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経営コラム SOLID AS FAITH 第404号
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ご愛読ありがとうございます。第404話をお届けします。
今年も残すところ1ヶ月少々となり、当コラムも今号を入れて残り3号を発行
するだけとなりました。街はクリスマスの装飾が為され、年の瀬の慌しさが
漂ってきました。如何お過ごしでしょうか。
10月中旬の封切以来ずっと気になっていた、話題の映画『何者』を漸く観に
行くことができました。新卒学生の就活を描いた珍しい映画です。単に珍しい
だけではなく、そのリアルな描写が話題になっています。クライアントの中小
零細企業での4大新卒者の採用に関わることがあるので、学ぶ部分があるかと
考え、終映する前に観に行こうと思っていました。前評判の通り、SNS時代の
就活に挑む5人の学生の姿が生々しく描かれていました。
やはり、「大手企業の求人」×「高偏差値大学の学生」×「大都市圏」の3
条件が揃わないと実現することのない、所謂“就活”のパターンが舞台でした
が、普段、中小零細企業では見ることのない大手企業型の大量採用の選考手法
がずらりと並んだ感じでした。単純な就活劇と言うよりは、学生達の本音が露
呈していく群像劇と見たほうがよいぐらいに優れた描写でした。感想をいつも
の『脱兎見! 東京キネマ』にアップしてありますので、宜しければ、ご高覧
下さい。
今回の号は、『自信の発露』と題し、動機付け目的で意図的に“承認”を
多々提供したアルバイト・スタッフに起きることを描いた内容です。“自信を
持った態度”は概してプラスに評価されることが多いように思いますが、それ
は、動機付け段階で適切な方向に設定されている場合に限るであろうことが見
えてくるかと思います。是非ご一緒にご一考ください。本文に対するご意見・
ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5
営業日!!
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『脱兎見! 東京キネマ』(映画鑑賞記録@映画館 “ネタバレ注意”)
映画『何者』 http://tales.msi-group.org/?p=856
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その404:自信の発露
世の中では晩婚化がどんどん進み、婚活だの恋活だのに励む人が私の周囲で
も増えてきた。モテるための塾や円滑な交際のためのスクールのようなサービ
スも存在するという。それらに通う男性は、“自信を持った態度で女性に向き
合うこと”が最大のカギであると口を揃えて言う。おどおどせず、相手の目を
見つめ、落ち着いてゆっくりと話す訓練だけでも、数ヶ月を要することがある
らしい。スペックの品評ばかりで男女互いに候補者を選ぶことにも違和感を禁
じ得ないが、単に“自信を持った態度”さえあれば、格段に成功すると言う
カップリングにも、何か疑問が湧く。
或る日、パチンコ店の店長と主任の二人のスタッフ採用についての相談に乗
った。
「告知を出す前に、まずは人物像と要件の定義をして欲しいんです。要件には
二つあって、マスト要件とワント要件です。マスト要件は採用するスタッフは
絶対に満たしていなくてはならない条件のこと。ワント要件は採用するスタッ
フが満たしていたら尚望ましい条件のことです」と私が説明すると、彼らは大
体なら既に決まっていると答えた。
打ち合わせ場所は事務室の片隅。事務スタッフが机に向かって作業しながら、
こちらの話を聞いている。主任が「後で彼女にも説明しておきましょう。応募
の電話を受けるのは彼女なので」と言い出した。私は主任に小声で、管理者が
考えた業務の主旨や背景情報などを共有すると、スタッフは自分の存在が承認
されたと感じて、モチベーションが上がって、積極的になりますと説明した。
事務室を出て、店を見て回りながら、店長が事務スタッフのやる気アップは
期待が持てると、先程の話を反芻する。私はその気配が見えたら、彼女が今ま
でやっていなかった仕事をどんどん教えて、どんどん働かせるように薦めた。
「そんなに、やる気になるんですか」と店長は怪訝な顔をする。
「いえ。どちらかと言うと話は逆です。店長や主任が考えた“雇いたい人物像”
を伝えると、『自分もその篩を通った人材なんだ』とか『そんな話を聞かせて
くれるなんて、私も認められているな』と無意識のうちにスタッフは認識する
んです。そうすると、根拠ない自信が湧いて、店長や主任にタメ口になったり、
ミーティングで自分の意見に固執するようになったります。人間、やる気にな
っても、嫌なことは嫌なままですし、努力はしたくないものです。だから、や
る気が湧いた時に、ガンガン新しい仕事に励ませるのです」。
私が性悪説全開の説明を終えると、唖然とした顔の店長は何も言わなくなっ
ていた。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
顔の見える関係を人が構成しつつ機能する組織。
それが中小零細企業の組織の在り方です。
人口減少が愈々加速していく中、
人が不足する中小零細企業の現場はどのように変貌するのか。
単なる外国人研修生の受入れや採用予算のアップに留まらない
構造的な変化は、否応ないダイバーシティの進展です。
中小零細企業の現場には、従来の常識の採用人材モデルを打ち壊して、
老若男女はもとより、外国人も障害のある人も、そして、人工知能までもが、
躊躇の余裕さえなく動員されていくことでしょう。
考えてみたら、WEBが普及してきたとき、
「24時間文句も言わず、働き続ける有能な営業担当者!」
と言ったキャッチフレーズが使われていたことがあります。
有能な営業担当者の大活躍で、多くの店舗は、
何の価値を来店客に提供すればよいのか見出せないままに、
経営の苦境に立たされ、少なくない一部は淘汰されてしまいました。
人工知能が普及すれば、コールセンターの仕事も、
タクシーの運転の仕事も、配送トラックの運転の仕事も、
様々な仕事が、付加価値がつきにくい部分から、
激減していくと言われています。
24時間働き続けるのが、人間ではない有能な営業担当者だけだった時代。
それが終わりに近づいています。
広汎な職種で人間以外の働き手が活躍する時代が到来します。
その渦中で自社はどうやって、生き残り、勝ち残るか。
そんなことを今一度お考えになってみませんか。
珍しく、大胆な近未来予想に挑んだ大作
経営コラム SOLID AS FAITH 17周年記念特別号はこちらでお読みください。
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■『絶体絶命でも世界一愛される会社に変える!…』 石坂典子 著
■『23区格差』 池田利道 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第405話 『10年爆弾』 (12月10日発行)
創業から10年も経つと、経営の色々な箇所に澱が堆積します。それが気付か
ぬ部分で無視できぬものになり、徐々に経営効率を引き下げる結果になってい
ることがあります。或る会社の顕在化した問題について考えてみました。
(完)