を少々載せてみることにしてみました。お楽しみ下さい。

とうとうこのコラムも足掛け15年の発行となりました。省みるとかなり類似
している内容を述べている号が存在するように感じていますが、それでもその
話ごとの構成やテイスト、着想のきっかけなどが、それなりに違うものになっ
ていたので安堵しています。15年近く書き続けても尚ネタが尽きない中小零細
企業の経営論や組織論の深遠さを感じざるを得ません。

さて、今回の号は『臆断の虜囚』と題して、ネットが当たり前の社会インフ
ラになって久しい時代の、リアル店舗経営について考えてみました。店舗経営
者のギリギリ風下の外れの方の立場にいて、客観的にリアル店舗、それも小型
店舗の経営を俯瞰してみると、購買行動が本当に小さく細分化された消費者の
行動が意識されていないように思えてなりません。

お客が取られていると恨み言を口にしても、実際にはお客様に首輪がつけら
れた訳でもなく、お客様は自らの判断で他の選択肢を追ってしまっています。
何が変わり、何が上手く行かなくなったのかを真剣に考え直すような作業が、
店舗のみならず、色々なお客様の案件で浮上するようになって、毎日、こんな
ことばかりを考えるようになりました。持論と言うほどにまとまっていません
が、リアル店舗経営に焦点を当てて考えてみたことをまとめてみました。本文
に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返
事の目標納期は5営業日!!
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その331:臆断の虜囚

「う?ん。POPにどんなに商品のことを書き込んだところで、ネットにはあ
りとあらゆるページに色々なことが書き込んであって、その情報量に物理的に
勝つことはできない訳じゃないですか。ウチのブランドのアウトレット店だけ
でも近隣にできれば影響があるのに、ネットはどこででも展開してきますから
ね。おまけに値段勝負。総ての店舗にとってネットは敵って何かで読んだけど、
やっぱり、それ実感するんですよ」。
私が役員を務める愛知県の靴店を一店運営する会社の社長が言う。ネット通
販の取引量が増えて、初めて行く街の商圏外観から売上予測が立てにくくなっ
たと、私もその類の仕事を請けてよく感じる。「ネットが敵かぁ」と反芻しな
がら、「姿なき挑戦者」と言う名作SFのタイトルをぼんやりと思い出す。

B2Cの商品メーカーの勉強会では、リアル店とネットでの消費者の購買行
動の違いがテーマになった。単純なリアル店舗で買うのか、ネットで買うのか
と言う分類では全く全体が把握できない。ネットで見てリアル店舗で確かめて
から買う購買。逆にリアル店舗をショールームに見立てて実物を確かめ、ネッ
トで安く買おうとする購買。さらに、ネット、リアル、ネットの三段重ねの購
買行動までモデル化された資料を前に、考えを巡らせた。

「お金が貯まったら、自分とお客さんがきちんとコミュニケーションできるよ
うなお店をやってみたいんですよ。業種は自分が関心が湧いて続けられたら、
何でもいいかと思って、まだ考えていないんですけどね。漠然としていて」。
脱サラして独立起業予定と言う女性を紹介されたのであって話を聞いてみた
ら、実行計画以前の話だった。星を見るが如くの夢想の段階。そんな中で「き
ちんとしたコミュニケーション」と言う言葉が引っ掛かった。「市川さんだっ
たら、どんな商売を私が始めたらいいと思いますか」と聞かれて、ふと思いつ
いたことが口をついて出る。

「確かに業種は何でもいいですね。小さなお店のイメージでいいのなら、ネッ
トではできないことと、そのお店を開く場所の周囲に住んでいるお客さんが喜
びそうなこと、そして、自分が苦にならず毎日続けていけそうなこと。この三
つの条件が重なることだったら、取り敢えず、何でもいいような気がします。
勿論、細かく言えば、資金とか許可取得とか色々他にも細かく考えることは、
本当はあるのですが」。

多種多様なクライアント企業で差別化の方策を実践に移すお手伝いをして、
最大の障害は、その差別化の方策の案出でもなければ実践方法の確立でもない。
その新たな差別化の方策を実践するリソースの捻出のために諦めなくてはなら
ない作業を決め、すっぱり止めることの方が余程難しい。リアル店舗の真の役
割がネットの存在によって明確になる。差別化の実現の上では、大きな福音か
もしれない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

ここ数年、ネタとして熟成させてきたお客様満足。

外国人から見た日本のお客様満足のあり方をリンクトインで議論したり、
ホスピタリティとサービスのあり方を店舗で検証したり、
製造業の営業担当者が付加価値として追求するお客様満足を議論したり…。

そんな活動の集大成的な内容を盛り込んで
伊豆の大手病院施設で働く人々に対して、
「組織で実現するホスピタリティ」をコンセプトに、
落語のような感じでお題を4つ用意して、
その場で選んでいただいたお好みのお題について
参加者の体験談を端緒にして、話し聞かせる会を開くこととなりました。

講演会でもなく、セミナーでもない、
まして研修でもない。
普通に働いている施設の現場で働く人々に、
施設の外で自分自身も当り前に持っている買い手の価値観で
普段の仕事を見直していただく、お話し会です。

4つのテーマは…
1)けっこう簡単にできる“気持ちいい空間”づくりのための
空気やらオーラやらの出し方
2)こころづかいでも、オモテナシでもない、
誤解されている「ホスピタリティ」の本当
3)“おばちゃん”ばかりの牛丼店と
中国人ばかりの中華料理店に見る「求められる人」の条件
4)ヒーローも専門家も要らない。優れたチームや組織を作るコツ

ご関心を賜りましたら、適価にてお聞かせします。
メールにてご一報下さい。
bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『キャリア教育のウソ』 児美川孝一郎 著
■『ウルトラマンが泣いている』 円谷英明 著

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第332話 『収納名人』 (11月25日発行)
個人の行動に現れる、それまでの情報収集とその処理の過程。そして、その
結果の蓄積。久々に構成を捻りに捻った構成の話を用意してみました。ご期待
下さい。

(完)