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経営コラム SOLID AS FAITH 第615号
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ご愛読ありがとうございます。第615話をお届けします。
9月に入り、今年も残り3分の1を切りました。今回の号から久しぶりに全
6回のシリーズが始まります。題して『R6メリケン奇聞』です。タイトルを
読んで字の如く、昨年令和6年の10月、大統領選挙直前の米国を1週間ほど
かけて旅行し、そこで見聞きした事柄の中でもとりわけ印象に残るポイント
を6話にまとめたものです。
訪れた先は米国西海岸のオレゴン州で、主に州都セイラムです。人口は17
万人余りの核都市です。一つの州の一部の地域だけを見て全米が分かる訳で
は決してありませんが、一般に「ブルー・ステイト」と呼ばれる民主党が強
い州の一つのオレゴンでさえ、地域の人々の支持はトランプに傾いていて、
トランプ・グッズが露店で売られているほどの大盛況ぶりでした。ニュース
の調査結果では「トランプ苦戦」のようでしたが、トランプ支持者の無視で
きない割合の人々は、自分がトランプ支持だと公言しないとのことのようで
した。
第1話の今回は『This コミュニケーション』と題して訴訟社会米国の姿を
日常の風景の中に見出してみました。主要なモチーフにドアミラーの話が登
場しますが、昨年行った際には、35年ほど前の留学時点で見たよりもドアミ
ラーに問題のステッカーが貼られている割合が減っていました。このモチー
フは第26話『職場を満たす「エーテル」』でも言及されています。このドア
ミラーの話を数十年色々な人に話してきましたが、あまり信じてもらえない
ので、今回の訪米の際には必ずと心に誓って行き、現物の写真を撮ってきま
した。
このタイトルの『This コミュニケーション』は実はヒットコミックのタ
イトルをそのまま借りているものです。(厳密にはコラム・タイトルの方に
は「This」の後にスペースを挿入してあります。)その物語は今回のコラム
内容と全く連動しておりませんが、中々トリッキーなSFなので気に入ってお
り、当て嵌められそうな今回の内容にタイトルとしてお借りしました。今号
からの全6回のシリーズをお楽しみください。ご意見・ご感想をお待ちして
おります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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■『Thisコミュニケーション』
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■第26話『職場を満たす「エーテル」』
http://tales.msi-group.org/?p=66
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その615:This コミュニケーション =シリーズR6メリケン奇聞(1)=
「まあ、けれども、民事の裁判なんて、コミュニケーションの一種だと思え
ば…。」
クライアント企業の社長がKADOKAWA社で新規事業を軌道に載せた経験のあ
る人物に著作権運用の実際について聞くというので同席したら、話が知財全
般の訴訟沙汰のエピソードに及んだ。社長はそもそも裁判沙汰など極力避け
るべきだと思っていたが、その人物は、「まあ、訴訟は起こりますよね。こ
ういう商売をしていれば」と平然と述べた。確かにただ恨み辛みを貯めたり
嫌がらせをしたりするより訴訟の方が余程生産的かもしれない。
15年ぶりぐらいに訪れた米国オレゴン州での或る晴れた日。ショッピング
モールの駐車場に着いて周囲のピックアップ・トラックや乗用車の脇を通り
ながら、ドアミラーを覗き込んで回った。15年前ほどではないが、5台に1台
ぐらいの頻度で透明のステッカーが貼られたドアミラーが見つかる。書かれ
た文字は「OBJECTS IN THE MIRROR ARE CLOSER THAN THEY APPEAR」。ドア
ミラーに映っている物体は見ためよりも近い。
24歳で留学した際にもすぐ存在に気づいたステッカー。高速道路走行中に
ドアミラーで車間を確認して車線変更をした車が追突され、事故の原因は誤
認を招きやすいドアミラーであるとして、運転手がドアミラー会社を訴えて
勝った。それを受けドアミラー会社はこのステッカーを貼ることにしたのだ
と、私の拙い英語の質問に私のアドバイザーを務める教授は答えた。その昔、
第26話『職場を満たす「エーテル」』でもチラリと言及した話。
陪審員が一般人ばかりの米国の裁判では企業が消費者から訴えられると、
極めて消費者寄りの判決が出やすいと言われる。本当の裁判そのものがテレ
ビ番組にもなっているぐらいに裁判が日常茶飯事の米国では、企業も頻繁に
訴え訴えられる。
国内ではハラスメントが問題だとよく騒がれ、現実に「それはハラスメン
トです」と違法行為や不法行為の区別も範囲も知らずにすぐ論う人も増えた。
カスハラも小売業・飲食業などを悩ませているという。さらにバカッターだ
のバイトテロだのも蔓延っているという。米国には遠く及ばないものの、企
業に理不尽なクレームをつけてくる輩は存在する。
コミュニケーションが難しい時代。反知性主義の上に自己主張が激しい国
民気質との説は取り敢えず置いておき、人種の坩堝だのサラダボウルだのと
言われる米国では、人々の価値観が人種背景などから多様でコミュニケーシ
ョンが端っから難しく、その結果裁判が多いのだとする解説も聞く。ならば
日本でも多様性を社会で推し進めたら訴訟沙汰が増えて不思議ない。コミュ
ニケーションが難しくなったなら、その一種に「裁判」を加えれば良い。
「見解の相違ですね。それでは裁判で」で済む時代が簡単に到来する。
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次号予告:
第616話 『荒んだ路線バス』
シリーズ『R6メリケン奇聞』(2) (9月25日発行)
米国西海岸の田舎町のバスの車窓から見える格差の実態について考えてみ
ました。
(完)