074 対律止揚的見解

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経営コラム SOLID AS FAITH 第74号
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ご愛読ありがとうございます。第74話をお届け致します。

最近買った橘玲氏による『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』は、とて
も興奮できる本でした。そこに解説されたようなサラリーマンの経済的立場を
考え合わせると余計のこと、企業の「社員」(≒「労働者」)の人々には、自
分の立場・効用・進路のようなことが重要に思えます。それは今年も後期(9
月から)始めることとなった大学における“就労観教育”の講義の場でも痛感
します。

今回の号は、以前、非常に分かりやすいお話をお聞かせ頂いた鈴木博先生の
エピソードにはじまり、組織に入って働く時の人の持つべき目的について考え
を巡らせてみました。お楽しみ頂けましたら幸いです。ご意見・ご感想お待ち
しております。お返事は必ず送信致します。(お返事の納期は5営業日!!)
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その74:対律止揚的見解

カタカナで書くとインヤンと読めるロゴマークの付いた装身具を見かけるよ
うになった。持ち主の若い女性達に聞くと、それなりに流行しているらしい。
インヤン。当然、原義は、あの黒白二つの勾玉を組み合わせて一つの円にした
ようなマークに表される、あの「陰陽」であろう。

陰陽の印のあの黒白の勾玉状の部分は絡み合いながら一つの状態を形作る陰
と陽の対立概念を示し、勾玉上の形の各々にある糸を通す穴のような点は、陰
の部分にある陽的要素「陰中陽」と、陽の部分にある陰的要素「陽中陰」を表
すと、数年前に訪問したシナジースペース社の鈴木博代表から習った。

鈴木先生は病院の例をあげて説明する。患者に良いサービスをしようとする
と、時間がかかって診察が進まないので儲からない。儲けようと思うと、サー
ビスが悪くなってしまう。矛盾する二つが組み合わさって、病院経営は成り立
ち、どちらかの一方の立場に偏ると経営自体が成り立たなくなる。勾玉のよう
な形の陰と陽は対立しながら一つの円を成していて、どちらかを大きくすると
円にならない。こうした矛盾要素を内包して尚成立するようなしくみ作りを行
うことが経営者の役割であると言う。

春になると、大手企業の「労働者」が賃上げを要求する。誰が費用を負担す
るのか、ビラを撒き、その間の仕事はどうするのか、半日かけて何事かを叫び
ながら路上を練り歩く。長引く「デフレスパイラル」とやらで、とうとう、雇
用か賃上げかどちらかを選択せねばならなくなったという。雇用を守れば、勤
務時間が圧縮されて、所得は下がる。賃金を上げれば、わりを食う人の雇用は
消滅する。このジレンマの解消にビラ撒きや行進、シュプレヒコール、そして
夜を徹する交渉は本当に貢献するのだろうか。

処理すべき仕事が少なくなったら、工場では装置の一部をフル稼動させつつ、
残りを遊ばせるのか。それとも、どれ一つして装置は止めず、ただ各々の処理
時間を短縮するのか。同じ次元の判断が「労働者」と名乗る人々の上に降りか
かってくる。自分の生活を保証し得ない選択肢を否応なく選ばせられるのは奴
隷並の扱いであろう。

奴隷はいつかその頚木から離れる。経営者と同様に、「労働者」と自称する
人々も、直面する「矛盾」の解消の道を自ら模索せねばならない時が来るなら、
ある種弁証法的「隷属の放棄」を迫るデフレスパイラルとやら、まんざら捨て
たものではないように思う。
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いたように思いますが、久々に「顧客を惹き付ける何か」について考えてみま
した。ご期待下さい。