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経営コラム SOLID AS FAITH 第640号
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ご愛読ありがとうございます。第640話をお届けします。
台風と地震が頻発して大きな被害をもたらしているのをニュースでよく目
にするようになりました。天候は、一雨ごとに…、どころか一台風ごとに、
じわじわと秋に移り変わっていくようです。北海道ではすでに紅葉が観られ
る場所が出てきました。如何お過ごしでしょうか。今年もあと3ヶ月余りと
なりました。本年中にやるべきことも、それに充てられる時間が大分限られ
てきたものと思います。確実に進める時期です。
今回お届けするコラムは久々に続編です。昨年の3月には第604話『続・
既成の新事実』、そして8月には第613話『続・兵の夢』が発行されています
ので、1年以上続編は登場していなかったことになります。何かのテーマで
書こうとした際に、「ああ、これは既に書いたな」と気づくことがあります。
単純に丸被りならそのネタは没にします。しかし、時代が変わって世の中の
見方そのものが変わっていたりするなど、切り口の変化が生まれている場合、
主張の方向性が同じでも展開のありようを変える余地が広がります。そんな
ときに続編を書くことにしています。
中小零細企業の経営の運用実態はオーナー社長を中心に有機的にすべての
要素が連結していますから、敢えて言うなら何について書いても他の何の話
にでもつなげられるような状態です。続編を一旦許すと、何でも続編にして
しまうグループ化の誘惑に駆られます。そこで、続編まではアリでも、続々
編以降は書かないことを一応ルールにしています。
今回お届けするのは2000年12月に発行された第28話『人に宿る美』の続編
です。今から四半世紀前に発行された初期の号の一つですが、当時のクライ
アント企業に多かった人材紹介事業者の一つで、叩き上げの社長から伺った
話を基にしています。それは自己評価の怪しさに対して他己評価の正確性に
ついて端的に断言する見解でした。
この原理は単に彼の経験則として私の中に長く留まっていましたが、比較
的最近、この原理の科学的根拠と思える事実を、読んだ書籍の中で見つけま
した。その後、この“発見”を周囲の人々に話して聞かせて反応を見、満を
持して文章にまとめてみました。知的刺激となれば幸いです。ご意見・ご感
想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営
業日!!
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■第28話『人に宿る美』 http://tales.msi-group.org/?p=68
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その640:続・人に宿る美
「私たちの五感は、あらゆる瞬間に一千百万要素以上の情報を取り入れてい
る。科学者達は、各感覚器にある受容細胞と、これらの細胞から脳へと向か
う神経を数えて、この数字を割り出した。両目だけで、一秒あたり一千万以
上の信号を受信し、脳へ送信している。(中略)任意の時点において、どれ
だけの信号が意識的に処理されうるかを明らかにしようとしてきた。その最
も多い見積もりでも、人が意識的に処理できるのは一秒あたり約四〇要素の
情報である。(中略)しかし幸運にも、私たちは、意識的自覚のないところ
で、この非常に多くの情報を有効に利用しているのである」。
米国の社会心理学者ウィルソンの『自分を知り、自分を変える 適応的無
意識の心理学』の中の無意識と意識の処理能力の差異についての説明。挙げ
られているのは脳に対するインプットの1次処理段階だけの話だが、そのス
ピード差は27万5千倍。仮に意識が人間の歩く速さの時速4㎞とすると、無意
識の方はマッハ900程。比較するのが馬鹿らしい。圧倒的な無意識の処理能
力。その結果は意識できず、直感や「なんとなく」の想いとしてジワリと表
出する。インプット情報が誤りだらけなら、直感も大きく狂うだろう。適切
なインプットを重ねて膨大な処理結果を妥当な範囲に収めるのが大事とウィ
ルソンは説く。
永年人材紹介業を営む市川社長は私の独立当初のクライアント。「人に誤
解は無い」が持論だった。求職者がどれほど職歴や知識・経験を誇示しても、
その人物の組織における有用性は人事幹部の判断に委ねられている。採用面
接の場でも、普段の人間関係の中でも、いくら言葉を重ねようとも一旦でき
た印象はそれを持った本人以外、覆すことができない。どのような認識も誤
解ではない。第28話『人に宿る美』で紹介したエピソード。
人間は自分を客観視できるのだろうか。自己評価を行なう思考は多くの場
合「意識」だろう。そして他己評価は膨大なインプット情報を基に他人の
「無意識」が行なうのではないか。若者の間で流行する性格分析も自己評価
に関しては自己流の勝手な解釈が介在している以上、かなりあてにならない
と考えるべきだろう。
流行りの自分探しをしたいとクライアント企業で若手社員がこっそり私に
尋ねてきた。「“自分を知る”か。実は知人の私立探偵が拠れば、自分を調
べて欲しいという依頼がかなりあるらしいから、総合的な他己評価がまとめ
られるってことじゃないかな。ただ、エゴサどころじゃなく、本当に自分を
知っている人々の本心はかなり酷い内容であることが多いので、人間不信に
なる人も多いらしいけどね」。
インドの山奥などに行く必要さえない高コスパの手法を私は笑顔で説明し
て差し上げた。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
MSIグループ 市川正人
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次号予告:
第641話 『盲従の形』 (10月10日発行)
従業員の勤務時間管理の問題から、自立した社員と個人事業主の各々のあ
りかたを比較検討してみました。
(完)