206 ラスト・ラスツ

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経営コラム SOLID AS FAITH 第206号
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ご愛読ありがとうございます。第206話をお届けします。

 私の好きな夏が終わりかけていて、また一年が経ってしまうと思っているう
ちに、連続6回も続いた200話発行記念号も無事終了致しました。市場真理子
が書き綴った師弟関係についてのコラムも含めて、数々の読者の皆様のご感想
も戴き、良い展開ができたと思っております。ご関心を賜りありがとうござい
ます。

 そうこうしているうちに、今度は9周年記念号の時期が迫って参りまして、
ドタバタと企画を練り始めなくてはならなくなりました。9周年と言う数字を
見ると、やはり意識してしまうのは10周年の刻みです。10周年企画は朧気
に企画を頭に浮かべながら、取り急ぎ、9周年を何とかしなくてはと、考えて
おります。
 
 長文が延々続く200話発行記念号も終わり、今号からは通常号の発行に戻り
ます。今回の号は、インセンティブによる動機付けの難しさについて考えてみ
ました。試し読みをした何人かによれば、本文の意味は分かっても、タイトル
の意味が分からないという話でした。英語なので分かり難いですが、ソリアズ
発行以降初めて「体言止め」のタイトルルールを破った号です。タイトルをつ
けてから、「ああ、ルールを破っちゃった」と気付いたのですが、音の響きが
良いのと、英語だから目立たないかと言うことで、敢えてそのままにしました。
タイトルの意味についての疑問も含め、内容に対するご意見・ご感想をお待ち
しております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その206:ラスト・ラスツ

 ファッション業界のコンサルタントにお話を伺う機会があって、そのまま食
事に行くことになった。話に花が咲いて、彼が尋ねる。
「市川さん。どんな時にも決して縮小することなく、伸び続けるポテンシャル
を持っているのは、どういう業界だと思う」。

 私が不如意な顔をしていると、彼は自分が向き合うファッション業界だと言
う。人間、身に纏う物が、本来の防寒や防護のためのものであるなら、こんな
にファッションに金や時間を注ぎ込みはしない。ファッションショーや立ち並
ぶブティック、宝飾店を見れば、その存在の意味を考えずにはいられない。人
間の欲望は無限で、その欲望にダイレクトに支えられているファッション業界
は、無限に伸び続けるものであると彼は言う。

 勉強会を新たに始めることとなったクライアント企業は美容系メーカーで、
その販路は自社と提携している代理店のみによって事実上構成されている。代
理店には売ればインセンティブがどんどん貰える販売員が犇いている。私が企
画する勉強会メンバーは、これらの販売員を束ね、伍していかねばならない本
社の営業担当者達。最近弟子になった女性を、頼まれもしないのに、ミステリ
ーショッパーに仕立てて代理店の売場に行かせてみた。数万円分の商品群を、
簡単な説明の後、「ホームページで見てきたんなら、これぐらい必要だと分
かっているよね」と、徐にレジに通そうとしたという。ごり押しの営業の現実
が垣間見えてくる。本社では、代理店ごとの売上が伸び悩む。失客が疑われ始
める。ユーザーさんとは、長いお付き合いをできるようにと呼びかける。しか
し鈍化に歯止めはかからない。

「あ?。こりゃしんどいね。人間、欲望にはどうしても勝てないもんじゃん。
この〆までにもう一人に売れれば、自分がもっと儲かるのにと思い出したら、
もたもたしてる客の気持ちなんか考えてられないよね。無理してでも売りつけ
て、金を手に入れたくなるもんじゃないのかな。代理店の店員の欲に直接訴え
て、売上を維持していたら、こういう結果は起きて不思議ないじゃん。フィル
ムメーカーのマーケティング担当の頃、営業担当者がよく販社のセールスコン
テストを『にんじんレース』と言っていたけどさ。にんじん見て走り出したら、
『もっとゆっくり』って言うレースはありえないでしょ。難易度がやたら高い
案件だよ。これらの代理店に売上を依存している以上、ラジカルなこともでき
ないし」。

 見立てを弟子に説明し終えて、欲望ねぇと嘆息する。ビジネスの本質は、自
分に都合の良い欲望を刺激し、都合の悪い欲望を御すこと。昔読んだビジネス
書の一節を思い起こす。東西の古典の世界に登場する悪魔や物の怪との付き合
い方のようだと読後に感じた。儲けさせてもくれれば、破滅させもする魔物。
人がいる限り、その心の中に永遠不滅の悪魔。

 滅せないのなら、付き合えば良い。久々の勝算の低い案件を前に、悪魔の飼
いならし方を真剣に考える。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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御社の社員の皆様は、自社の良いところを認識していますか。
それをきちんと取引先などの外部の方々に話し伝えることができますか。

当コラム第198話『数寄の理屈』でも紹介された
「愛社精神研修」が大好評です。

熱烈なファン作りは直ぐには無理でも、
自社の社員が自社を良いものと語れなくて、
どうやって、外部の人々に自社の良さが伝わるでしょうか。
わざわざコストをかけて、広告するのでしょうか。

居酒屋を満たす会社員の愚痴は聞き苦しいことこの上ありません。
それが会社の良さについての議論だったら、どんなに良いでしょう。
自社の良さを認識すること。口に出して言うこと。
これらは、その良さをさらに強め、伝播させてゆく原動力です。

愛社精神研修を是非ご検討下さい。
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弊社代表のオリジナルブログが完成!!

 ● ソリアズのネタにもなっている留学時代の悪戦苦闘を描いた
 『 My Life In Klamath Falls 』(英文)
 ● 東京で見た映画の感想を備忘目的で書き留めた
 『脱兎見!東京キネマ』
 ● そして、勿論、弊社代表が足掛け9年書き続けて、今尚続く
 『経営コラム SOLID AS FAITH 』

 全部まとめて、ブログになりました。題して…
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使い勝手がちょっとイマイチかもしれませんが、
内容・機能性、共に発展途上中です。
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 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第207話 『現実の咬み跡』 (9月10日発行)
 大学での非常勤講師稼業の中で聞いた学生の就活認識、そして、最近のヒッ
ト曲の歌詞などから、現実との向き合い方について考えてみました。あまり経
営色が濃くない号ですが、お楽しみ下さい。

(完)