『パリピ孔明 THE MOVIE』

4月25日の封切から3週間半ほど経った月曜日の夜7時15分の回を新宿ピカデリーで観て来ました。上映は23区内16駅17館(池袋では2ケ所)で行なわれていますから、それなりの人気であると一応解釈でき、都内に拡大すると25駅27館(立川でも2ヶ所)での上映体制です。しかし、新宿ピカデリーでも1日1回の上映しか行われていませんし、池袋、渋谷、品川など主要駅の上映館の状況をざっとネットで調べてみても、1館当たり1日1回の上映状況しか見当たらず、その上映時間枠も午前中早めなどの、不人気枠ばかりが目につきます。その意味ではピカデリーを含めて午後や夜の時間帯になっている館は少数派です。

ネット上でも一般には不発作品としての評価が定着してしまっているように感じられます。つまり、もっと当たるものと想定されたまあまあの大作であったので、上映館は多数になったにも関わらず、意外の不評の風当たりに各上映館が上映回数を激減させた状況と考えることができるようです。

私はこの「作品」が結構好きです。私の言う「作品」はテレビドラマのことです。現状、この作品は、コミックとして連載され、その後アニメ化され、テレビの実写ドラマ化され、そして今回の実写映画化に至っているものと思います。私は原作のコミックも知らず、アニメも知りません。単純に実写ドラマを観て好きになりました。実写ドラマはTVerの中で偶然見つけ、そう言えば、三国志の諸葛孔明が現代日本の渋谷に転生(?)するような物語があると聞いたことがあったなと思い出し、観てみるとそれなりにハマったのでした。

私は一般に中国史が嫌いです。高校時代の世界史の成績はまあまあでしたし、現時点でも、証券会社の営業担当者に「豪ドル」の投資を奨められた際に、「歴史的に見て、大英帝国連邦の全部から犯罪者を島流しにした結果の棄民の末裔国家の通貨にあまり投資の意欲が湧かない。ン十億などの単位のカネ余り状態なら検討に値する選択肢としては認められるが…」などと答えるなど、世界史の知識を現代の各々のエリアの人々の文化や風俗を理解する大きな助けとしている部分はあり、その意味では中国史も相応の知識は持っている方になるかもしれません。

しかし、中国史だけを刳り貫くと、あまりに戦乱が多過ぎ、古代から巨大国家の統治が荒っぽく試行錯誤されてばかりで能がないように思えてならず、あまり関心が湧きません。実写映画だけで言うなら、先日とうとう完結した『キングダム』シリーズには辛うじて好感を持てましたが、それも戦記モノとしての面白さと実写映画出演俳優のユニークなキャラクターへの成り切り度合を愉しんだのであって、オリジナル作品そのものの世界観が取立てて好きと言う訳でもなく、当然ながら、原作コミックを読もうという気が起きたことは一度もありません。

三国志については、以前『週刊モーニング』で連載していた『蒼天航路』はそれなりに楽しんで読んでいましたので、その中に含まれる主だった戦い名や一部主要登場人物名などは理解していますが、それ以上の知識を持ち合わせていません。娘に拠れば、ネット上では横山光輝のコミック『三国志』はミーム化して、ネット上の常識(ないしは義務教育必修科目的な扱いの知識)になっているとのことでしたが、それでも尚、横山光輝を改めて読む気も起きず、横山光輝作品で言うなら自宅に全巻揃えている文庫本サイズの『鉄人28号』の方が私にとっての代表作です。

その延長でDVDでは『新解釈 三国志』も観て一応楽しみましたが、それも登場する俳優陣の成り切り度合をトレーラーで観ていたので関心が湧いたというのが鑑賞に至ったほぼ総ての動機であろうと思えます。敢えて言うなら、当時この作品中の台詞が当時の美観で女性の容姿をガンガンネタにするものだったので、ルッキズム的な見地からの否定論が渦巻いていて、そうした馬鹿げた議論の根本要因に関心が少々湧いたというのもあります。広瀬すずが醜女と罵られ切り捨てられるという場面は非常に興味深いものでした。(そういった点を加味しても尚、『キングダム』同様、劇場鑑賞には全く至らない程度のモノです。)

そのような私が、本作の実写ドラマが(過去の三国志関連作の中で最大レベルで)気に入ったのは、理由があります。弱者の成り上がりのステップの各々が、私がオモテ稼業の中小零細企業の経営支援の仕事をする上で日々意識しているランチェスター戦略による「弱者の戦略」の形で、実写で生々しく描かれていることです。そこへ森山未來と上白石萌歌の主演ドラマと言うことで、一気に関心が膨らんだのでした。

私は邦画と洋画で自分のベスト50の作品をリストアップしています。最近名作が幾つか加わって「次点」評価の作品も入れると各々55作ぐらいになっています。その中に最近加わった『ボクたちはみんな大人になれなかった』と『子供はわかってあげない』の各々の主演がこの二人で、大ファンと言うほどではないものの、彼らが主要な役割を担っている作品には多少の関心が湧くようになっていたのです。

森山未來の方は、最近観た『春の画 SHUNGA』で吉田羊と共にナレーションを担当しています。ウィキで見るとダンサーという肩書も登場しますが、私はその分野での彼の実績をよく分かっていません。『春の画 SHUNGA』の感想の追記で以下のように書いています。

[以下抜粋↓]

追記:
 森山未來は私にとっての大傑作作品の『ボクたちはみんな大人になれなかった』で認識できるようになって以来、『シン・仮面ライダー』でも劇場鑑賞時に一応認識し、ドラマの『パリピ孔明』では三国志好きのクラブ・オーナーが板についていて楽しめました。ウィキで見ると、ナレーターの仕事も多々手掛けているようですが、今回、彼と分かりつつ聞くナレーションもまたこの作品の魅力となったように思います。
 仮面ライダーつながりでもないのですが、比較的最近漸くDVDで観ることができた『仮面ライダーBLACK SUN』では吉田羊が怪人幹部ビシュムとしてずっと出ずっぱりでした。吉田羊の濡れ場というのは記憶がありませんが、今回は声だけながら北斎作品で(読上げているのですが)喘ぐので私にとっては少々のイメチェンでした。

[以上抜粋↑]

上白石萌歌の方は、私がまともに彼女を認識できるようになったのが、『子供はわかってあげない』だったのですが、それが私が原作も敬愛する作品だったのに、超弩ストライクの配役で、固唾を飲んで見入るぐらいの作品でした。その後、私が劇場で観た中では『KAPPEI カッペイ』に出演していましたが、如何せん駄作の作品の中で、設定もやたらに粗雑な役回りだったので、彼女が光っていなかったと思います。『KAPPEI カッペイ』の感想記事でこう書いています。

[以下抜粋↓]

 私がこの映画を観たいと思った最大要因は、『子供はわかってあげない』で最高に良かった上白石萌歌です。私は個人的に、横長丸顔、ショートカット、色黒、幼児体型が女性像の外見では好ましく感じる条件なのですが、『子供はわかってあげない』の日焼けした上白石萌歌は、まさにどストライク状態でした。しかし、今回の彼女は日焼けしていないので条件が一つ欠けてしまっています。さらに、彼女の横長丸顔が際立つのは、ニンマリ笑って頬が隆起した状態なのですが、本作でそのような笑顔は後述する状況によりかなり抑制されていて、その点でも良さが減っていました。

『子供はわかってあげない』を鑑賞した前後にテイジンのCMの歌って踊る彼女の動画を見返しては楽しんでいましたが、当然ながら本作では(歌ったり踊ったりを至近距離で鑑賞する立場にはなっていましたが、自分では)歌ったり踊ったりしません。色々な意味で、私が期待する上白石萌歌のスペックを上げる要因が見当たりませんでした。

[以上抜粋↑]

その後観た『水深ゼロメートルから』という、意識高い系JK演劇原作映画が結構残念なできでしたが、その作品で主題歌を担当しているAdieuというアーティストが上白石萌歌であることに後から気づきましたが、特にその時点で彼女の歌手としての活動そのものに特段関心もなく、寧ろ記事には以下のように書いています。

[以下抜粋↓]

しかし、それに気づいた時には既に観終ってからそれなりに時間が経っていたので、全くそれがどんな曲か分かりませんでした。『子供はわかってあげない』というアオハル系映画の金字塔の主演を務めた彼女からみたら、この妄想的JK物語はどのように認識されたのか気になる所ではあります。

[以上抜粋↑]

それぐらい残念な作品でした。実は私は『子供はわかってあげない』以前に、上白石萌歌と知らずに、彼女に注目していた作品を劇場鑑賞しています。それは『3D彼女 リアルガール』です。『子供はわかってあげない』を鑑賞して感想記事を書く際に、その事実に気づいて愕然としました。『子供はわかってあげない』の感想にこのように書いています。

[以下抜粋↓]

 さらに、観てみて良かったのは、上白石萌歌です。私は個人的に、横長丸顔、ショートカット、色黒、幼児体型が女性像の外見では好ましく感じる条件なのですが、まさにどストライク状態でした。普段はあまり横長丸顔に見えないのですが、笑ったりした際には頬が盛り上がり、完全に横長丸顔になります。後半夏の陽にやかれてガングロ状態になったところで、そのぐりぐりの瞳が創り出す表情が尚更素晴らしかったです。終盤の屋上の正座告白の名場面も、緊張すると笑い出す美波の必死の状況をとても器用に実現しています。最後の「発狂しそう」のニュアンスはどうなるのだろうとハラハラしていましたが、非常に納得のいく「発狂しそう」だったと思います。

追記:
 今回の上白石萌歌を観て関心が湧いたので、以前、彼女がコミュ障のオタク少女綾戸を好演した『3D彼女 リアルガール』をDVDで見直してみようかと思い立ちました。

[以上抜粋↑]

その『3D彼女 リアルガール』を観た際の、主人公ともう一人登場するオタク少女のありようが鑑賞時の私にやたらに刺さっていることが、その感想記事から分かります。以下のように書いています。

[以下抜粋↓]

 おまけにオタク特有の緊張によるぎこちなくおどおどした動作の再現にも高いレベルで成功しており、主人公を演じた役者がパンフで自分が好きな『トイ・ストーリー』のウッディの動きをまねたと語っている、教室の机の隙間を腰をひねりながら慌ててすり抜けるシーンや、もう一人登場する真性オタク女子高生綾戸の驚くごとにショックで投げ出されるように倒れるシーンなど、各種オタクモードが連発します。非常に楽しめます。

[以上抜粋↑]

この「真性オタク女子高生綾戸」が上白石萌歌だったのです。この作品をDVDで入手した際にも、物語全体を見る気は湧きませんでしたが、綾戸が目立つシーンだけ何度も繰り返し観たぐらいに最高です。『子供はわかってあげない』も『3D彼女 リアルガール』もマンガが原作ですが、ファンの間で前者の美波と後者の綾戸の実写での再現度合いは高く評価されているように私は認識しています。そして『子供はわかってあげない』を観ても(ウィキだったかパンフだったかのプロフィール欄で見るまで)全く分からないぐらいに上白石萌歌はその二つの役になり切れたということなのだと思います。

私は上の感想にも書いている通り帝人のCMの『DAKE JA NAIサンバ!』を歌い踊る彼女が結構好きで何度も見返したことがあります。その結果、私は彼女が“歌って踊れる”ことを知っていましたが、(踊るはさておき)ハロウィーンには鬼の格好をして歌い観客を煽る歌手の役を演じた、この『パリピ孔明』が結構気に入ったのでした。

また、パンフにも書かれていますが、この作品には本気にヒットチャートに上がってきても不思議ないような質の高い音楽が、劇中のアーティストの曲として惜しげもなく使われています。取り分け、劇中でも孔明が「心に響く歌で、民草の心を一つにする」と評して惚れ込む彼女の歌はどれもできがよく、テレビドラマの段階ではオリジナル曲が2編、各種のアレンジで登場します。(そして今回の映画では3曲目が登場しています。)特に作詞・作曲を幾田りらが行なった第1作の『DREAMER』は名曲だと思います。

そんなドラマの『パリピ孔明』が終了した後、早くDVDで出ないかと待っていましたが、全く実現しませんでした。「ああ、なぁんだ」と諦めていた所にいきなり映画化の報を耳にして、これは観なくてはならないと思い立ったのでした。

とっくの昔にこの作品の配信が終わっているTVerで念のため検索してみると、いきなり少しずつ全話を公開している状態になっていました。映画の観客動員のために、(同様のことは『TOKYO MER-走る緊急救命室-』の映画化の際などにもありましたので)わざわざそうしたのだと思われますが、今回はさらに『パリピキャストみんな集合!孔明と公開までカウントダウン』という全5、6本の動画まで毎日1本ずつアップされ、劇中で開催されるフェスの参加アーティスト役の人々が撮影時の内幕を語ったりする内容でした。物凄く気合の入ったプロモーションだと思います。

ついでに映画.comでレビューを見てみると、鑑賞した人々の間では全く評価は低くありませんでした。皆ドラマを観て世界観なり登場人物のキャラ設定などもしっかり理解している状態のレビューのようで、フェスのライブ・シーンも楽しんでみていたようです。ライブ・シーン目当てに3度観たという投稿も幾つかありました。特に応援上映がある作品には、2度観・3度観という観客が多いものと思いますが、まさにそうした独自のファンが存在する作品なのだと思います。しかし、そのコアなファン以外の動員にはあまり成功しなかったのでしょう。

映画館に着いてチケットを買おうとして券売機の画面を見ると、タイトルの脇に見なれない言葉が付けられていました。「爆アゲ! フェス上映」です。普通の上映を観たいと思いましたが、先述の通り、この館では1日1回の上映しかなく、東京全体で見ても上映が先細って来ている状態で、他館でも同様な措置が取られている可能性もありますから、諦めてこのスタイルの上映を甘受するしかないと決断しました。

ネットで見ると、映画.comの上映館の検索結果ではこの情報は登場せず、ピカデリーのサイトの作品紹介の欄にも登場しません。唯一ピカデリーのサイトの映画上映時間の予約画面に至って初めてこれが「応援上映」の一種であることが分かるのです。私は『シンゴジラ』などで一気に認知度が上がった「応援上映」を敢えて楽しむ気がせず、これまで避け続けてきている人間なので、こうした表示の不徹底は嬉しくはありません。

シアターに入る前に少々時間があったのでパンフを購入しましたが、音楽雑誌のような表紙デザインで、日本語タイトルの下に「Ya Boy Kongming!」と書かれていました。これは(ドラマ中でも時々中国語会話が登場して、諸葛孔明に言及したりするシーンがあるので)中国語で「諸葛孔明」を発音したものかと一瞬思いましたが、「Kongming」が孔明なのは間違いないとしても、それ以外の発音が違いすぎます。気になって、ネットで検索してみたら、なんと『パリピ孔明』の英語タイトルであると判明しました。

「Ya boy」とは何だろうと読み込むと、クラブのダンス・シーンなどで、気分が上がった時の「yeah!」や「ウェーイ!」だったり、ラップで使われるワードだったりするようです。「ウェーイ!孔明」ではイミフですが、そうしたノリのパリピな孔明という意味の英訳タイトルなのでしょう。ドラマ中には上白石萌歌演じる月見英子のフェス参加などの打上げのシーンやクラブに潜入するシーンなどで、孔明が一応パリピ的な活動をしている場面は存在しますが、特にパーティー好きのパーティー三昧と言うキャラにもなっていないので、原作の段階で「パリピ」という言葉を採用した理由が今一つ分かりかねます。(パンフの中に原作者が参加している対談中に、物語の着想を得た際のエピソードが登場しますが、「パリピ」については詳細の言及がありません。)

シアターに入ると、最終的に30人余りの観客がいたように思います。この作品のイメージでは若い観客が多いように想像していましたが、全くそのようなことはなく、20代も居るには居ましたが、8割以上が40代後半以上ではないかと思われるような年齢構成でした。男女の比率はほぼ半々です。観客層全体の特徴としては、単独客の割合が少ないことかもしれません。2人組も7、8組居て、多分全部男女の組み合わせでした。全員中高年女性の3人連れも1組居ました。

『パリピ孔明』と異なり、ドラマ段階でDVD化はされていますが、ファンからの強い要望を受けて映画化実現したと発表されたばかりの『ラストマン-全盲の捜査官-』の映画版のトレーラーを初めて見ました。タイトルは少々ドラマ版と異なるらしくトレーラーでは『映画ラストマン』になっていました。私が毎月買っている『DVD&動画配信でーた』では当初今年秋の公開とされていましたが、どうも冬に先延ばしになったようです。

トレーラー群の上映が終わると、本編開始前にいつもの上映時のマナーかと思っていたら、その直前に「応援上映」のマナーが最初に登場しました。「爆アゲ! フェス上映」と銘打っていないので、所謂「応援上映」全般に汎用的に作られた説明動画のようで、専用のちょっと初音ミク似のアニメキャラがマナー解説をしてくれます。初めて見ましたが、「応援上映」のような特殊な上映には「ふれあいシネマ」や「抱っこdeシネマ」と名づけられた幼児が怖がらないよう完全に暗くしない環境で、泣き出してもOKとするような上映もありますが、こうした場合にはまた別の専用マナー解説が用意されるのだろうかなどと考え至りました。

先述の通り観客は30人余りいましたが、状況は「爆アゲ!」には程遠く、私も居る最後列の中央辺りに陣取った2人連れが、マナー解説の際に試験運用とばかりにペンライトを出したのみで、それ以外の観客は私同様に普通の上映と全く同じ態度でした。マナー解説動画では、ペンライトとサイリウムという言葉が登場し、どちらも光る棒であることには変わりないことが何となく分かりましたが、サイリウムは私にとって(植物には全然詳しくありませんが)何かの植物の一種というぐらいの知識しかなく、なぜその名称で光る棒を呼ぶのかが全く分かりませんでした。

どうせ光る棒を振り回しても大丈夫なのだからと(それでもマナー上は全く推奨されていませんが)映画本編開始の直前のほんの僅かな時間の間で、スマホで検索してみてサイリウムの名称の謎を取り敢えず解明しました。

なぜかセブンネットのサイトの中に『推し活応援コラム』という記事群があり、以下のような説明文章を見つけました。

[以下転載↓]

サイリウムとは、アイドル等のライブなどで、ファンが応援の際に使う光る棒のことです。「ケミカルライト」とも呼ばれます。内部にガラス管と薬液が入っており、ポキっと折ることで数時間光る使い捨てのタイプになります。一方で、ペンライトはサイリウムと違い、電池式のため長く使い続けることができます。複数の色に変えることができる高性能なものもあります。デビューしているアイドル等は、公式のペンライトを販売しているケースが多いです。

[以上転載↑]

それでもなぜサイリウムと呼ぶのかが分からないので調べてみると、AIが以下の回答をしました。

[以下転載↓]

もともと、ケミカルライトは「サイリューム」という名称で、開発元であるCyanamid社(後にオムニグローに売却)の商品名として登録されていました。しかし、Cyanamid社はその後、発光体事業をオムニグローに売却したため、商標権はオムニグローに移管されました。そのため、ケミカルライトを「サイリューム」と呼ぶのは、商標権の観点から適切ではなく、一般的には「サイリウム」と呼ぶことが定着しているのです。「サイリウム」は、商標登録されていないため、他のメーカーも「サイリウム」という名称で販売することが可能です。

[以上転載↑]

ついでに検索して、AIが表示した「オオバコ属のプランタゴ・オバタという植物の種子の皮を粉末にしたものを指します。主に食物繊維として利用され、水に溶かすとゲル状になり、ダイエットや健康維持のために用いられます。」とは全く関係がないことが分かりました。

映画はなかなか楽しい内容でした。やはり映画.comの多くのレビューアーのように私もドラマの方のファンなので、映画もそれなりに楽しめたということなのだと思われます。ネットの一般の意見では、「物語がない」とか「結局、架空のアーティストのライブ・イベントを延々やるだけ」的な評価には一理あるものと思えます。しかし、それを言えば、実はドラマ版でさえ、各話正味30分少々の物語の中にほぼ毎回誰かの熱唱シーンが登場します。それも間に関係者の台詞や状況が挿入されるとは言え、かなりの長尺の歌唱シーンです。その割合をほぼ2時間の映画版に適用すれば、それはこの程度のことにはなってしまいそうに思えます。

ただ、ネットで見るトレーラー的な動画などでは、そのライブ・シーンも断片的で十分にその魅力を表現されていない一方で、三国時代の孔明のライバル・司馬氏の末裔である司馬潤とその妹でシンガーのshinが登場することが強調されます。勿論、この兄妹の存在は厄介で対立構図があるのも嘘ではありません。

しかし、映画を観ると、この兄妹は極貧の中で二人で支え合って人生の逆転劇を画策しているという設定で、策謀の才能のある兄と、歌うだけではなく作詞・作曲にまで才能を発揮する妹の組み合わせの人間ドラマが、この作品にしては、かなり濃厚に描かれています。多くのアーティストと同じ舞台に上がる初めてのビッグチャンスに、兄が仕込んだサクラが声援を送る設定に対して、舞台に上がる直前に「ズルして勝つのはいや。歌で勝負したい」と妹は泣いて懇願するのでした。その妹の願いを、当初作戦通りに進めるよう強要する雇い主に逆らってまで支持する兄でした。

こうした人間ドラマがきちんと埋め込まれており、それは歌に人生を掛け、歌に人生を救われた人々の讃歌として成立しているテレビドラマ同様ですが、派手なフェスのライブ・シーンにやや埋没してしまったかもしれません。

テレビドラマでは、家出して上京した英子が、自殺しようとした所を森山未來演じるクラブのオーナー小林に救われ、小林と旧知の仲の大物女性シンガーの圧倒的な歌唱を見て、歌で身を立てる決意をするエピソードから第一話が始まります。それ同様に、兄の策謀も含めて、歌をビジネスとして追求して行こうとしていた兄妹の二人が、本当の歌の力に目覚め、自分から溢れる感動で多くの聴衆を歓喜に引きずり込むシーンは圧倒的です。

この作品にはこうした歌と共に人生がある人々の姿が眩しく見える演出と共に、あちこちに配置されていますが、映画では主にこの兄妹の存在が主要な要素になっています。元々ドラマでも孔明の仕掛ける策は概ね荒唐無稽レベルの大仕掛けなのですが、それに比べて、孔明のライバルの子孫を自負する兄の仕掛ける策がやや普通過ぎて、トレーラーなどから期待される策謀バトルの魅力はあまり目立っていません。こうした点も、コアなファン以外には不人気になってしまった理由かもしれません。

このようにこの作品のコンセプトがドラマ版から堅持されているのも好感が持てますが、ドラマ版から多くの登場人物がそのままスライドして登場しているのもこの作品の魅力です。

例えば先述の『TOKYO MER-走る緊急救命室-』の近く公開される予定の映画化第二弾では、先行して配布が始まったチラシの中に私がキャラとして非常に気に入っていた中条あやみ演じる女医が見当たらなくなっていたり、それ以外にも主要キャストの降板が目立っていて驚かされます。どのように辻褄を合わせるのか分かりませんが、第一作の映画化前にできたスペシャル版では、研修医の立場なのに、「TOKYO MERのセカンド・ドクターをやらせてください。今は全然追いつけませんが。必ず私はやり遂げます」ぐらいのことを言っていたのに降板のようです。この時点で、劇場鑑賞は止める判断をするのに十分な情報だと思われます。DVDも要らないかもしれません。

それに対して、本作は完璧なまでの「全員集合」状態です。細かく見ると、英子が好きな「JET JACKET」というバンドは、『どうする家康』で「負ける自信がある!」と胸を張っていた秀忠を演じた森崎ウィンがボーカルなのですが、今回はバンドの他のメンツが登場しません。(その代わり、私が初めて知ってかなり関心を抱き、劇場鑑賞後にネット動画をたくさん見たアバンギャルディのダンスに囲まれて熱唱を披露しています。最近レンタルDVDで観た『レディ加賀』で詐欺師を演じていました。結構芸達者です。)

他にも「JET JACKET」同様にドラマで英子と対峙したグループで「AZALEA」も英子と個別に交流がある中心メンバー久遠七海しか映画では登場していなかったように記憶します。(記憶違いかもしれません。)彼女の役はポカリスエットのCMで私でさえ見覚えがある八木莉可子が演じています。後から調べてみると彼女は劇場鑑賞した映画『スパゲティコード・ラブ』の物憂げな広告クリエイターでした。

しかし、役名で言うと、孔明と英子、そしてオーナーの三国志マニアの小林は勿論、『映画 おいハンサム!!』にも準主役級で登場した宮世琉弥演じるKABE太人(カベ たいじん)、ロックバンドのイースト・サウスの2人組、先述の英子の人生を変えた大物マリア・ディーゼル、前園ケイジ、メガネ女子、ディーン・フジオカ演じる劉備に加えて、関羽・張飛も出ていますし、ミア西表、赤兎馬カンフー、スティーブ・キド、AZALEAのプロデューサーの唐澤など、本当にオールスターキャストです。

英子のオリジナル曲第一弾の『DREAMER』は幾田りらが作詞・作曲していますが、彼女はドラマの最終話で本人役で登場し、前園ケイジの英子妨害工作に一役買っています。今回はそうした悪役ではなく、エンドロールの中で流れるレコーディング・シーンで英子・shinの二人と三人組で和気藹々と収録をしている様子が描かれています。TVerの宣伝動画でも彼女は登場し、このシーンの撮影を思い出深く語っていました。

フェスに登場するミア西表やマリア・ディーゼル、前園ケイジらの架空のアーティストの他のアーティストの多くは本人役で登場しています。映画.comに拠れば…

「さらに劇中の音楽バトルフェスへの出演アーティストとして、9人組グローバルグループ「&TEAM」や「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の岩田剛典、演歌歌手の水森かおり、ヒップホップユニット「KOMOREBI」、ダンスグループ「アバンギャルディ」らが本人役で出演し、声優の宮野真守がフェスの司会進行を務めるMC・マモとして登場。」

となっています。私は『アンチヒーロー』で無罪になる殺人犯役をやった岩田剛典をあまり観ない役者としてしか認識していませんでしたが、パンフで「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」のメンバーであることを知りました。(知ったと言っても、「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」が、既に名前しか知らないEXILEの一派ぐらいの認識でしかありませんから、全然知ったうちに入っていませんが)

それ以外は全くの初見でした。以前アニメーションのダンスをなんちゃっての振り付けにしてもらい『ユメ十夜』の運慶のダンスや欅坂の『不協和音』を練習していたことがある私は、初めて見たアバンギャルディのダンスを知ることができただけでもこの映画を観た元を取ったような気がしています。

主役の英子は、オーナーの小林と孔明の策謀談義に全くついて行けてないオメデタい女子と言った役回りで、ドラマの中ではそれでも策に乗っかってあれよあれよと事態が好転して行く中のラッキーな不思議少女といった感じでした。映画版では「あと1回、私の歌を聴いたら孔明は死んでしまう」と(孔明も信じ込んでいたデマですが)信じ込んでしまい、フェスの控室で「それなら私、歌手を辞める」とまで言い出す始末で、不思議少女からも逸脱して、少々愚鈍感が出てしまったのがやや残念なポイントかもしれません。「英子さんがどんどん上に昇って行けば、遅かれ早かれ英子さんの歌を聴くことになってしまいますから、英子さんの歌を聞かないようにして死を避けることができない」という孔明も孔明ですが、それを真に受けてオロオロ、ジタバタする英子は流石に鬱陶しい感じがします。

あとはいつもかなり隠密行動が光っていたメガネ女子が今回は力仕事担当も兼ねて、やや武闘派工作員のような活動を見せています。メガネ女子は英子の大ファンであるが故に、英子と直答が眩し過ぎてできないぐらいの筈でした。今回の映画では、そうした演出もなく力仕事に精を出したりします。少々キャラ設定が変わってしまったようにも思えます。これだけ歌を歌う場面が多く、本来ダンサーで振付師として活躍する小菅小春にも歌手ミア西表としてバンバン歌を歌わせています。一方でメガネ女子は石野理子というシンガーのアイドルが演じているようです。本来の歌手である石野理子には密偵のメガネ女子で歌を歌わないどころか、満足なセリフも殆どなく、ファンである英子に対しては会話も儘ならない役回りというのは、何となくアンバランスな気もします。

それでも尚、ドラマファンの私としては、音楽に詳しい訳でもなく、本人役のアーティスト群も全くと言っていいほど知りませんでしたが、ドラマから受け継がれる作品コンセプトと、それを体現する出演者陣のオールスターキャスト状態は、かなり楽しめました。DVDは買いです。

追記:
 森山未來はこの作品をきっかけとしてそうなったのか元々そうだったのか分かりませんが、かなり弩級の三国志オタクのようで、撮影現場でも即興で台本の変更を監督や脚本家に提案して称賛と共に案が採用されるということさえ何度も起きたと、何かで読んだ気がします。具体的な変更部分が何だったのか(ネット記事にも概要が書いてありましたが)やや気になる所ではありますし、森山未來自身の語りでそう言った部分を聞いてみたいようにも思いますが、ネット上の動画でもこの作品関連で彼が語っているコンテンツはごく少数しか見当たりません。

☆映画『パリピ孔明 THE MOVIE