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経営コラム SOLID AS FAITH 第8号
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第8号をお届けします。
第7号の発行後、今まで1100に到達してから、不思議なくらい一定してい
た総読者数が、やや上昇を始めました。読者の方からは、特にご感想をお寄せ
いただいていませんので、みなさまに前号がどのように受け止められたか知る
術もありません。身体に障害のある人々の話しをモチーフにしたのが、初めて
覗いていただいた方の関心を喚起した理由かと思います。
そういった新しい読者の方には、モチーフが私の日常生活上、何でもありの
SOLID AS FAITH が、どのように感じられるのか筆者として大変興味がありま
す。もしよろしければ、今までのバックナンバーの読後感も含めて、是非、ご
感想をお寄せください。
それでは、今後とも、SOLID AS FAITH にご愛読を賜りますようお願い申し
上げます。
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その8:虹を追う者
ディベートの権威として知られる松本道弘先生は、英語を柔道や剣道のよ
うな「英語道」として教えている。遠い昔、英語検定一級を目指していた私
は、先生の「英語道」の道場でお世話になったことがある。「試験突破には、
語彙が圧倒的に足りない」それが参加の動機である。
ホテルに缶詰の特訓の後、先生と直接話す機会があった。
「どうしても、語彙を増やさないことには、一級に受かりません。どうした
ら良いか教えてください」
「どんな語彙を増やしたい?」
「それは…。試験に出るような広範な語彙です」
「具体的に、それはどんな分野なんだ?」
「具体的にと言われても…」
「例えば歴史の話がしたいなら、日本語でいいから、歴史をよく勉強するこ
とだ。そうすれば、どんな語彙を知るべきか自ずと分かる。英語は生きてい
て、日々刻々と変化するコミュニケーションの手段だ。目的が決まらないの
に、手段を選ぶことはできない。何を話すか決まらないのに、語彙は増やせ
ない。」
先生は続けた。「それに、語彙が少ないから話せないと言うのも嘘だ。今、
ここにコップがある。君がコップについて話をしようとしたとしよう。そこで、
君はコップと言う言葉をど忘れした。さあ、どうする?「言葉を忘れたから、
この話はやめましょう」と言うのか?多分「ここに在るこれなんだけど…」
とか、他の表現を使うだろう。手段より、目的の方が大事ではないのか?」
目から鱗が落ちた私は、先生が最後に付け足した言葉を一生忘れない。「語
彙だけ増やそうなんて言うのは、虹を追いかけるように虚しい」。
英語の「語彙」・「表現」を「装置」や「人材」に、そして「歴史」や「コ
ップ」についての話は「経営目標達成」や「顧客満足」に置き換えてみよう。
「経営のビジョンと言っても、今は潰さないのが精一杯だから」、「中小では
良い人材が取れないから」、「大手のような設備投資はできないから」。こん
な声を聴くに付け、昔の私のように虹を追いかけている経営者が、世の中には
結構存在しているのではないかと感じる。
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