292 マソキズム

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経営コラム SOLID AS FAITH 第292号
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 ご愛読ありがとうございます。第292話をお届けします。

 前号からPR欄でご案内を始めた、中小零細企業の経営支援事業のノウハウ
をお教えする連続セミナー『超実践塾』第三期は、ご関心を賜っている方々が
かなり増えてきている様子です。有難いことと感じております。今号のPR欄
にもご案内しました通り、直接私が本講座の内容に関してご説明できるプレ講
座は、残り一回となりますので、お申し込み逃しのないようご留意下さい。

 北海道の地でも間違いなく春が訪れてきていて、東京では花粉飛散で大変な
目にあっています。昨春は、雨で花粉は収まっても、代わりに放射線量が急上
昇する状態だったので、今春の雨はまさに慈雨に感じられます。マスク着用の
上、急ぐ際もジョジョ第二部の波紋修行の如く、息を乱さぬようにして外を歩
き回っております。

 今回の第292話は、新規事業に走りたがる中小零細企業経営者の姿を描いて
みました。「時代の流れが速い」、「今の市場は飽和した」など、色々な理由
は述べられますが、少なくとも事業運営における掘り下げが圧倒的に欠落して
いるのが大きな原因の一つであるように見えます。

 第51話『残留熱』は、安易な利益を求めて事業から事業へと彷徨う大手企業
に言及していますが、中小零細企業でも、同様の傾向は昨今強くなっているよ
うに思えてなりません。合わせて第51話もお読み下さい。本文に対するご意見
・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は
5営業日!!
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※第51話『残留熱』: http://tales.msi-group.org/?p=93
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その292:マソキズム

「『下流志向』は、間違いなく100冊は買わせたって感じでしょうかねぇ」。
 勉強会の休憩時間に参加者に向かって笑って言った。この会社の勉強会でも、
組織人としての常識を勉強することになった。教材として提案した『下流志向』
が採用されて、参加者同士で読み解きを行なっている。既に社会人となって10
年前後の参加者10名近く。第三章の「労働からの逃走」の中の「労働の基本は
オーバー・アチーブ」などの考え方の方が、うけが良いかと思っていたら、皆、
リスク・ヘッジの姿勢に関心を示す。

 リスクと言う名詞につながる動詞は二つ。テイクするかヘッジするか。世の
中一般では、テイクばかり着目され、破綻すると自己責任と認識されるとの指
摘に皆唸る。得をすることを追い求めるのではなく、損しないことを常とする
考え方。リスク・ヘッジの方法論を皆が学ばなければならないと分かる。

「第二章の終盤で、相互扶助的共同体に加わり、迷惑を掛け合える関係性の中
で生きることが、リスク・ヘッジの“唯一の方法”と述べられてますが、前半
では、第一章の分からないことを存在しないことにして万能感に浸れることを
受けて、ゲームに勝つ“努力”を重ねることの重要性も論点になってますね。
では、そう言うリスク・ヘッジができていない事例を自分の周囲から見つけて
発表してもらいましょうか」と私はまとめる。

「お客さんの会社の社長が、本業はもう駄目だと、もう担当になってから5年
間ずっと言い続けていて、年に大抵一つか二つ、新規事業を始めるんです。知
り合いの企業から全く不慣れな商材を仕入れて、社員も割り振って、市場が熱
いうちに売って回れとか、毎回言っているんですよ。当然、その分野の研究と
か販売の準備など殆どありませんし。知り合いの企業と言うのも、社長同士の
つながりで一二度話しただけのような関係で、新規事業ごとに違ったりするん
ですが、どれも決まって、そのお客さんの会社の新規事業が上手く行かなくて
も助けてくれませんから、相互扶助的共同体では全然ないですよね。」。

 発言を聞いて、失敗を繰り返すのはなぜと思うか私は質問した。
「学びがないというのがやはり結論でしょうか。単に、市場性や商品特性につ
いての勉強が足りないと言う次元ではなく、新規事業に自社の独自性も何かの
ノウハウもないのだから、その相手の会社が見つかれば、誰でも新規事業を始
められる構造になっていると認識していないことだと思います。やることはや
ったとか、そういう言い訳も、破綻しているのは明らかですし。こう言う会社
が、何となく取引先でも増えているように思えます。市川さんは、どう思われ
ますか」と、その社員は私に尋ね返す。

 ほぼ論点が言い尽くされていると彼を褒めた後で、私は言い足した。
「破綻した言い訳を年に二回ずつ社員や周囲の取引先に繰り返していて、尚本
業では信頼を得ているのなら、皆、その社長の新規事業を趣味や性癖と認識し
ているのではないでしょうか。大損失を繰り返す組織規模の自虐嗜好とかでし
ょうかね」。
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次号予告:
 第293話 『続・分類と理解』 (4月10日発行) 
 CSの原理を用いて、ESの向上を図る取り組みの一場面を描いてみました。
第32話『分類と理解』の発行から10年以上を経て登場する続編です。ご期待
下さい。

(完)