523 続・名乗る者 =南国の史実=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第523号
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 ご愛読ありがとうございます。第523話をお届けします。

 先月末日、無事22周年記念特別号を発行しました。とうとう当コラムも創
刊以来足掛け23年目に突入します。長らくご愛読下さっているあなたに心よ
り御礼申し上げます。22周年記念特別号は「会社の萬屋 企画改善請負本舗」
の奥田美幸が「残念なオーナー経営者」についてまとめた内容でしたが、非
常にご好評を賜ったようで奥田に幾つものご感想やらコメントが寄せられた
ようです。それほど誰の目にも明らかな残念なオーナー経営者はたくさん存
在するということなのかもしれません。

 今年も残す所2ヶ月を切りました。海外ではワクチンを打っても打っても
通称武漢ウイルスの新型株が爆発的に感染を広げていると報道されています。
弊社代表の市川は日本のファクターXの有効性を相応に見込んでいるので、
国内での爆発的な感染は起こりにくいものと考えています。しかし、国内経
済が新政権下で一応回復軌道に乗っても、年末を越えられない企業は多数出
ることでしょう。来年三月の年度末も同様です。そして三月を過ぎると昨年
と今年に支給された補助金の記録を手にして税務署が乗り込んでくるという
噂もちらほら聞きます。

 海外ではまだまだ引き摺る通称武漢ウイルス禍。それでも、米国では金融
引き締めの方向性がかなり明確になり、原油は高止まりして下がらず、中国
経済はいよいよ失速し、中露共に強権指導者は高齢になって危うくなり…。
今までVUCAそのもので読みにくかった世界情勢も国内経済も、一般論で見る
なら悪い方向に収斂して、その実像が少しは見えやすくなるように思えます。
そんな中で、自分の会社を守ることができる経営者になるためには、「残念
なオーナー経営者」論は結構お役に立てる部分があるのかもしれません。

 今回の号は過去最長シリーズ全10回の第7回目です。タイトルは『続・名
乗る者』。比較的最近の号を振り返ると、第500話『続・無知の商品化』以
来の「続」編と位置付けられた号です。OJTの原理から考えて、社員育成の
作業は現場の「鉄火場」に持ち込まれます。そこで発生する未熟な社員の非
効率やミス、エラーのリスクを誰が引き受けるべきなのかを考えたのが第58
話『名乗る者』でした。続編の今回は「人材育成をしない」と経営者が公言
している南国の巨大スーパーの事例で、いわば“永遠の未熟者”が発生させ
る経営リスクについて考えてみた内容です。ご意見・ご感想をお待ちしてお
ります。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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■第58話『名乗る者』 http://tales.msi-group.org/?p=100
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その523:続・名乗る者 シリーズ『南国の史実』(7)

「あの。すみません。その漢字は…」と私が言い出した瞬間に、ほんの0.5
秒ほど隣のレジに視線を投げていた中年の女性店員が、何かの武道の技と見
紛うような絶妙な速度と強度の当身で私の正面の新人店員を押しのけて言っ
た。
「書籍代ですね。少々お待ちください。」

 ここは新宿東口の老舗書店のレジ。正面の新人店員の胸には「研修中」と
書かれている。OJTでは「書籍代」の漢字の書取り練習までは手が回らなか
ったのか、新人店員は私の「但し書きは書籍代で」が聞き取れず、おまけに
書くこともできなかった。最初からできる人間はいない。しかし、できない
人間による負担を徒にお客様に転嫁して良い訳もない。

 タイトルだけ挑戦的な『おもてなし幻想』は、芝居がかった珍妙な「おも
てなし」を定義して、そんなものは要らないとやたらに主張する不思議な本。
そんなものより、待たせず無駄なことをさせず、スムーズなサービス提供が
重要という主張は、データで証明して見せてもらうまでもない。その上に適
切な読みや配慮が重なることを理想としなければ人間の関与自体が不要にな
るだろう。そんな考えをガン無視する経営者の弁を見つけた。

「パートも含めて、いわゆる新人教育といったものも行っていません。現場
に出て何か失敗をすれば、お客様から怒られることもあるかもしれませんが、
それも経験で、そうした経験の中から自分で学んでいけばいいのです」。

 鹿児島県の人口減少地域で24時間営業の巨大スーパー3店を経営する経営
者が書いた『利益第二主義』の中の一節。パートも含めて教育が為されない
のは、新人時代だけではない。ずっと教育というものが存在しない組織であ
るように書かれている。お客様に迷惑をかける失敗が起こることが前提とな
っている組織運営。お客様はそのようなことが起こるが故の低価格や、起こ
るが故の自前お迎えバスのサービスと割り切るべきだろう。

 嘗て私はこのコラムの『名乗る者』でこう書いた。
「太い血管が腕を這う私を見ると、採血を行う看護婦は一旦奥へ行き、「研
修生」と名札に書かれた新米の看護婦を呼んでくる。失敗の少ない練習台と
いうことだろう。「迷惑な未熟者」はなぜ名乗るのか。経営者は何を意図し
てそれを表示するのか」。

 件の巨大スーパーには自前で運営する食堂もあれば自動車整備場まで存在
する。異物混入や食中毒、交通事故が起きれば、お客様は怒る間もなく他界
するかもしれない。それだけのコストとリスクをかけて、「そうした経験」
からの従業員の学びが切に期待される。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
先日、飲食店のクライアント様にて社員研修の一環として
店舗周辺地域を把握するためのフィールド・ワークを実施しました。

商圏分析の考え方をもとに人の流れや地域ごとの人物像を理解し
実際に見聞きすることは、満足度の高い接客の実現に役立ちます。

このように社員を「戦力化」するための事例は、
以下ページでもご説明しています。
ぜひご笑覧ください。
https://kaisha-yorozuya.support/works/solutionsaboutpeople-exp/

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『萬屋のもっと深く愛してい』第20回「HRテック・育成管理システム編」

長く続いた緊急事態宣言がようやく明け、徐々に以前の日常を取り戻しつつ
ありますが、コロナ禍前と全く同じようには戻らないという意見をたびたび
耳にします。「働き方改革」により残業時間削減などが声高に叫ばれ、その
結果、大手企業では研修時間の減少により育成を軽視するような動きがあり
ましたが、コロナ禍によりその状況も幾ばくか改善してきたようです。

社員育成が重要であることが再認識されるようになってきたなか、「HRテッ
ク」シリーズの第4回目は「育成管理システム編」として、効率的な育成に
活用できるシステムを考えていきます。

育成管理システムの分類のなかには、従業員向けの研修教材の配信及びその
受講状況を確認するものや「エンゲージメントの測定」、いわゆる会社に対
する愛着心や仕事に対するモチベーションを把握するようなものも含まれま
す。

前者のシステムに限定した領域は、学習管理システム(LMS :Learning
Management System)」とも呼ばれ、対象者ごとに適切な学習教材を配信し
たり、管理者とのコミュニケーション機能もあったりするなど、効率的にス
キル・アップを実現することができます。

後者のエンゲージメントの測定に関しては、従業員の定着率を高め、採用コ
ストの削減にもつながります。測定の指標について、最近ではeNPS
(Employee Net Promoter Score:従業員ロイヤルティ)と呼ばれる「職場
に対する愛着・信頼の度合い」などが新たな指標の一つとなっています。従
業員に対し自社で働くことを友人、知人にすすめたいかどうかを聞くことで、
従業員がどれほど自社を信頼しているかが明確になり、従業員の立ち位置を
把握した上で対策を立てやすくなります。測定結果をもとに影響しているこ
とを統計解析で分析するなど、まさにAIならではの仕組みとなっています。

導入時には、形骸化し、ただの作業のようになってしまわないよう、利用対
象者である従業員にきちんとその意義を説明することが重要です。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『専門知は、もういらないのか …』 T・ニコルズ 著
■『御社の働き方改革、ここが間違ってます!…』 白河桃子 著
■『それでも読書はやめられない …』 勢古浩爾 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第524話 『気分屋稼業』
 シリーズ『南国の史実』(8) (11月25日発行) 
 南の島の巨大スーパーにてモチベーションやら感情労働やらについて考え
てみました。長編シリーズ第八回目です。

(完)