124 快い問い

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経営コラム SOLID AS FAITH 第124号
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ご愛読ありがとうございます。第124話をお届けします。

4月が近づき、桜前線の話が聞こえてくると、毎年のことながら「4月から
の予算で…」と言うお話が動き始めます。案件開拓を念頭に、私は企画書書き
を続けておりますが、皆様は如何お過ごしでしょうか。

前号でも触れました通り、採用関連の御引合いは増えておりますが、やはり、
採用後の定着がうまく行かず、例年の大量採用が経営を圧迫している例に多々
お目に掛かります。若手が辞める理由は何であるのか。採用も立派な事業経営
の一環である以上、漫然と失敗を繰り返すのではなく、どんどん現実に即した
対策を打つべきものと思っております。ご関心を賜れましたら、PR欄をご覧
下さい。

さて、経営の基本は「なぜ」を問うことと聞きます。その「なぜ」について
私の経験や考えをまとめてみたのが今回の号です。お楽しみ戴けたら幸いです。
ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納
期は5営業日!!
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その124:快い問い

“How come you can do that. You’re so rad.”
留学時代の学期末の或る日、パトカーの払い下げを買った巨大な車から駐車
場に降り立つと、屯していた友人達がその学期の成績を問う。「また、ストレ
ートA(全教科A)」と答えたら、皆が同じ台詞を言う。直訳すると「なんで
そんなことができるんだ。ほんとに滅茶苦茶な奴だ」と言うことだろう。クー
ルもホットもニートも使い古されて、当時の大学生は「凄い」や「かっこいい」
をラッドと言っていた。ラッドはラジカルの略らしい。

その頃の私は、困窮していたので、早く卒業することに心血を注いでいた。
現地の学生の3割~5割も多く単位を取り、各種特典のために成績も上位に保
っていた。毎日頭はフル回転状態で夜寝られず、毎晩睡眠薬を飲んだ。朝にな
ると頭が割れる程に痛いので、頭痛薬を飲む。文字通り血を吐く程に勉強して
4年分を2年半で片付けた。毎日毎日、勉強の中味よりも、勉強方法や単位を
早く取る方法ばかりを考え実践し続けた2年半だった。「なぜできるのか」と
問われれば、「立てた作戦があたった」と答えて笑った。ラジカルは大根と語
源が一緒で「根源的」と言うこと。嬉しい誉め言葉であった。

留学前に松本道弘先生の英語合宿に参加して、WHY・BECAUSEの練習をした。
二人一組になり、一人が例えば「私は学生です」と英語で言う。すると、相手
が「なぜ、あなたは学生なのですか」と尋ねる。「英語を勉強したいからです」
と答えると、また「なぜ」が問われる。これを30分繰り返すと、「なぜ」の機
械的な反復に苛立つ自分が分かる。

「なぜ」は英語圏で最も問われ、日本語圏で最も問われない質問であると言う。
論理構成が重視される英語圏での会話で、「なぜ」と問うのは関心の証。
「Whyを喜べる様になりなさい。それはあなたの発言への最大の賛辞」と習っ
た。自分がされて嬉しいことを人にもせよと子供にも教える。ならば、人にも
「なぜ」を問うて喜ばれなくてはならない。

養老孟司氏の本を読むと、文武両道は、本を読み、武道を学ぶことではない
と言う。文は脳への情報のインプット。武は脳から筋肉への情報のアウトプッ
ト。これら二つを有効に組み合わせるのが文武両道らしい。思考は現実化する
と言う内容の本が売れているという。しかし、文武を考えると、現実化した総
ての蔭に、思考の存在が窺われるだけのことであろう。現実化しないものは認
識できない。認識できない思考もまた存在していない。「下手な考え休むに似
たり」とは、恐ろしいほど含蓄のある言葉である。

私の元いた職場では、私の近くにいて仕事を一緒にすると、「市川化する」
とか、「『市川』が伝染する」と言う人々がいた。病原体や、磁場や電場のよ
うな「場」を放っている訳でもない。「類は友を呼ぶ」と言う。願わくば、友
となってくれる人々も、「なぜ」を身悶えするほどに喜ぶ人々であって欲しい。
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次号予告: 第125号 選ばれる場所 (4月10日発行)
某店舗コンサルタントの講演で、「入りやすい店が良い店」と聞いて、我が
耳を疑った話をまとめてみました。ご期待下さい。(完)