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経営コラム SOLID AS FAITH 第400話発行記念特別号 第三弾
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目次
1 ご挨拶
2 402話 『腐り行く蜜柑』 =相違と多様 (3)=
3 特別原稿 『双六の上がり』
=アラウンド・ソリアズ おんなの生きる道 (3)=
4 MSIグループの仕入完了報告
5 あとがき
6 次号予告
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☆注意:お読みになる際には、枚数がかさみ恐縮ながら、プリントアウトの上
お読みになることを、心よりお勧め申し上げます。
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1 ご挨拶
御愛読御礼申し上げます。
第400話から始まるシリーズ『相違と多様』の第三弾の第402話に加えて、特
別原稿のシリーズ『アラウンド・ソリアズ おんなの生きる道』の第三弾を組
み合わせてお届けします。いよいよ、3回連続のダブル・シリーズの最終回で
す。
前2号でも、「これ、ほんとにソリアズなんですか」などの反響が多数のシ
リーズ、『アラウンド・ソリアズ おんなの生きる道』の第三弾は、弊社のク
ライアント企業である株式会社DBジャパンの森社長のインタビュー記事の『双
六の上がり』です。第一弾、第二弾と記事が長くなってきて、第三弾は前例の
ない長さとなってしまっていました。石原さとこさんのインタビュー記事をDB
ジャパンの森社長が入念に推敲した内容で、どこも削るのが惜しいので、メル
マガの中に全文を収めるのを諦め、ブログの特別原稿のページにリンクをはる
こととしました。
当コラム創刊以来、初めてのメルマガだけでコンテンツが完結しない形態で
す。メルマガからリンクにとんでブラウザが開いた後、石原さとこさんが身を
乗り出して聞いている感じが伝わる、森社長の半生を描く文章にのめりこみ過
ぎて、メルマガに戻ってくるのをお忘れにならないよう、ご注意ください。
シリーズ『相違と多様』の方は、第三弾にかなり危ない内容を配置しました。
本文中にもある通り、他の会社ではクレームが来るほどの事例を扱っています
ので、セクハラの謗りの可能性も十分認識した上の配信です。
高齢出産のリスクなどを、敢えて真正面から取り上げた内容です。人口が減
っていく中で、経済活動を支えるためには女性の就労が拡大しなくてはならな
いとする社会的見解に弊社代表の市川はあまり共感していません。就労機会の
拡大によって、短期的にGDPは上昇するでしょうが、それによって、さらに人
口増加の機会が減少するなどの要因で、中長期的にはGDPを確実に削っていく
だけの愚策に見えます。
当コラムで最長の全7話のシリーズ『これからの生活』、そして今回のシ
リーズ『相違と多様』をすべてつなぎ合わせると答えが現出する問題点そのも
のを、最後に直球で提示する内容としてみました。二つのシリーズを併せ読ん
で戴いて、御一考の一時をお楽しみになって戴けたら幸です。本文に対するご
意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納
期は5営業日!!
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■株式会社DBジャパン ウェブサイト
http://www.db-japan.co.jp/
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■シリーズ『これからの生活』・『相違と多様』の全タイトルを含む
シリーズものの全話が一覧でならぶブログページ
http://tales.msi-group.org/?cat=13
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2 その402:腐り行く蜜柑 =相違と多様(3)=
「35歳までにやっておくこと。この説明に入ります。人間の寿命は伸びていま
すが、人間の衰えが始まるのが、大体35歳と覚えておいてください。段々と深
酒はできなくなり、徹夜も無理になって来て、早い人なら白髪が出たり、老眼
になり始めたりします。階段を駆け上がるのが辛くなり、代謝も下がるので、
脂肪が溜まって体形が崩れてきます。
女性では、高齢出産になるのがこの年齢です。新しく作り続けられる男性の
精子と違って、女性の卵子は生まれてからずっと保存されているので、鮮度が
落ちて受精しにくくなり、遺伝子異常も増えます。遺伝子異常の確率は、35歳
を境に5〜10倍近くになります。
卵子の話は象徴的で、男女関係なく、刻々と体の限界が毎日近づくことをイ
メージして欲しいんです。その頃までに、体力勝負にならない働き方を身につ
けておかないと、時給も上がることがなく、体力的にキツくなって労働時間も
減る一方。おまけに、年をとれば普通は出費が増えるので、人生が完全に詰ん
でしまいます。人生の前半に苦労してスキルを身につけるか、後半にデッドエ
ンドで苦労するか、どちらを選ぶかと言う話です」。
シーンと静まり返った会社説明会の小さな会場で、就活中の学生達を前に、
「それじゃあ、具体的に…」と私が話を続けた。経営情報とは無関係のキャリ
ア展望の基礎を説明することになったのは、社長のたっての依頼。この会社は、
積極的に女子を採用し続けている。「下駄を履かせて、女子ばかり採っている
訳じゃない。女子の方が優秀なので、上から選んだ自然な結果」との社長の認
識は、時々説明会や面接に居合わせている私も共感できる。人数が少ない会社
だから、社員一人ひとりの生き方にきちんと向き合いたいと公言する社長は、
入口段階でキッチリとキャリアを考えさせるべきだと言う。
「中堅どころのシステム会社でこの話をしたら、女性管理者から『セクハラだ』
って怒られたんですから。それに、婚活・妊活に励む女子社員が大量発生した
ら大変ですよ」と、事前打ち合わせで苦言を呈しても、社長は変心しなかった。
人口減少で採用難がもっと進んだら、他社も社員の言い分をもっと聞かざる得
なくなる。「生き方に向き合う」ことで、“女性の居場所作り”を先にやった
ら、強力な差別化になると言う。
説明会終了後。「女子も皆真面目に受け止めていて、とても考えさせられた
と懇談会で言っていたぞ。考えた結果はどうであっても良い。ただ、入社する
なら真剣に考えてみてくれと言うことだからな。そう言うこっちの考え方は伝
わったみたいだ」と社長は微笑む。
「ほら、あの蜜柑箱の話。『女性の卵巣は蜜柑箱のようなもので、時間が経つ
と、食べられる数はどんどん減って行く』って、有名な産婦人科医の話が載っ
ている本にあったろ。あれ、タイトル何だっけ。推薦図書にしたらどうだろう」
と悪乗りを始める社長に、ウンザリ顔で、「『卵子老化の真実』です」と私は
答えた。
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3 特別原稿 『双六の上がり』
=アラウンド・ソリアズ おんなの生きる道 (3)=
フリーランスになって、トータルでかれこれ10年近くになる。正直ここまで独
り身でいるとは思っていなかったのだが、ともあれ女の幸せが結婚であるなら、
私はまだそれを手にすることができないまま三十路も半ばを過ぎた。ずっと答
えの出ない自問を繰り返しているのが、結婚して家に入るのと、仕事を続ける
こと、そのどちらが“女として正しい幸せなのか”だった。現状を振り返って
みれば、国を挙げて女性の活用を謳っているが、しがないフリーライターとし
て、大金を稼ぐこともできず、小遣い程度のギャラを細々と稼ぐに留まってい
る上に、ここ2年恋人すらいない状態では、どちらのベクトルを向いても幸せ
というゴールが遠いのだ。どちらも中途半端で、どちらももっともっと、努力
をしなければ辿り着けないのはわかっている。だからこそ、不器用な自分は果
たして、そのどちらに注力すべきなのか、迷っていた。
そんな中、市川さんと今回のメルマガの指針について決めることになった際、
話題に上がったのが森雅子さんという女性だった。結婚、出産、育児、その間
出版社で働き、その他の職種も経て現在は出版社を切り盛りしている女性社長。
正直その肩書きに度肝を抜かれてしまった。私の周りの友達は同じいき遅れの
女以外、結婚した人の99%は主婦と相成っている。手垢のついた言い回しだが、
「バリキャリ」な女性編集者だった人も、産休とったら復帰する、と言い続け
ていたものの、結局主婦のままだ。他人事ではあるけれど、仕事と家庭の両立
がどれ程難しいことなのか、も薄々と感じている。だからこそ、今よりもずっ
と社会的に理解の浅い時代を、「働きながら家庭も守った女性」が見つめてい
る幸せを知りたかった。
「結局、女は何をもって幸せとするのか」。女の仕事と生活、そのどちらも
持っていない女(卑屈ではない、あくまで本当の私自身がそれなのだ)が、そ
のどちらも持っている女性に、その答えを聞いてみたのだ。
特別原稿『双六の上がり』インタビュー
http://tales.msi-group.org/?p=851
☆リンク先のブログページでお楽しみください。
私の穿った見方では、(多分に嫉妬があるのを前提に)一時期のステレオタイ
プの女性社長というのは、どこか肩肘を張った「男には負けない!」というの
を全面に押し出すタイプか、女でありながら社長であるということをアピール
するタイプの2種類に分類されると思っていた。実際に触れ合う機会が多いのが、
こういったタイプの方が多かったからかもしれない。でも、森さんはそのどち
らとも違う、究極に自然な雰囲気の女性だった。会社で一番強い地位にありな
がらも、どこかその色に染まっていないような、いい意味で、ビジネスマン臭
さのない絶妙なバランス感。これはおそらく妻であり、母であり、という多面
的な立場を長く続けてきたからではないかと思う。
女性にとって、仕事をすることは絶対ではない。でも、それを通じて幸せを見
出せる場所にいるなら、それは結婚とは違う味わいでも、それもまた幸せなの
だと、少し元気付けられた気がした。森さんが仕事と育児でてんやわんや、と
いう生活を続けていた時期に、「君は欲張りだな」と言われたことがあると
仰っていたのだが、その貪欲さこそ、2倍の幸せを得られる原動力なのだ。
私は不器用を自覚していて、恋愛と仕事、どちらもどころか、その片方ですら
欲しいとは中々言えなかったけれど、求めなければ得られないというシンプル
なことを、気づけないままでいた。いつも「結婚していっちょ上がり」な友達
を尻目に、羨むばかりで双六を楽しめないでいたけれど、その子たちがいる場
所がゴールなのではなく、私の“上がり”はもっと他にあるのかもしれない。
早く、愛し愛される相手(それが男なのか仕事なのかはわからないけれど)を、
そしてもっと欲しいものを見つけて邁進しなくては。欲望の強さを生命力につ
なげていけるのは女の特権だと思うからだ。
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4 MSIグループの仕入完了報告
前2号に続き、400話発行記念特別号の3号では、感想付きで比較的最近読
んだ書籍2冊を紹介します。
■『女は男の指を見る』 竹内久美子 著
この本の紹介をするには、「初対面で、女は男の顔よりも指を見る」、「自
分と違う免疫の型の持ち主ほど、匂いがいい」、「浮気で得をするのは女であ
る」などの書籍内容の主張を端的に読み上げるだけで事足りる気がします。最
近の数多の実験結果をもとに、人間の恋愛行動・性行動が合理的な遺伝子の産
物として解釈されていきます。「生物は遺伝子の乗り物に過ぎない」とする考
え方が、非常に納得できるようになる一冊です。
■『ハーバードでいちばん人気の国・日本…』 佐藤智恵 著
日本論と言う“分野”があります。多くのこの分野の書籍のコンセプトは、
日本は凄いとする礼賛論と日本は全然ダメだとする否定論に極端に分かれてし
まっている感があります。この書籍の内容は勿論タイトルの通り、礼賛側に偏
っていますが、日本経営の形がハーバードのMBAコースの中で非常に人気があ
ることが、実際の記録に基づいて淡々と語られていきます。
ハーバードと言っても、本来は色々な学問分野があり、他の見地から見た日
本がどのようなものかは、全く語られていません。絞り込まれた特定の部分に
おいて、日本が客観的に見て世界に誇れるものを持っていることが分かる良い
内容です。
ミンツバーグが創発的戦略論を論じる際の事例として有名なホンダの米国進
出も紹介されていて、ミンツバーグ・ファンとしては、特に嬉しい一冊です。
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5 あとがき
ソリアズらしからぬコンテンツ、危険なコンテンツが連続する第400話発行
記念特別号の三回にわたる発行も、漸く終わりを迎えます。女性の社会進出、
女性の活躍できる社会などなど、誰のためにどんな風に良い結果が齎されるの
かが、今一つ不明なままの掛け声が一人歩きして、中小零細企業の組織運営に
まで影響を及ぼしています。
第373話『あらぬ方向』で描いた通り、海外の学者が書く日本の社会情勢の
分析でさえ、誤解と偏見に塗れています。さらにそれを真に受けて、ほら見ろ
と言わんばかりの日本人の論客や知識人のプロパガンダ並みの主張も、中小零
細企業で働く人々の現場感覚からは大きく乖離しているように見えます。そし
て、第400話『生業感覚』で描いたように、高学歴間違いない弁護士である女
性の「取締役以上になっている女性は極端に少ない」と言う、所謂「グラス・
シーリング論」も、的を射ているようには見えません。
石原さとこさんと今回の企画を話し合った中で、彼女から「市川さんは、女
性の社会進出って、どう思っているんですか」と、尋ねられたことがあります。
『これからの生活』の概要を説明しながら、そこにある私の答えを語ると、彼
女は『3M女のソリアズ的婚活』にある…
「私だって働きたくないし、他人の金で一生遊んで暮らしたい。一億総活躍社
会でキャリアウーマンなんてなりたくてもなれないし、そもそもなりたくない
し、仕事に生きる気なんてさらさらなかった」と、まんまの意見を聞かせてく
れました。
一時期一世を風靡したキャリアウーマンの見本のような勝間和代などの人々
も、子育てはほとんど親や一族郎党任せという話があちこちから漏れ出してい
たのを記憶しています。核家族の単位で、仕事も出産も育児も(、そして自己
実現も…)と追い求めれば、時間はなくなり、その時間を買おうとすればカネ
がなくなるのは必定です。単純に「がんばればできる」でもなく、「社会がお
かしい」のでもなく、構造的な「無理」に目を向けなくてはならないものと私
は思っています。
石原さとこさんが辿り着いた森雅子社長の事例は…
「早く、愛し愛される相手(それが男なのか仕事なのかはわからないけれど)
を、そしてもっと欲しいものを見つけて邁進しなくては。欲望の強さを生命力
につなげていけるのは女の特権だと思うからだ」
とまとめられるのは、今になって振り返った森社長の人生を体験談として聞
いているからであって、その実、子育てと仕事を両立している最中の森社長の
姿は、『ワーキングプア・ママという選択肢』に登場したM嬢の生活と、背景
構造としては大きく変わらないものだったかもしれません。
ただ、「M嬢」と異なり、森社長は、いざと言うときには「実母や姑にも協
力してもら」うことができていましたし、二人のご主人の収入やライフスタイ
ル、それについての価値観にも当然色々な相違があるものと思われます。背景
構造が同じでも、幾つかの主要なパラメータの相応の違いが、二つの異なるベ
クトルの人生観を作っているように見えるのです。
8周年記念特別号で『女性視点で照らすソリアズ的人材育成』で最初にテー
マとして取り上げてから、中小零細組織における女性視点から女性活用に論点
を移しているうちに、世の中に先述のような女性の社会進出が世論に躍り出て
きました。それが私のクライアント企業群にも陰を落とすのを見るにつけ、考
えてきた中身を漸く二つのシリーズ『これからの生活』・『相違と多様』の全
10話にまとめることができました。
このテーマの議論の場面が発生して意見を求められるたびに、「この特集を
是非ご一読ください」と指し示せるコンテンツのまとまりが手元に用意できた
ことが取りあえず嬉しく感じられます。
この仕事を始めて20年近く。その構成員の動機付けのあり方から始まって、
中小零細企業の組織運用は、基本的に組織の構成員の各々の人生に向き合うこ
とに尽きると思えます。それは、中小零細企業の組織と人をテーマにした当コ
ラムのテーマの範疇を大きく押し広げる認識でもあります。今回の中小零細企
業で働く女性の生活に焦点を当てたテーマ同様に、既存の経営論や組織論に囚
われることなく、現実・現場に忠実に、今後も中小零細企業の組織と人のある
べき姿の模索を続けて生きたいと思っています。
最後に、長い時間を費やして、本企画を完成させてくださった石原さとこさ
ん、取材に協力してくださった「M嬢」さん(!)と株式会社DBジャパンの森
雅子社長には、心より御礼申し上げます。
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8周年記念特別号 http://tales.msi-group.org/?p=241
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まずもうすぐまる17年。
そしてとうとう400話到達!
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
http://blog.mag2.com/m/log/0000019921
★弊社代表のコラムが色々満載。
ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める新設ブログ。
『脱兎見!東京キネマ』もこちらで御覧下さい。
http://tales.msi-group.org/
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6 次号予告
第403話 『埋もれた「学び」』 (11月10日発行)
10月末日の17周年記念特別号の発行をはさみ、記念特別号ラッシュが明けた
後は、中小零細企業の組織の中に溢れる暗黙知の管理のあり方について考えて
みます。ご期待ください。
(完)