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経営コラム SOLID AS FAITH 第415号
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ご愛読ありがとうございます。第415話をお届けします。
昨年秋の400話発行記念特別号の3回シリーズの発行以来、久々のシリーズ原
稿の発行です。シリーズ・タイトルは『螺旋の構造』。最近劇的に研究が進む
遺伝子についての発見から考えたことをまとめてみた内容です。
このシリーズの原稿のモチーフになっている書籍は幾つかあるのですが、主
要なものは本文中にも紹介している『遺伝子の不都合な真実』(安藤寿康著)
です。読むと色々なことが考えさせられます。
人間には、遺伝的な要素で決定されることが多く、人生において努力の余地
は意外に小さいことが分かるのは、かなりの衝撃です。教育の意義も問われ直
されなければなりませんし、犯罪性向が高い遺伝子を元々持っている人物が犯
した罪は誰のせいであるのかも問われ直されなければならないかもしれません。
このような社会的な視点を描き始めるとキリがありませんし、経営コラムの範
疇を簡単に逸脱してしまいます。中小零細企業の組織運営の局面に絞った話に
まとめることに、相応に苦労しました。
科学研究がどんどん進むと、経営の常識とされていたことさえ突き崩されて
行き、新たな環境と新たな仮定で、中小零細企業の経営を再検証する必要が生
まれます。脳と無意識の研究、遺伝子の研究、そして人工知能やIoTの進展。
これらが、長らく「人間はこうあらねば」と思い込んできたことに疑義を申し
立てると、社会における人間の大きな拠り所である企業組織の運営も大きく揺
さぶられることが必定です。もしかすると、それ以前に、数年前シリーズ『応
急処置』で描いた通り、経営と言う技術は不要になってしまう世の中が到来す
る可能性さえあります。
シリーズ第一話『領導対象者』は遺伝的要素の束縛が比較的少ない、つまり、
教育や指導の余地が大きい人物は誰なのかについて議論をしてみたものです。
一緒にお楽しみにいただければ幸です。本文に対するご意見・ご感想をお待ち
しております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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第317話『死すべき技術』シリーズ『応急処置』最終話
http://tales.msi-group.org/?p=593
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その415:領導対象者 =螺旋の構造(1)=
「市川。何だったっけ。あ、そうそう。『中小零細企業は社会人教育最後の砦』
だったか。で、実際には、中小零細企業以外にも、派遣会社とかの人材会社も、
結局自分の売り物の人材を育てて価値をあげなきゃいけないから、“最後の砦”
を買って出ていることになるんだろ。まあ、何にしても、採用の場面で大手さ
んは完全に買い手市場状態だから、いい人材を採り放題だよな。だから、それ
ができない中小零細企業は、よっぽど気合入れて『ウチは凄い会社だ』と学生
を説得でもして回らない限りは、基本的に、大手さんからあぶれた人材を集め
て育成するしか方法がないってことな。大卒新卒の採用と育成を始めて4年。
やっとその、何だったっけ。『プラスのスパイラル』みたいな感じが分かって
来たよ」。
スキル・マップを含めた教育体制を整えて、大卒新卒の採用を始めてから4
年経った、店舗を数店経営する社長が語る。4年の間に、スキル・マップは何
度も更改され、育成方法は洗練され、教えるプロセスで他の社員の業務の方法
まで標準化されて行き、おまけに3年目から以前の新卒入社者がその年の採用
も育成も行なうようになった。恒例で学生を雇う大学側からも評価され、学生
集めも年々楽になる傾向にある。
「ああ、そうですね。最初は面倒でしょうがなかった育成もやり続けるとどん
どん楽になりましたよね。ただ、最近読んだ本で知ったんですが、どうも、質
の高い人材が集まらない中小零細企業では、別の意味でも、育成が必須となる
ようなんですよね」と私は言った。
その本は、安藤寿康氏による『遺伝子の不都合な真実』。「万人の生まれつ
いてもつ能力は本来平等であり、そのもとで機会が均等に与えられる限り、自
由競争は正当化されるという考え方がありました。(中略)しかし、潜在的能
力には遺伝的な差異があること、しかもそれが決して無視できる小さいもので
はなさそうだということを行動遺伝学は残念ながら示してしまいました」と述
べるその内容は、人間の評価全般に見直しを迫る。
「その本に、『また青年期の知能の個人差は、社会階層が高いと遺伝の影響が
大きいが、低い方では逆に共有環境の影響が大きいという報告もあります』っ
てあるんで、見ようによっては、できる人材よりも教育効果が絶大と言うこと
だと思うんですよ」と私は説明した。
すると、社長は大笑いして、原色で彩られた商圏分析結果の地図を突き出し
てきた。
「道理でなぁ。これ、この界隈の世帯収入の分布図だ。ウチの周辺は都内でも
低い方の赤い色だらけだろ。ウチの社員たちもみんな昔からこの辺に住んでい
る連中ばかりだし」。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
10年ぐらい前のブラウザに最適された弊社のウェブサイトは、
現在皆様が使う多くのブラウザでは、行カブリが頻発して、
判読不能であるケースが頻発するようになりました。
ページ数が膨大な上に、ページ毎の文字量も膨大で、
長らく手をこまねいてきましたが、
漸く近日中に大規模更改ができそうです。
先日の弊社ブログ『MSI-TALES』のCMSリニューアルに続き、
弊社のウェブインフラの大規模更改第二弾です。
単に、現在のブラウザでの表示の適正化のみならず、
現在の大量のコンテンツのレイヤの上に、
経営課題分野別のインデックス・ページが積み増され、
さらに、弊社が定義する経営用語集などの新ページも追加されます。
ウェブ上の見ず知らずの新規閲覧者は意識せず、
既存のお取引先様や、新たに打ち合わせを行なった方々の活用を狙う
ウェブサイト全体の根本的な更改です。
もう少々時間が掛かりますが、着々と作業は進んでいます。
ご期待ください。
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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】
■『心が折れる職場』 見波利幸 著
■『バターが買えない不都合な真実』 山下一仁 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け18年。
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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次号予告:
第416話 『生まれたままの姿』 =螺旋の構造(2)=(5月25日発行)
3回シリーズ『螺旋の構造』の第二回目は、遺伝的要素が制約する人生の展
開について考えてみます。ご期待ください。
(完)