424 続・徒手空拳

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経営コラム SOLID AS FAITH 第424号
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 ご愛読ありがとうございます。第424話をお届けします。

 2013年のクリスマスにソリアズ第334話『徒手空拳』を発行しました。技術
の進歩と共に、人間に必要とされるスキルがどのように遷移するのか、または
遷移しないのか、そんな内容を考えてみた内容です。それから4年ほどの時間
が経ちました。技術は激烈に進み続けています。進み続けているというよりも、
その発達のスピードをジワジワと上げています。

 今回の第424話『続・徒手空拳』は、そのような状況の中で、語学を学ぶこ
との意義から学校教育の意義まで考えてみたものです。AIの進展と共に、職業
人に必要とされるスキルも(職種分類によっては)従前とは全く異なるものに
なっていく可能性があります。

 自分達はそのような劇的な労働環境の変化を免れる年代だったとしても、自
分の子供達は確実にその時代を生きることになります。子供を持つ人々と子育
てのあり方について意見交換をすることがあります。それは取りも直さず、10
年後、20年後の未来に職場で求められるスキルを想像する作業に直結していま
す。第334話『徒手空拳』と併せて読んで戴き、自分も自社の若い社員達も子
供達も長い時間を投じて学ぶべきものが何であるのかについて、一緒にご一考
戴ければ幸です。

 本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへ
のお返事の目標納期は5営業日!!

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その424:続・徒手空拳

 漸く娘が義務教育を卒業した後の春休み。高校のカリキュラムを娘と眺めて
いて、三年生の選択科目に入っている第二外国語が話題になった。選択肢はフ
ランス語・ロシア語・中国語・韓国語。この高校は英語教育にも熱心なことで
知られている。学生達に英検やTOEICを受けるよう指導をするらしい。

「あと、10年弱ぐらいは英検だのTOEICを受けた方が就職とかに有利なんだ
ろうなぁ」。
 私が言うと、娘は怪訝な顔をして聞いている。スカイプでも自動翻訳が普及
し、スマホでも通訳アプリの質が向上していると聞く。ウェブの文字翻訳の機
能はかなり前から存在して、大雑把な意味を取るぐらいなら全く問題がない。
10年もしないで、ビジネス上の翻訳も通訳も人間に求めなくなっていくだろう。
読み書き・話し聞きの4能力など苦労して磨く必要が殆どなくなる。英検だの
TOEICだのがビジネスで有用である時代は終わる。
 
「これからは、英語も理科や数学のような科目と同じになるってことなんだろ
うな。地学も物理も化学も、日常で直接必要じゃないし、その知識を一般の仕
事で活かす場面は殆どない。数学も、微分方程式が解けたり、フーリエ変換が
できたりしても、特に何か得する場面はほぼない。けど、世の中の構造や出来
事の裏が見えること。そういうことのための基礎知識ってことでしょ。じゃあ、
英語も、ガイジン相手の道案内だのご機嫌取りのくだらない会話の能力は関係
なくなって、純粋に学問として勉強することになるんだな」。
 私の話に娘は「ああ、なるほどね」と頷いていた。

「第二外国語も、そんな風に考えて決めたら良い。書道が好きなんだから、イ
ミフな漢字を書くんじゃなくて、中国語を習って書くのも良い。夏目漱石とか
明治ぐらいまでの文化人は、皆、漢文の読み書きできたらしいし。そうじゃな
くて、フランス語もアリかもしれない。欧米の学問は比較的最近までラテン語
で記述されていたから、その直系言語のフランス語は格調高い感じがするらし
い。アメリカ人もフランス語を勉強したがる人が多いし」。
 娘は第二外国語の選択肢が有意義に二つに絞り込めたことを取り敢えず喜ん
でいた。

 私に英語道を教えてくれた松本道弘先生のセミナーが開催されたので、30年
ぶりにナマの先生を見に行った。懇親会の席で、「グローバル人材の育成には、
幼稚園から英語教育が大事」と力説する人に出くわした。一頻り主旨を聞かさ
れた後に意見を求められた。

「どうせ、外国語なんかAIが翻訳も通訳してくれる時代になるから、中身の有
無が勝負になるでしょう。だから、私は自分の子供にも他人の子供にも、関心
や興味を色々なものに持って、思考するように育てることが優先事項ですけど
ね」と、私はヘラヘラと応じた。

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■第334話『徒手空拳』 http://tales.msi-group.org/?p=643
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

原稿準備が進む『経営コラム SOLID AS FAITH』
18周年記念特別号は、例年通り、10月末日発行!

中小零細企業とICが、事業者全体における大きな割合を占める…
そんな時代が訪れつつあるように思えます。

その時、大手企業はどうなっているのか。
中堅企業はどうなっているのか。
なぜ中小零細企業とICがどんどん増えるのか。
そんなことを考えてまとめてみます。

もちろん、中小零細企業とICが増えると言っても
テキトーに好い加減な商売をしていては淘汰がほぼ確実です。
生き残りに成功する中小零細企業とICの事業のカギは
経営技術の徹底ではないようです。
なぜなら、経営技術の衰えと死は、じわじわと迫りつつあるからです。
小さな組織においては、確実に経営技術のニーズが減衰しています。

零細事業者の時代の幕開け。
零細事業者は急激に増殖した後に、
激烈な淘汰に曝されることでしょう。

競合も明確に分からないのが零細事業者ですから、
競合分析も競争戦略も全く役に立ちません。
他社との差別化も他社が見えなければ八方塞、
マーケット・セグメンテーションも人口減少で市場が縮小すれば、
分けるほどに売上も利益も落ちてしまいます。

近い将来の零細事業者の増殖の背景と
そこでの生き残りのカギについて考えてみることにします。
日本の規模別事業者分布についてのソリアズ流大胆未来予測。

ご期待ください。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『アナタたち、「いつか結婚できる」と思っているでしょ?』
  荒木久美子 著
■『ちょっとマニアックな図書館コレクション談義』 内野安彦 他 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第425話 『人柄重視の関係』 (10月10日発行) 
 最近出会う就活中の大学生に話す中小零細企業の選び方について一話にまと
めてみました。

(完)