520 必然的カオス論 =南国の史実=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第520号
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 ご愛読ありがとうございます。第520話をお届けします。

 残暑もほとんど感じられないままに秋が到来したように感じられます。季
節の変わり以上に、国内政治も国外動静も非常に流動的になったように感じ
られ、色々な要因が絡み合ってVUCA宛らになっているようです。弊社代表の
市川は先日『パンケーキを毒見する』という映画を新宿で観て来ましたが、
その数日後には映画で面白可笑しく描かれていた菅政権の退陣が決まりまし
た。

 映画の終盤で菅政権の失政のため国力を失った日本の状況を各種の世界ラ
ンキングで示していましたが、市川には殆どが同意できないものでした。市
川は右翼ではありませんが、どう見ても映画が論うように日本が三流国家に
なったようには思えません。『格差は心を壊す: 比較という呪縛』というイ
ギリスのベストセラーがありますが、その中の大半のリサーチ結果において、
日本は格差が先進国の中で極端に少なく、その結果引き起こされるとされて
いるあらゆる社会的病弊が非常に軽微で済んでいる国です。
 
 テロリストと同姓や同名だっただけで航空機に搭乗できない人が数万人単
位で存在する米国のようなこともありません。EU全体で毎日3万人もイスラ
ム系難民が押し寄せ、ケルンの駅前で大集団強姦事件が起きたり、数千人単
位で女性器の割礼が強いられて問題になったりすることもありません。アジ
アの一部他国のように、広場に集まった人々が万の単位で戦車に轢殺される
ようなことも、軍や武装集団による政権掌握が突如行なわれることもありま
せん。勿論、解決すべき問題も多々ありますが、妙に卑屈になる必要は全く
ありません。ファクトフルネスだのエビデンスだのよく耳にするようになり
ましたが、現実的な比較で考えるべきであろうと思えてなりません。
 
 今回のコラムは過去最長のシリーズ『南国の史実』の四回目です。ロング
テールの商品群をリアルに配置すると発生する物理的な問題について、じっ
くり考えてみます。是非一緒にご一考ください。ご意見・ご感想をお待ちし
ております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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■ブログ『脱兎見!東京キネマ』記事
 『パンケーキを毒見する』 http://tales.msi-group.org/?p=2261
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その520:必然的カオス論 シリーズ『南国の史実』(4)

「え。お客さん。わざわざ東京からあのスーパーに行くために来たんですか。
信じられないです。あのスーパーの何がいいんですか。私、鹿児島市内に住
んでますけど、おじいちゃん、おばあちゃんの家の近くにあの店があって。
遊びに行くとよく連れて行かれるんです。広いから子供を飽きさせないって
考えたんでしょうけど、もう全然楽しくなかったです。子供の目にも、なん
か薄暗くて、棚とか床とかが汚い感じで、商品は古臭いし。それに、やたら
に広いので、何がどこにあるのかさっぱり分からないんですよ。あ。おじい
ちゃん、おばあちゃんですか。多分、二人も全然わかってなかったと思いま
すよ。けど、いつも買うものが決まっているから、その売場だけ行ってただ
けでしょうね」。

 鹿児島市内のホテルの部屋にマッサージの女性を呼んで、巨大スーパーを
歩き回って疲れた足腰を揉んでもらった。経営相談の商売柄、10年以上前か
ら一度見てみようと思っていて、その店に漸く今日行けた。これから過疎化
があちこちで進む中で、結構お手本になる店のありかただと思っている、な
どと20歳という彼女に伝えると、彼女は腰を抜かさんばかりに驚いて、その
店に対する彼女の印象を、堰を切ったように語り始めた。

「大手のチェーンストアが実施しているような、店内のワンウェイコントロ
ール(中略)はまったく考えていません。ワンウェイコントロールは、店に
とって都合のいい同線を引き、お客さにそこを歩かせようとするもので、自
分が欲しいものがないところも歩かされてしまいます。お客様には迷惑でし
かありません。
 商品の陳列、配置でも、もっとも優先されるのは、お客様の声です。お客
様が求める商品をもっともショートタイムで手に取れるようにするにはどう
すべきか。そこから商品の配置も決まってきます。
 たとえば、お客様が、ある売り場付近をうろうろしたあとに、「国旗はど
こに置いてあるの?」と聞かれれば、聞かれた場所に国旗を置くのがいちば
んよいのです。店の都合で考えてはいけません」。

 件の巨大スーパーについて書かれた『利益第二主義』の中の一節。地域ス
ーパーの診断実習の際に確かにワンウェイコントロールは習った。生鮮三品
で店奥にお客を招き入れ、それからマグネット商品で誘導する…などは典型
的教科書知識。しかし、郊外のSCでもスーパーセンターでも、そんな発想で
お客様を歩かせているとは思えない。

 件の店の何かの資料に、商品の場所をお客様に尋ねられた従業員は「あち
らです」と決して答えず、お客様を自らその場へお連れするという話が書か
れていた。早速、食堂の位置を尋ねてみると、中年の女性スタッフは「あっ
ちス」とぼそりと言って指さした。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
師匠・市川の紹介で、
某ローカルラジオ局の世代交代の支援をすることになりました。
労基関係の対応をまずは進めており、
労使関係・労働関係を実践的に見直す作業を続けています。

人に関するお悩みを色々お引き受けしています。ぜひご笑覧ください。
https://kaisha-yorozuya.support/works/solutionsaboutpeople-exp/

今後は、ラジオ局の事業面を見直すために、
人口減少地域におけるマーケティング軸とした戦略づくりにも
着手する予定です。

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『萬屋のもっと深く愛してい』第17回「HRテック」

新型コロナウイルス禍の影響で売上の見込みが立たず、廃業を選ぶ企業が増
えていると聞きます。それとは別に「人手不足倒産」もひそかに増えていっ
ていることをご存知でしょうか。後継者を見つけることができないまま、経
営者の高齢化などによりやむを得ず廃業する会社なども増えているようです。
その背景には、求職していない「無業者」と呼ばれる人たちが増加している
こともあるようですが、この連載ではICTの観点で、人手不足の状況の緩和・
解消を手助けする一つの方法をご紹介したいと思います。

その方法とは「HRテック」です。HRテックは、人的資源を表す「HR(Human
Resource)」と「テクノロジー(Technology)」を掛け合わせた造語です。
AIをはじめとしたICTを活用して、人事業務の効率化を図るシステムのこと
を表しています。タクシーに乗車した際に流れる宣伝動画によく出てくるの
で、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

人事業務と一言で言っても、給与計算や勤怠管理、社内コミュニケーション
などを効率化するシステムだけではなく、適切な人材配置やスキル評価、面
接、退職予測などを分析するシステムも登場しています。今までは、ある程
度の経験を積んだ担当者ではなければ対応できないと思われていた業務も、
HRテックを駆使することで多くの経験を積まなくてもある程度を担うことが
できつつあります。最近では、導入コストがさがり、中小企業でも導入しや
すいものがじわじわ出てきています。

この連載では、「HRテック」を以下の4つのジャンルに分けて紹介していき
ます。

ジャンルごとに、主に以下のような業務への活用を表しています。
・「採用管理」:応募者の管理や面接の応募者評価など
・「労務管理」:勤怠・休暇などの労務管理、給与計算など
・「育成管理」:研修システムや従業員の動機付けの測定など
・「組織管理」:従業員の基本情報管理、人事評価、人材配置など
次回からジャンルごとに詳しくご説明していきます。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『ダークサイド投資術 …』 猫組長 (菅原潮) 著
■『中野京子の西洋奇譚』 中野京子 著
■『捨てられる宗教 …』 島田裕巳 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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次号予告:
 第521話 『反知性主義集団』
 シリーズ『南国の史実』(5) (10月10日発行) 
 人間の生理的な欲求の中には学習欲求があるという説があります。学びを
必要としていない人や学ぶべき事柄を見つけられない人による組織について
考えてみます。長編シリーズ第五回目です。

(完)