303 採石攻石 =脱兎の心中= 300話発行記念特別号 第四弾

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経営コラム SOLID AS FAITH 第300話発行記念特別号 第四弾
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目次 
1 ご挨拶
2 303話 『採石攻石』     =脱兎の心中(4)=
3 特別インタビュー 笠原様  =忘季の兎狩(4)=
4 あとがき
5 次号予告
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☆注意:お読みになる際には、枚数がかさみ恐縮ながら、プリントアウトの上
お読みになることを、心よりお勧め申し上げます。
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1 ご挨拶

 御愛読御礼申し上げます。第300話発行記念特別号シリーズ『脱兎の心中』
第四弾の第303話をお届けします。

 シリーズ5話中で唯一、冒頭から映画の話題で、最も「直球勝負」の展開の
話です。自分の映画関連体験が冒頭から八割以上続き、最後に突如クライアン
トの勉強会の場に戻して締めてみました。

 クライアント企業での幹部研修で幹部に求められる行動指針のようなものの
一つとして、「仮説作りとその検証」に言及することがあります。「仮説を作
れとよく言われますが、作ってどうすることでどのような効果が出るというの
かよく分かりません」と言う素直過ぎる御質問に対して、「磨くと自ずといろ
んなものが良くなるんじゃないでしょうか」と私は答えます。

 その答えに怪訝な顔をしている方々への私の考えの説明を、映画鑑賞の習慣
をモチーフに用意してみたのが今回の話です。タイトル付けはここ数年の発表
作の中で最高に悩みました。結局「他山の石」の諺をベースにしました。本来
なら他山の石をもって、自らの玉を攻めることという流れですが、他の石に較
べて自分のものが玉ほどに優れているとは思えない故のこのタイトルです。映
画の話ではあるものの、広がりを持つ事象全般へのアプローチのあり方、徐々
に精度を上げていく方法論のようなものについて、御共感戴けましたら幸甚で
す。

 それでは「『脱兎見!東京キネマ』の映画のジャンルは、なぜ幅広いのか」
の答えを是非ご堪能下さい。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしておりま
す。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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2 その303:採石攻石 =脱兎の心中(4)=

『しかしそれだけではない。加藤周一 幽霊と語る』
 廃刊間近に迫った『ぴあ』の映画紹介欄を開いて、奇妙なタイトルが目に飛
び込んできた。私は50歳まであと数年と言う歳で、「知の巨人」と称される加
藤周一を知らなかった。オカルティズムの作品ではない。生きている人の考え
方は変わって行く。2008年末に逝去した彼の映像に残る最後の仕事がこの「決
して意見が変わらない幽霊達」との対話だった。

 見に行こうと思ったが、スケジュールが合わない。大体にして主張一つも知
らない。代表作だけでも読んで、DVDを見ようと考え直す。ウィキで見る彼
の著作は広範且つ膨大で眩暈がする。取り敢えず、反戦系の作品『言葉と戦車
を見すえて』、そして『日本文学史序説』上下巻を買った。『言葉と戦車を…』
を読了して、全編で1200ページ近くの『日本文学史序説』は、好きな時代や
好きな作家の部分から拾い読みを始めた。文学のイメージが音を立てて変わる。
能・狂言から農民一揆の檄文まで、凡そ日本の思想・精神を文章で表現したも
のは何でも含まれている。私でさえ文学が何であるか自然と考えさせられる。

 大学時代に全く無償でホームステイさせてくれていた大学教授が、映画が好
きならこれを読むべきだとロジャー・イーバートの毎年最新版が出る映画評論
集を買ってくれた。シカゴ・サンタイムズに掲載される彼の優れた映画評論の
集積は、彼にピューリッツァー賞までもたらしている。紙が擦り切れるほど読
んだ。既知の作品の映画評を読み、未知の作品の映画評を読んではその作品を
見た。
 
 ミシュランなどの専門家の見識や評価価値が総じて低く見られがちな米国に
おいて、映画評が興行収入にリンクしないと広く認識されているのに、イーバ
ートが出演する映画評論番組『シスケル&イーバート』は高視聴率を叩き出し
ていた。テレビでは、もう一人の評論家ジーン・シスケルと意見がよく割れる。
各々が親指を立てると良い評価なので、紹介映画の評価は親指ゼロから親指二
本の三段階。イーバートの評論集では星四つが最上位。これですべての映画を
評価している。評価対象の映画のジャンルは途方もなく広い。テキサスの食人
家族の映画『悪魔のいけにえ』でさえ、不快感を効果的に催させる恐怖表現で
星二つ。恋愛ドラマも子供アニメも同列に扱い得る評価軸の高い信頼性が窺え
る。

「ブログの『脱兎見!』。もう滅茶苦茶ですよね。ドキュメンタリーもあれば、
SFもあって、邦画もあれば洋画もあって。プリキュアや仮面ライダーにまで、
仕事でもないのにあれだけ書き込む人はいないでしょ」とクライアント企業の
勉強会の休憩時間に言われた。

「他人はよく見えても、自分ってよく分からないじゃないですか。よく分から
ないものは仮説で理解するしかないから、その仮説の精度を上げるためには、
多種多様なサンプルで試すしかないって話なんですよ」と私は言った。

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3 特別インタビュー 笠原様 =忘季の兎狩(4)=

 皆様、こんにちは。山口佳織です。元師匠・市川のスタイルを模倣し、現場
に入り込んでITやマーケティングに関わるご提案をさせていただいておりま
す。
 
 中小零細企業にPCやITに詳しい人材が入社するのは、極めて稀有な現象で
す。そのような環境の中でいかにITを運用し続けられる状態にするかというの
は、大きな課題になってきます。システムを外注し、作成することで一時的な
解決は行えますが、お客さまに合わせて変わる中小零細企業では高頻度で修正
が発生するため、本質的に根付かせるためには、自社でも改修・運用ができる
ほど、簡単にかみ砕くことが必要です。

 何を大切にして物事を考えるべきか、市川との会話から学んだことの答えを、
今回は一風変わった切り口で書かせていただきました。ぜひ、ご笑覧ください。

***   ***   ***   ***   ***   ***

スピリチュアル・カウンセラー 笠原 奎 様

 笠原様は市川のクライアントのインド占星術師の方で、既存顧客の満足度向
上に注力した結果、3年間で売上を5倍にまで伸ばしたという実績をお持ちの
方です。その様子は、ソリアズ第273話『桿体』にも描かれています。
 
 今回のインタビューに際し、私も笠原様のタロット占いを受けさせていただ
いたのですが、入社から4年間面倒を見ていただいた前職の元上司から前日に
戴いたアドバイスとほとんど同様のことを初対面にも関わらず言い当てられ、
非常に驚きました。

「市川さんと同じ映画を観たときに感想を言い合うのですが、注目している部
分は大きく異なりますね」。
 たとえば『脱兎見!…』にも感想が載せられている『パーシー・ジャクソン
とオリンポスの神々』は、笠原様がストーリーを重視するのに対し、市川は役
者を見ています。

 占星術的視点から見た市川は、秘密主義で女性的視点が磨かれており、勉強
家でビジネスや結婚に理想像を求める性格だそうです。『脱兎見!東京キネマ』
は全体的に細かい描写が多く、感想の切り口としては登場人物がどのような心
境のもと行動を起こしているかという部分に論点にすることが多いのですが、
上述の「ビジネスや結婚に理想像を求める」性格が起点となっていると笠原様
は仰います。

「市川さんは比較的ハリウッドや超大作の映画を観られないですが、その中で
も高評価な映画は、市川さんのスケール観やパターンにはまった、現実的にあ
ってもおかしくないリアルさが感じられた場合ですね」。
 確かに『ヒミズ』という映画は、市川が好きな園子温監督の作品であるにも
関わらず、評価が高いとは到底言えません。それは「茶沢さん」の例に挙げら
れるように、「茶沢さん」という人生的な背景を持つ人物が起こすとされる行
動が一切見受けられず、その心境と行動の不一致感に共感を覚えられないから
です。

 市川は占星術的に見ても、作戦の本質を追求する星の影響を強く受けている
ため、脚色や偽り、不自然さは受け付けず、ラジカルなことを求める星に生ま
れているそうです。『脱兎見!東京キネマ』には不自然な部分を改善したい、
人の生き様を暴きたいという市川の本質的な欲求が如実に反映されていると笠
原様は仰います。
 
 笠原様は今後も『脱兎見!東京キネマ』と占星術を通じて、市川の生き様と
も言い換えられる、ラジカルな視点を持つに至った原点への理解を更に深める
ことと思います。

< インタビューを終えて>

 占星術的視点から見た市川が前提としてあり、その中でも市川がどういった
性格なのかということをお話しいただきました。
 
「市川さんは確かにある種の理想の人物像をパターンとして持っているけれど、
世間一般の理想像からは少しずれていて、それがクライアント企業の選択にも
影響していると思います。他の欠点があっても、向学心がある人は助けたいと
思うのが市川さんですよ」。
 実際に市川のクライアントとして、売上を飛躍的に伸ばされた実績のある笠
原様の言葉には非常に説得力があり、駆け出しの個人事業主として自分はどう
するべきなのか、改めて考えるきっかけとなりました。

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4 あとがき

 弊社ブログ『 MSI-TALES 』の最新追加カテゴリーである『脱兎見!東京キ
ネマ』も既に開始から4年が経ち、エントリー数も150に近づきつつあります。
このような新カテゴリーの登場はもうないのかとよくお尋ね戴きます。ビジネ
ス書の感想もブログに挙げて欲しいと経営者からご要請戴くこともあります。
ビジネス書は旬なタイミングを逃してアップすると、場違い感が際立ちますし、
読み返したり周囲の人々と意見交換するたびに学びや印象が変わることもあり、
コンテンツの用意にも苦慮することでしょう。
 
 最近、多くのクライアント企業における海外との接点の増加を見て、海外ビ
ジネスの情報窓口としてリンクトインを始めました。英語版でのみページを作
成し、「グループ」と呼ばれるコミュニティでの書き込みも、メッセージのや
り取りも総て英語にして、リンクトインユーザー一億人以上のうち、99%以上
の非日本人、その八割を超えると言う英語活用者に対するコミュニケーション
・チャネルを維持すべく、頑張っております。

 そのリンクトインで個人のプロフィールで語られている以上のことを伝えよ
うとすると、リンクを張るべき自社サイトの英語版がなく苦慮します。繁茂す
るようにページを増やした弊社サイトを私は「ドン・キホーテ状態」と呼び、
ログ解析結果を見る限り、一定のメリットはあると考えています。しかし、
各々のページを英訳するとなると膨大な作業が必要となってしまいます。海外
のリンクトインユーザーを見ていると、その受け皿が大抵の場合ブログになっ
ている様子です。弊社の場合は、リンクトインで言及され易い話題から
『 MSI-TALES 』に英文ページを創設するのが最も安易な解決方法に思えます。
 
 まだ、色々と検討すべき点は残っていますが、『脱兎見!東京キネマ』に次
ぐ新設カテゴリーは『 MSI-GROUP BIZ FEATURES 』である可能性はそれなりに
りあます。こうして、弊社ブログの用途も内容の幅も広がっていく。と言うこ
とにしておきたいと思います。

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
 発行しています。
 (http://www.mag2.com/ ) 
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け13年。
そしてとうとう300話突破!

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★全バックナンバーはまぐまぐのサイトで掲示されております。
 http://blog.mag2.com/m/log/0000019921
★弊社代表のコラムが色々満載。
 ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める新設ブログ。
 『脱兎見!東京キネマ』もこちらで御覧下さい。
 http://tales.msi-group.org/
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5 次号予告
 シリーズ『脱兎の心中』の最終回第五弾は、『詰替え容器』と題して皆様の
「『脱兎見!東京キネマ』」は、なぜ映画の話から脈絡無く脱線するのか」と
言う疑問にお答えします。ご期待下さい。

(完)