444 知的満足

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経営コラム SOLID AS FAITH 第444号
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 ご愛読ありがとうございます。第444話をお届けします。

 猛暑が各地で続いています。暑いとハイになって、へらへらと陽気になる弊
社代表の市川と言えども、体には物理的に負荷がかかるので、案件の合間に昼
寝をしたりつつ健康管理をしています。

 今回の号は書籍のネタばかりになりました。いつもの「仕入完了報告」の欄
での書籍の紹介は当然ですが、それ以外にPR欄でも、弊社代表の市川が聞き
手を務めた、松本道弘先生のユニークな映画評論『映画でみがく英語道 松本
道弘の映画道場』を紹介しています。
 
 さらに本文では、書店で見ると売れに売れている『AI vs. 教科書が読めな
い子供たち』の内容を振り返り、以前、当コラムの200話発行記念特別号でも
取り上げた内田樹氏の名著『下流志向』の中身に考え至ります。『下流志向』
で描かれる人々の特徴は、「分からないことをなかったことにする能力」。ま
さにそれがデータで実証された状況となりました。中小零細企業の強みはヒト
に依存しがちです。そのヒトの働き方を考える上で今回の『知的満足』の内容
は重要な論点になっていると思います。ご一緒に一考賜れたら幸いです。ご意
見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は
5営業日!!

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その444:知的満足

「次の文を読みなさい。『Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名
Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。』
 この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢
のうちから1つ選びなさい。
『Alexandraの愛称は(  )である。』 ①Alex ②Alexander ③男性 
④女性」

 誰かに会うたびに聞かせることを数回繰り返すうちに、丸暗記してしまった、
『AI vs. 教科書が読めない子供たち』に載っている問題。私が言い終わるが早
いか、皆、正解「1. Alex」を選ぶ。そして、「え。こんな簡単なの?」と訝
る。だが、全国の中学生235名の正答率は38%に過ぎない。4を選んだ生徒が39%
と1ポイント多い。全国の高校生432名でも正答率はたった68%。ほぼ3人に1人が
間違っていて、4を選んだ生徒も26%存在する。

「どうも、読解力が根本的に欠けている子が多いって話なんですが、読書量と
も読解力は相関していなくて。おまけに、中学生の三年間は上昇傾向ですが、
高校に入学すると、基本的に読解力は固定してしまって、その後、大学生にな
ろうと、社会人になろうと、普通に暮らしているだけでは読解力がそれ以上に
伸びることはないようなんですよ。つまり…」。

 私が説明すると、また私の言葉を遮って、聞き手は血相を変えて叫びだす。
「それじゃあ、そんな奴がウチの会社にもたくさんいるってことなのか。そん
な馬鹿な」。

「あの。ちょっと、いいですか。誰か一人で、今日までの課題の説明してもら
えますか」。
 元弟子のクライアント先での勉強会運営を見るように言われた私が、進行を
止めて、参加者に発表を促してみた。案の定、議事録に書かれている内容とは
異なっている。元弟子に私はその日の進行する内容を再度詳細に説明させ、参
加者に復唱してもらうことにした。

 内田樹氏の名著『下流志向』で描かれる人々の特徴は、「分からないことを
なかったことにする能力」。見えていても、聞こえていても、分からないこと
はなかったことになる。作業マニュアルも、ビジネス書も全部理解できる。ど
んな難しいニュース解説を聞いても疑問が湧くことなど決してない。なぜなら、
分からないことはなかったことになるから。分かったふりをしているのではな
く、本当に分からないことが見つからない人々。

 2007年に書かれた『下流志向』は、中小零細企業の社員育成の方法論を根
本から見直させてくれた。「確かにそう考えると辻褄が合う」と私に同意した
社長や店長が購入した冊数は三桁に上る。仮説だったその現象が、とうとう向
き合うべき現実になって感慨深い。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

ネットでセミナーの告知を見て、昨年20数年ぶりに、
英語道の開祖、松本道弘先生に再会しました。
比較的最近、当コラムの第424話『続・徒手空拳』と、
第436話『次世代タンス預金』にその経緯を描いています。

英語道は、英語を柔道や剣道のような
「道」として捉えて学ぶ考え方で
私はそれに20歳の頃に巡り合いました。
松本先生の各種の教えは、初期の当コラムのネタにもなっています。

 ●第008話『虹を追う者』
 ●第124話『快い問い』
 ●第152話『動機の圧搾』
 ●第235話『適正在庫維持』

さらに、14周年記念特別号でも15周年記念特別号でも
松本先生の教えについての言及があります。

インターネットもなければビデオもなかった時代、
完全入替制もなかった当時の映画館で、
松本先生は何度も同じ映画を観ては、
その中の英語表現を悉く覚えて行ったと言います。
当時の松本先生にとって映画館は“英語道場”だったのです。

その『次世代タンス預金』で触れられている
松本先生初の電子書籍のみで発行する作品が完成しました。
私も「聞き手」として登場しています。

それが『映画でみがく英語道 松本道弘の映画道場』です。
松本先生に映画を観て戴いて、日米の文化比較の考え方や
日本人にはなかなか使いこなせない英語表現の妙を
じっくり解説して戴く内容です。

■第一弾 映画「恋愛小説家」編
 https://amzn.to/2F1ufix
■第二弾 映画「カッコーの巣の上で」編
 https://amzn.to/2qKdBzF

一冊648円。各種電子書籍サイトで販売中です。
是非ご一読ください。

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●第008話『虹を追う者』
 http://tales.msi-group.org/?p=45
●第124話『快い問い』
 http://tales.msi-group.org/?p=176
●第152話『動機の圧搾』
 http://tales.msi-group.org/?p=205
●第235話『適正在庫維持』
 http://tales.msi-group.org/?p=360
●第424話『続・徒手空拳』
 http://tales.msi-group.org/?p=1057
●第436話『次世代タンス預金』
 http://tales.msi-group.org/?p=1222
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『日米同盟のリアリズム』 小川和久 著
■『捨てられる銀行』 橋本卓典 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第445話 『気合と根性』 (8月10日発行) 
 脳の働きに関する最近の複数の書籍で「ガンバレ実験」と呼称されている実
験の結果から、中小零細企業の現場で社員にやる気を出させる方法について一
考してみました。

(完)