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経営コラム SOLID AS FAITH 第641号
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ご愛読ありがとうございます。第641話をお届けします。
10月になりました。早くもインフルエンザが流行し始めました。単純な季節
の変わり目の体調不良が、インフルエンザやウイルス性腸炎などにつながり、
欠勤者も出やすくなっていると聞きます。社員の健康管理義務はお題目となっ
ている組織が多いものと思いますが、年末に向けた労働力確保の観点から、こ
うした疾病対策が必要かもしれません。
世の中では、労働力としての外国人、インバウンド観光客としての外国人、
そして在留住民としての外国人、こうした人々が社会のあちこちで起こす軋轢
が猖獗しているようです。むしろ潜在的に存在していた問題が、法制度や行政
対応の変化やSNSによる可視化によって、表面化しただけなのかもしれません。
しかし、こうした問題の解決が図られると、企業、取り分け中小零細企業には、
人件費の高騰や売上の減少が導かれるケースが生まれやすくなります。
じわじわと日本人雇用のトレンドは広がり、それと連動して最低賃金の引き
上げに後押しされた人件費の膨張が迫ってきます。それでいて、ただ指を咥え
ていると売上は何かの要因をきっかけに大きく損なわれたりするような、経営
環境の不安定・不確実の状況になっています。世界的なブロック経済化やデカ
ップリングなどは多くの中小零細企業にとって混迷の中の福音になりそうでは
あります。打てる手を躊躇なく採用・実現しなくてはなりません。
今回お届けするコラムは『盲従の形』と題して、副業社員の労働管理につい
ての法制について考えてみたものです。副業は「社員がして当り前」といった
空気感が社会に浸透してきていますが、そうした副業人材の労働時間量管理に
は大きな陥穽が存在します。
このテーマは今月末に発行予定の27周年記念特別号にて掘り下げる予定です
が、そのティーザー的な位置づけの内容を今回の通常号でお届けしたいと思い
ます。副業社員を雇用している零細企業のみならず、掛け持ちアルバイト・ス
タッフを多く雇用しているような組織の経営者・管理者には、寝耳に水、目か
ら鱗の内容となるかもしれません。是非、ご一読ください。ご意見・ご感想を
お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その641:盲従の形
「ある20代女性のXさんがA社でフルタイムで午前9時から午後5時まで働き、そ
の後B社のアルバイトで午後6時から午後11時まで働いている状態を、平日は毎
日続けています。この状況で、以下の二点について教えてください。
1.正規の労働時間を超えた残業時間分には25%の割増賃金を支払わなければな
りませんが、それはA社、B社のいずれが支払うべきでしょうか。
2. Xさんの月間労働時間は残業分も含めて、法律的な総残業時間の上限を超え
ている違法状態になっています。残業時間を削減する是正措置を取る場合、A
社、B社いずれの残業時間を削減すべきでしょうか。」
社員の副業についてどうすべきかとクライアント企業から相談をされたので、
労務系に詳しい知り合いに聞く前に、予習として生成AIさんにお伺いを立てて
みた。生成AIさんの答えは専門家の知人のものと一致していた。答えは「後か
ら雇った会社が割を食う」というもの。私のクライアントは文中のA社だが、
仮にXさんがB社で先に働き始めていた場合、B社の労働時間5時間を引いた1日
の通常労働時間3時間がA社での通常勤務。A社の中で見れば、労働時間は8時間
に収まっているのに毎日の半分以上の時間が「残業」。
是正措置も専らA社が講じることとなる。さらに、Xさんが時々B社で1時間な
ど勤務時間を延ばすと、A社ではその時間も含めて、Xさんの総労働時間を管理
する必要性が生まれる。A社はB社でのXさんの毎日の勤務状況をXさんにいちい
ち報告させるのだと聞いて、呆れた。これほど余計な労務管理が必要な社員は
雇用に値するのか。本質的な疑問が湧く。
映画では古典的名作『モダン・タイムス』から『未来世紀ブラジル』まで、
労働者の人間疎外はクリシェの表現テーマ。私は『ジョー、満月の島へ行く』
の土気色の顔をして俯いた社員達が印象に残っている。誇張された労働者の悲
哀。しかし、ファスト・ファッションの裏側が暴かれ、フェア・トレードが叫
ばれるようになって、発展途上国の人々は搾取されていると言われ続けて大分
時間が経ったが、今尚それらは続いている。
発展躍進が持て囃されるAI産業では、AIが思いつくありとあらゆるNGをコン
テンツ・モデレータと呼ばれる「中の人」が人海戦術で修正し続けてサービス
が成立しているらしい。その作業も今や先進国ではコストが合わず発展途上国
に投げ渡されていると聞く。
複数の依頼主から沢山の仕事を自由に受けたいのなら、個人事業主になって
働き方も収入も自分で管理したら良かろう。仕事を貰うだけではなく、仕事量
まで他社に管理してもらう先進国にも存在する人々は、私には自律・自立を自
ら投げ出しているかに見える。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
MSIグループ 市川正人
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次号予告:
第642話 『マルチバース』 (10月25日発行)
若手社員の離職の原因として「キャリア安全性」の低下が指摘されるように
なりました。中小零細企業の現場からキャリア安全性を考えてみます。
(完)