051 残留熱

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経営コラム SOLID AS FAITH 第51号
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ご愛読ありがとうございます。第51号をお届けします。

唐突にMSIグループのPRとなりますが、来年4月から大学講師の仕事を
戴くこととなりました。週1回、「会社の仕組み」や「大手企業と中小企業の
違い」、そして、「就職活動の進め方」などについて講義を致します。内容を
構成中ですが、当コラムの充実に貢献すれば良いと考えています。

また、「月刊フランチャイズ」の連載も既に2月号分まで原稿を納品しまし
た。流通業不振や失業問題など、時事ネタをベースに書いておりますので、宜
しければ、是非、こちらの方もご覧下さい。

今号は、中小企業の強さの本質に真っ向挑んでみました。お楽しみ戴けたら
幸いです。当メールマガジンについてのご意見・ご感想は、どしどしお寄せ下
さい。返事は確実。納期は5営業日です。
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その51:残留熱

とある大手企業に転職して、幹部になった友人から、その企業の幹部会議の
話を聞いた。その企業は、事業分野の幾つかから撤退しようとしているらしい。
彼は私に聞く。

「でね、その部門の事業部長がさ、自分の部門の売上と利益が伸びなくなった
グラフを指して、「この市場はピークアウトしてきた。だから、新規事業分野
に進出が必要です」とか言うわけさ。ねぇ、診断士の先生、「ピークアウト」
って、正確にはどういう意味だっけ?」

経営誌「商工にっぽん」の記事を読む。トラックの普及により、トンネル工
事などに使われるトロッコが廃れて市場がなくなると読んだ大手がその分野か
ら撤退した。そんな中で、トロッコに執着することを選んだ熱意溢れる中小企
業経営者の話が載っている。トロッコに改良を加えることで、後にこの企業は
トラックの排ガスが問題となる深いトンネルやトラックが入りこめない狭いト
ンネルの工事を独占することになる。

多くの大手企業は安易な利益を求めてさまよい、負け犬になることを繰り返
す。例え、自社の売上が下がっても、市場はそう簡単に「ピークアウト」する
ものではない。胸のすく思いのする記事である。

市場は小さく売上の絶対額も大きくはならない。それでも、その市場に関し
ては総てを知り、総てを決められる力を持つ企業。私が敬愛する物流コンサル
タントの花房陵先生は、そんな中小企業を「コップの中の戦いに勝つ強い企業」
と呼ぶ。

「ヒト」・「モノ」・「カネ」・「ジョウホウ」から社員の学歴まで、ありと
あらゆる経営資源が不足している中小企業に「強い企業」を見出す時、教科書
の戦略論や技術論は、単なる結果の解釈でしかないことを思い知る。

ある求人誌の広告営業をする知人がいる。20代の彼女に、なぜ今の仕事に選
んだかを問うと、「転職に苦労した私が助けられた、自信を持って薦められる
内容の本だからです」と彼女は目を輝かせる。「執着」・「熱意」。そんな言
葉を口にする中小企業経営者に会うたびに、コップの中で常勝する企業の姿を
思い知らされる。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと一層楽しめます。
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発行:
「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)

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次号予告:チェイン・リアクション(12月10日発行)
よく言われる「後継者問題」について、その主たる原因に付いて考えた文章
です。ご期待下さい。