193 降って湧く口実

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経営コラム SOLID AS FAITH 第193号
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ご愛読ありがとうございます。第193話をお届けします。

東京では既に今春の花粉に関する情報を耳にするようになりました。寒いの
が非常に苦手な私としては嬉しい限りですが、またマスクが必需品になる時期
が来るのかと思うと憂鬱にならざるを得ません。今春の花粉は量も多く長く飛
散が続くとの噂です。同病の読者の皆様、諺通り、相憐れみましょう。

200話発行特別記念号について、今号でもまた衝撃のお知らせがあります。
下欄を是非ご覧下さい。また、前号の予告欄の次号発行日が誤っていました。
謹んでお詫び申し上げます。

さて、今回のコラム『降って湧く口実』は、古典的な営業テクニック、「毎
回の打ち合わせに、次のアポまでの宿題を出して頂く」を真面目に考えてみま
した。お客様との約束のあり方について考えてみて戴くきっかけとなれば幸い
です。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その193:降って湧く口実

クライアント企業のロビーで読んでいたのは、広瀬隆氏の『私物国家』。先
方の課長が、お待たせしましたと現れて、カバーのかかった『私物国家』を指
差して言う。
「おお。市川さんが読み耽ってしまう本は何なのか教えて欲しいですね」。

『東京に原発を』や『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』などから始まり、
『地球の落とし穴』、『危険な話』など。二十歳の頃、初めての海外旅行で行
ったソビエトで一番長く滞在したキエフ市。その翌年キエフ市を完全に汚染し
つくしたチェルノブイリ原発事故。そんな感じで関心を持ってから、広瀬隆氏
の本は読み続けている。そんな話を課長にしたら、是非、幾つか推薦して欲し
いと言われた。
「ああ、でも、古書でも余りないんですよ。書かれて不都合のある人が沢山世
の中に居るから、入手が困難なのかもしれませんが。まあ、適当に探して買っ
てきますよ。酒も飲めない私が接待することもないので、広瀬隆はプレゼント
と言うことで」と笑って見せた。

そんな感じの会話は幾つかのクライアント先で発生する。私の推薦書を渡し
て喜ばれ、後日感想を交わして更に楽しむ。その頃には私は次の本を読んでい
て、また推薦書が発生する。その渦中の一人から、「市川さん、女性にもてる
でしょ」と唐突に言われる。そんなことは全然自覚もなけりゃ、記憶もないと
唖然として応えると、三十台前半の彼が言う。
「最近、彼女ができたんですが、デートの約束をこう、なんていうか自然に次
々と半自動的に設定する口実が大変なんですよ。バレンタイン・デーとか、ホ
ワイト・デーとか。あと両方の誕生日とか。それで、お勧め本を彼女にも読ま
せることにしたんですよ。そうしたら、会って話す口実が増えるじゃないです
か。だから市川さんもそうかなって思って」。

デキル営業担当者は、お客と商談で必ず自分に宿題を出して、次のアポの口
実を作ると、どこかのコンサルタントの営業関連セミナーで聞いたような気も
する。デキル営業になった覚えは一切ないが、客先の待ち時間でも本に読み耽
ることが、勝手に宿題作りに貢献しているなら便利至極だ。

次の訪問先に行き、事務所に入るとすぐ脇にファクスがあって、ずるずると
一枚の紙がまさに吐き出されてきた。送り主は浜松市にある零細企業。先般、
浜松市が政令指定都市になり、住所に新たに「区」が挿入されたとの連絡であ
る。そこの社員がファクスを摘み「他の浜松の取引先からはこんな連絡来てな
いよね。他の会社は住所を調べて直せってかぁ。まあ、郵便番号も同じだから、
放っておいても当面問題はないのか。じゃあ、この会社は何でわざわざ連絡し
てくるんだろ」と呟く。

努力しても勝ち得ねばならないコミュニケーション・チャンス。降って湧い
た口実さえ逃さないこの零細企業と言う会社を無性に訪ねてみたくなった。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

弊社サイト 新設ページ
『典型的中小零細企業の営業機能改善』!
中小零細企業の潜在力と限界を強く意識した
営業組織の形成の一方法論。
是非、ご一読下さい。

既存ページの
『営業基本定着』のページの子ページとして位置づけてあります。
http://www.msi-group.org/MSI-4sales.html

新設ページ
第一弾:『典型的中小零細企業の営業組織の想定』
http://www.msi-group.org/MSI-Sales-Strategies-vol1.html
第二弾:『中小零細企業の営業組織の改善の方向性』
http://www.msi-group.org/MSI-Sales-Strategies-vol2.html
第三弾:『中小零細企業の営業組織の顧客満足向上』
http://www.msi-group.org/MSI-Sales-Strategies-vol3.html
第四弾:『モデル的中小零細企業の営業組織の段階的改善』
http://www.msi-group.org/MSI-Sales-Strategies-vol4.html

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【200話発行記念特別号 企画大幅変更!】

5月上旬の発行開始が迫る!
コアとなるのは、200話から始まる、
創刊以来最長の4回連続シリーズ。
題して『斜陽の樹影』…

の筈だったのですが、
モチーフとなっている書籍を読み返しているうちに
話の展開がもっとあることに気付き、
書き足すこと、更に2話!

と言うことで、200話発行記念特別企画は、
前代未聞。未曾有の超ロングシリーズ、
『斜陽の樹影』全6話をお届けすることとしました。

各号、まだ仮題ですが…
第一弾 200話 『伸びる棒』
第二弾 201話 『不愉快な穴』
第三弾 202話 『危険手当』
第四弾 203話 『動物の覚悟』
第五弾 204話 『互助の始まり』
第六弾 205話 『変態の約束』

5月から始まり、終了するのは7月。
延々続く記録破りのシリーズをお楽しみ下さい。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
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次号予告:
第194話『大義の実感』 (2月25日発行)
インターネット上の提携事業者募集の広告に、「ダイナミックな手応えのあ
る仕事」を求めて中高年SEの方が応募していらっしゃいました。ダイナミッ
クな仕事とは何であるのか。格好の良い仕事とは何であるのか。そのようなこ
とを考えてみました。ご期待下さい。(完)