335 兵の夢

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経営コラム SOLID AS FAITH 第335号
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 ご愛読ありがとうございます。第335話をお届けします。

 新しい年が始まりまして、既に10日経ちました。皆様は如何お過ごしでしょ
うか。弊社では毎年恒例の大判ハガキの寒中見舞いを皆様にお届けする作業を
ゆるりと開始致しました。お手許に届きましたら、ご笑覧賜りたく存じます。

 新年第一号となる今回の第335話『兵(つわもの)の夢』は、企業戦略にお
ける事業リスクへの向き合い方について考えたものです。原稿を半年以上前に
書いて以来、時々、クライアント企業経営者のお話を聞いていて、ぼんやりと
思い出されるネタになるほどに、気に入っている考え方です。10日は過ぎてし
まったものの、本年の自社の方針を今一度検証してみる機会がありましたら、
是非、この論点をご採用いただければと存じます。

 本年も懲りることなくお付き合いのほどお願い申し上げます。本文に対する
ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標
納期は5営業日!!
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その335:兵の夢
 
 状況は可もなく不可もなくと社長は言った。経営はやるべきことが眼前に積
み上げられて行く。新たなことに取り組む余裕もなく、次々と社の内外で起こ
ることに善後策を打ち続けて、また一期が過ぎたのだと言う。紹介されて訪ね
たこの会社の社長の話は頷ける。
 
 独立から14年。私の過去のクライアントになってお仕事を下さった企業で、
数十年の歴史を持つ会社は殆ど同じようだ。それ以外の会社は、概してその存
在を無くしてしまう。業績が劇的に良くなったら、その組織自体が変容を遂げ
て、社名やガバナンス体制が変化する。業績が悪くなるときは、急激に消滅に
向かう。請負業者を自認する私は、クライアント企業が望ましくない方向に向
かっていると感じても、それに言及するに留め、何であれ先方の判断を受け容
れる。結果的に企業組織が凋落していく様を間近で何度も見た。
 
 特に真面目に考えたこともなかったこの分類について、明確な言及を突然発
見した。
「レイナーによれば、成功する企業の反対概念は、失敗するあるいは破綻する
企業ではない。成功する企業の反対概念は、可もなく不可もなく生き延びつづ
ける企業だ。成功する企業というのは、この可もなく不可もなく生き延びつづ
ける「その他大勢」の企業よりも、失敗する企業と共通点が多いという。つま
り、どちらも果敢な戦略を打ち出し、その戦略が環境の良い時には成功するし、
悪ければ失敗するというわけだ。
 最も成功している企業は、辛うじて生き残った企業よりも屈辱的な倒産企業
との方が共通点が多い。それどころか、好業績の決定要因として認識されてい
る企業特性そのものが、全面的な失敗をもたらす要因でもあるのだ。そのため、
少なくとも企業のふるまいという点から言えば、成功の反対は失敗ではなく、
凡庸ということになる」。

 大きなリスクをとりに行けば、大きなリターンが得られることもあるが、失
敗も大きくなる。空前の好業績と倒産寸前の失策の波が激しい方が、株を銘柄
としてしか見ない投資家からは歓迎される経営なのだと増田悦佐氏は『格差社
会論はウソである』でレイナーの『戦略のパラドクス』を引きながら説明する。

 リスクとの付き合い方の二分法と知ったら、似た話を思い出した。名著『下
流志向』は、リスク社会を「努力と成果の相関が不確実な社会」と先ず定義す
る。リスクをとるとは「見通し不確定な冒険的計画に踏み出すこと」であり、
リスク社会で最も重要なのは、巧みにリスクをヘッジして損失を出さないこと
だと説明している。リスク社会を認め、努力が報われないと思い込む人々はい
つしか負けがこみ、リスク社会を認めずに努力を積み重ねる人々は、結果的に
リスクをヘッジして存在し続けることになる。

『下流志向』では努力や学びが第一義的にリスク・ヘッジの手段として紹介さ
れる。努力や学びによって選び取られた凡庸が人にも企業にも価値あるものと
知った。
 
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

今年の分の寒中見舞いを作成したものの、配布や郵送を開始致しました。

昨年は初めてお会いする方が多い中、
経営コンサルティング業とは全く異なる
弊社の事業のあり方について、
定番とも言えるようなご質問を多々お寄せいただきました。

そこで、弊社の事業が経営コンサルティング業とどのように異なるかを
入念に説明した寒中見舞いを用意致しました。
その挙げた「弊社事業の特徴」は以下のようなものです。

#1
「特定の業界・ビジネス分野の専門を持っていません」
#2
「自事業の集客目的で
 書籍の出版やセミナー開催を行なうことは一切ありません」
#3
「研修講師を務めることがありますが、
 特定のジャンルやテーマは持っていません」
#4
「一般の経営コンサルティング業務に比較し、
 低廉な料金で長くお付き合いします」
#5
「特に多い受注作業形態は、
 社内勉強会や社内プロジェクトへの参加です
#6
「企画の実践に当たっては、
 踏み込んだ作業を行なうことが、時たまあります」

何かご関心を賜れる特徴がございましたら、
お気軽にメールにてご連絡下さい。
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『岸辺露伴は動かない』 荒木飛呂彦 著
■『日本の自殺』 グループ一九八四年 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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次号予告:
 第336話 『オーダー・メイド』 (1月25日発行) 
 転職を人材が自分自身のマーケティングを行なっている状態と認識すること
ができます。マーケティングの戦略は様々な事由によって失敗します。大手出
身者の中小企業への転職事例について考えてみました。

(完)