148 発話の要否

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経営コラム SOLID AS FAITH 第148号
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ご愛読ありがとうございます。第148話をお届けします。

アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン剤の眠くなる副作用と闘いつつ、日々
を送っていると、今度は、目がやたら痒くなり、アレルギー性の結膜炎と診断
されました。抗ヒスタミン剤の服用に加えて、さらに、滅茶苦茶に沁みる目薬
二種類を一回5分間隔以上で点すことになり、全く閉口しております。今年は
花粉の飛散量自体は少ないとは言うものの、面倒な時期はまだまだ続きそうで
す。皆様は如何お過ごしでしょうか。

さて、二回連続のシリーズ『感情の労働』は前回で終わりました。感情労働
なるものも含め、臨床心理的な知識の経営や人材管理への応用は、社会のそこ
ここに見られるようになって来ました。効果は認められるものの、使い方にか
なりの注意が要るケースが多いように私は思ってみております。今後も当コラ
ムのネタとして登場することがあると思いますので、ご期待ください。

今号は、顧客のニーズを捉える手法として、インタビューやアンケートなど
の直接対象者の意向を聞く手法に関して考えたことをまとめてみました。弊社
のクライアントでも、「顧客のニーズが分からない」や、「同業他社との差別
化に苦慮している」などの声を多々伺います。弊社ではストア・コンセプト構
築や、顧客接点の管理を、改善の手法としてお勧めしております。詳細はPR
欄をご覧ください。本文に対するご意見・ご感想お待ちしております。頂戴し
たご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その148:発話の要否

消費者にサービスを提供する業種が増えているのか、私が御話を伺う企業も、
消費者向けにサービスを提供する滞留型店舗を運営するところが多くなってき
ている。「客離れが起きているんです」は典型的な声。根拠を尋ねると、「ア
ンケートの結果が危機的に悪化している」と「来店者数が減っている」の組み
合わせだったりする。

「けれども、アンケートは店内で書くんですよね。だとすると、アンケートで
酷評を書いた人は来店してますよね。すると、来店者数が減っていると言うの
は、誰が減っているんでしょうかね。私は専門家じゃないので、その辺が分か
らないと、仮説も立たないんです。取り急ぎ、アンケート結果が問題と言うだ
けなら、アンケートを取るのを止めたら良いんじゃないんですか。それとも、
こちらのサービスを嬉しいと思ってるお客さんにだけアンケートを取るような
仕組みにするとか」などと答えると、絶句される。

4年前、引っ越して間もない私と家族を筋向いの住人が夕食に招いてくれた。
庭に続くテラスで、札幌市内の私大の教授であるその家の主が、ビールを注ぎ
ながら聞く。「市川さんは、頻繁に東京に行って、どう言うお仕事をしている
んですか」。当時、零細企業の採用代行が増えていたので、「採用に関わる仕
事です」と言うと、「学生の離職が問題になっているので相談に載って欲しい」
と言われた。

学部長に会う際に持参した企画書はあっさりと受容され、その数ヶ月後から
の半年間、100人を超える大学生に就労観を教えることとなった。私は日本で
大学受験もしたことがなければ、日本で“就活”をしたこともない。以来数年。
薄給で知られる非常勤講師の仕事は、半ば私の趣味となった。趣味なら極めね
ば面白くない。それ以来、中吊り広告に気になる見出しを見ると週刊誌を買い、
若者動向を扱う書籍をどんどん読み漁り、合説に参加する企業経営者の話も
多々聞いた。しかし、就活中の学生の声を集めたことは一度もない。私の講義
内容は就活マニュアルの中身と大きく食い違っていると私のクラスの学生が言
う。

今年は札幌市内の私大二校で千人近くに教える。その一校では、学生に授業
評価と言うアンケートを期末に取る。「先生、総合評価は素晴らしく校内でト
ップクラスです。ただ、早口と板書不足が幾つか共通する批判です」と担当部
長が教えて下さる。中小企業の社長さんが大卒者に期待することの一つはメモ
を取る能力だと知っている。だから私はアンケート結果を全く容れない。受講
生にもメモする練習をせよと言い渡してある。

日本文化についての名著『菊と刀』は、GHQの日本占領政策に影響を及ぼ
したと言われる。著者のルース・ベネディクトは、一度も来日せず、日本人に
自らアンケートを取ることもなく、データからの推論を積み重ねて『菊と刀』
を完成させた。私はその手法を学んだ訳でもなく、私の仕事は彼女の偉業に遠
く及ばない。ただ、お客に答えを尋ね回る前に、プロならやるべきことが多数
あると確信するだけである。
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店舗の集客改善は、ストア・コンセプトの見直しから。
お客様はどのような方で
お客様のどのようなニーズを
どのように満たすことを目的としている店なのか

これがはっきりしない店に、小手先の手法を講じても無駄です。
品揃え、店舗レイアウト、価格帯、販促手法などなど、
お客様との関係の中で、総て自ずと規定されるべきものです。

ストア・コンセプトの概要は、こちらをご覧ください。
http://www.msi-group.org/MSI-StoreConcept.htm

店舗販売、営業の如何を問わず、
お客様の中に作り上げられる自社のイメージをコントロールしましょう。
バブル期大流行のCIも、
本当はロゴをカッコ良くすることではありません。

ブランド戦略といえば大仰ですが、
自社とお客様がどのように接触を重ね、
その中でどのようにお客様が自社を認識するかをコントロールすること。
それが、本質的なPRや広告、販売促進の目的です。

弊社ではそれを顧客接点管理と言う考え方で皆様に薦めております。
詳しくはこちらをご覧ください。
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合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告: 第149号 『家電的経営』 (4月10日発行)
フランチャイズのオーナーや、小売業経営者に、比較的多く見受けられる、
企業経営という営みを、既成のブラックボックスとして認識するあり方につい
て、家電製品の修理専門店に行った時に気づいたことをまとめました。結構深
い感じです。ご期待下さい。(完)