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経営コラム SOLID AS FAITH 第596号
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ご愛読ありがとうございます。第596話をお届けします。
今年も残りあと1ヶ月あまりとなりました。多くの業種において書入れ時の
繁忙が訪れる時期であると共に、倒産・廃業が急増する時期でもあります。通
称武漢ウイルス対策の支援策もとうの昔に切れて、VUCAの状況について行けな
い企業群はその事業規模の大小に関わらず淘汰されることが多くなるものと考
えられます。
繁忙を迎える業種・業界の企業群においては、来年に向けての重要な資金獲
得の時期ですので、無駄なく確実に収益を確保する方策の徹底が重要でしょう。
仕組みによる改善がモノを言う場面かもしれません。歳末に向けた最終見直し
をお奨めします。
約1ヶ月前の10月末日に25周年記念特別号を出しましたが、現在の号数を見
ると、もうすぐ600話に到達します。600話発行記念特別号の準備も進めるタイ
ミングとなりました。約4年に1度のこの記念特別号の発行に当たっては数話の
シリーズを当てつつ、それに関連する記事を付けるのが慣例になっています。
今回は『励起粒子』と題した全5話のシリーズをお届けする予定です。テーマ
は社員の非雇用化です。中小零細企業における正規雇用者の非雇用化による経
営改善の方策を、合法な経営手法として検証する内容にする予定です。ご期待
ください。
今回の号は『環境適応企業』と題して、「若害」について考えてみます。老
人の害を「老害」というのに対して、若者の害を「若害」と呼ぶことが最近出
てきたようです。すべての老人が「老害」で企業に害を為す訳ではないように、
すべての若者が「若害」の原因ではないことでしょう。一方で、ストレス耐性
が異常に低かったり、承認欲求が異常に高かったりする若手人材の扱いに苦慮
する中小零細組織が増えているともよく聞きます。その典型的な「若害」に悩
む中小零細企業経営者の話を聞いて、考えたことをまとめてみました。ご意見
・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は
5営業日!!
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その596:環境適応企業
「最近は“老害”じゃなくて“若害”って言葉もあるらしいです。“老害”の
方は、改善はできなくても今更あまり悪化しないし、数年待てば定年退職する
人間もいるから、まあギリギリ許容できますけど、ウチの“若害”は正直言っ
て被害甚大なんです」。
飲み屋で会った中小企業の老社長が愚痴を始めた。酔漢にサービスしても翌
朝には忘れている。クライアントでもないので相手をする義理もない。紹介し
てきたママの期待を余所に、面倒なので私見を述べるでもなく助言するでもな
く適当に頷きながら聞いていた。
家に固定電話がない時代。知らない人間と電話で話す機会は極端に少なく、
会社の電話に出たがらない若者の話はよく聞く。電話に出なさいと指示すると、
俯いて返事もしなくなる。不貞腐れているのではなく、途方に暮れて思考停止
し、時が過ぎるのを待っているらしい。社長は「仮死状態の虫みたいな感じ」
と喩えて語気を強めた。社長の目には「子供相手でもやらなそうな馬鹿丁寧な
電話応対研修」を止むを得ずしたらしいが、喜んで練習しても実践に結びつか
ない。「ロープレ遊びのつもりだったんだろう」と社長は評する。見かねた幹
部が別室に呼んで、なぜきちんとやらないのかと問い詰めたら、号泣して帰宅
した。欠勤を重ねてから親から連絡が来たという。ユニオンに相談にしに行く
と息巻いているらしい。やや野次馬的関心が湧いたが、そこからの展開はな
かった。
「今の若い人材はやりぬく力がない」との社長の繰り言に飽きて来た私は社長
を遮った。
「ああ、その“やりぬく力”はそのまんまのタイトルの本がありますよ。あと
日曜日にやっている『ミライ☆モンスター』という番組を観てみてください。
世の中には凄い若者が山程いることが分かります。だって登場人物のライバル
も凄いんですから。ってことは、御社はダメ人間ばかり選んで採用しているっ
てことかもしれませんね」。
若害社員と私に憤慨した社長は、スマホで書籍と番組を検索していた。
関東圏の地方都市の就活生に頼まれてエントリーシートの相談に乗ることに
なった。彼女の第四候補のその企業は離職率が高いと噂されていて、B2Bの営
業部門に配属されると数日の座学と同行営業の後、すぐさま飛び込みで企業訪
問をさせられると聞いたという。なるほどと頷いて、ブランクのエントリーシ
ートの設問を見ると、「過去に体験した一番困難な体験を書いてください。ま
た、それへの対処についても説明してください」とあった。
困難を「乗り越える」のでも「解決する」のでもなく、「対処する」しかな
いという想定。炙り出される学生は困難というものは消えずに続いて当たり前
と思っているのだろう。
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『タイパの経済学』 廣瀬涼 著
■『買い負ける日本』 坂口孝則 著
■『世界地図から歴史を読む方法』 武光誠 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
MSIグループ 市川正人
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次号予告:
第597話 『洋風奴隷』 (12月10日発行)
25周年記念特別号のテーマにもした通り、中小零細企業の生産性が低くて日
本経済の足を引っ張っているとの主張があります。一方で「他の先進国」には
極端に低い人件費の労働力が存在することはあまり知られていません。国内の
中小零細企業の話題から少々離れて、そのような事情を取り上げてみました。
(完)