399 生存の理由

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ご了承ください。
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経営コラム SOLID AS FAITH 第399号
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 ご愛読ありがとうございます。第399話をお届けします。

 とうとう300番台の最後の号となりました。400話の節目には3話シリーズ
を当初から予定していましたが、発行スケジュールをふと確認してみると、
400話発行記念特別号を3号発行してからたった6日後に17周年記念特別号の発
行となっていました。惑星直列のような偶然です。約一年前から、これら二つ
の企画が概ね同じ時期に発生することを予期して準備に進めてまいりました。

 これら二つの企画を動かし始めた昨年9月。当メルマガ創刊以来の最長シリ
ーズである『これからの生活』が無事発行し終わったタイミングでした。特定
の書籍からの論点を広げた、どちらかと言うと、当メルマガのタッチの中では
“大枠論”・“総論”的な内容が目立った全7話でした。その論点をもっとナ
マの声を基点に掘り下げようと考えたのが、400話発行記念特別号の二つのシ
リーズです。全6話の内容をPR欄に紹介しましたので、是非ご高覧下さい。

 300番台の最終号は、いつもの如く、狙った訳ではありませんが、節目にふ
さわしいテイストのタイトルとなりました。『生存の理由』は、文中に登場す
る介護施設での実験で明らかになった、「人々が長生きする要素」について考
えてみたものです。他の生き物と異なり、人間を生かす要因。注目に値します
が、中小零細企業において、安易に原理を導入する訳には行かない劇薬のよう
に私には思えます。

 秋の兆しがあちこちに感じられるようになった日常生活の、ちょっとした思
索のタネになりましたら幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待ちして
おります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その399:生存の理由

「う〜ん。まあ、いつでも上手く行く手法ではありませんが、御社の場合は社
員の皆さんは、言われたことをやる所までにはなっていたから、許せる結果に
なったと言うことでしょうね。言えばやるし、やる必然性も分かっている。け
れど、社長からすると、言わなきゃ狙った通りにならない。とすると、考えら
れる理由は、『こちらが言うから、自分達でやらない』ってことになりますよ
ね」。
 私が眉を顰めて言うと、社長は「まあ、結果は良くなったし」と笑っていた。
この小さな運送会社は、二つある倉庫の3S徹底を目標に掲げて、社長が社員に
取り組ませてきた。社員達は3Sの効果効能を十分理解していて、尋ねればきち
んと答える。それでも、放っておくと日常作業の中に紛れて、倉庫の中は乱雑
になってくる。

 短期の勉強会で、社員を2チームに分けて各々に倉庫を一つずつ担当させた。
3S維持マニュアルを作らせ、担当倉庫で実践させると同時に、もう一方の倉庫
の3S状況の点検も業務の一環とした。互いに自分達の倉庫を片付けながら、相
手の状況も意識する。マニュアルの内容も点検方法も、こちらが提示した枠の
中で、自由に設定してもらった。

「やっぱり、互いに監督しあって3Sも仕事の一環と分かったんだろうなぁ」と
社長は呟く。

 最近読んだ『しあわせ仮説』にあった、おかしな実験の話が記憶から蘇った。
「エレン・ランガーとジュディス・ロディンは、介護施設の二つのフロアの入
居者に、部屋に植物を置いたり、週に一度映画を上映したりといった特権を与
えた。そのうちの一方のフロアでは、この特権をコントロール感と共に与えた。
つまり入居者はどのような植物を置くか決めることができ、水やりも彼らの責
任であった。(中略)もう一方のフロアにも同様の特権が与えられたが、単に
与えられただけだった。看護師が植物を選び、水やりもした。この実験操作の
小さな違いが、大きな効果を生み出した」。

 結果の評価にあたった入居者達自身も看護師も、コントロール感を与えられ
たフロアの入居者は、より幸福度が高く、より行動的になったと認めた。効果
は18ヵ月経ってもまだ顕著で、その住人達は、より健康的で死者の割合も半分
だったと言う。

「どうでしょうねぇ。相互に監督したからだとは、私はあんまり思っていない
んです。なんでか知りませんが、責任と裁量の両方がいきなりポンと与えられ
ると、生きる活力が湧く人間が、世の中には多いってことらしいので、その原
理に従ったら、結果が出たと言うことじゃないですかね。私個人は責任も裁量
も、全然欲しいと思わないですけどね」。
 私の考えを社長はどうでも良さ気に、「ふ〜ん。そうか」と聞き流していた。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

400話発行記念特別号3回。
いよいよ、9/25(日)から発行開始。

400話発行記念特別号は、
中小零細企業で働く女性をテーマにした3回シリーズを
二つ組み合わせた、ヒネリの効いた構成です。

第1シリーズは、ソリアズ通常号のシリーズと同じ位置づけの
シリーズ『相違と多様』の3本です。
女性活用が社会全般で叫ばれる中、
以前、最長シリーズ『これからの生活』全7話で描いた
人口減と女性の働き方の切り口とは異なる、
突っ込んだ現実論・現場論を展開します。

第400話『生業感覚』9/25発行
 女性の役員はなぜ増えないのか。その謎解きに挑みます。
第401話『写真の人々』10/10発行
 否応なく進む中小零細企業の社員の多様性を描きます。
第402話『腐り行く蜜柑』10/25発行
 大学新卒女子社員採用の現場でのキャリア教育のナマ現場を描きます。

第2シリーズは、ライターの石原さとこさんに依頼した
中小零細企業経営とそれを描くソリアズにまつわる
女性の価値観や生活を描く、
『アラウンド・ソリアズ おんなの生き方』全3話です。

第1話『ワーキングプア・ママという選択肢』
 過去にソリアズに登場した女性のその後を描きます。
第2話『3M女のソリアズ的婚活』
 ソリアズの経営論を基に婚活を進めたリアル・ドキュメンタリーです。
第3話『双六の上がり』
 突然の成り行きで社長就任した弊社クライアント企業の
 女性社長の長編インタビューです。
※インタビューが長編過ぎるので、インタビュー本文部分は、
 弊社ブログに格納してリンク先でお読みいただく、当コラム初の試みです。

ソリアズは徹底して現場論・現実論を描いてきていますが、
2シリーズ6話は、今までの号の枠を踏み越えて、
弊社とソリアズに関わりのある女性の本音を描きます。

是非、ご期待ください。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『ほめると子供はダメになる』 榎本博明 著
■『性風俗のいびつな現場』 坂爪真吾 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け17年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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 サーバのエラーなどで読者登録が解除されてしまった方がいらっしゃる様子
です。当メルマガは毎月10日・25日に休まず発行しております。発行状況のご
確認は上述の弊社ブログにて行なってください。
 また、まぐまぐからの連絡によると、一部フリーメール運営企業でサーバの
受信量規制を行なっているケースがあり、その場合は大幅にメールマガジンの
到着が遅れるとのことです。
「届かない」、「再送希望」などの連絡は、まぐまぐの窓口である
「magpost@mag2.com」に、メルマガID(#0000019921)、タイトル(『経営コ
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にてご連絡下さい。
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次号予告:
 第400話 『生業感覚』 シリーズ『相違と多様』(1) (9月25日発行) 
 大手企業型経営論の最近の指摘に、日本は女性の取締役が少ないと言うもの
があります。しかし、中小零細企業に限って言えば、女性経営者は多数います。
自営業者まで入れると、経営感覚が必須となる女性が全く少なくないことにつ
いて、考えてみました。

(完)