451 注文の多い牛丼店

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経営コラム SOLID AS FAITH 第451号
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 ご愛読ありがとうございます。第451話をお届けします。

 先月末日、無事に19周年記念特別号を発行することができました。通常号
とは取り扱い分野が随分異なる内容でしたが、情報の質量ともに充実したも
のを届けることができて安堵しております。

 2020年のオリンピック終了後には再び不景気の大波が押し寄せるとの比較
的確度の高い予想があります。消費マインドの急減によって売上が大きく落
ち込み、人件費は人手不足や各種の法制化によって高騰する可能性がありま
す。現時点で少しでも多くの利益を生み出せる体制を社内に創り上げておく
には、大幅な生産改善はもとより、事業構成の見直しまで視野に入れる必要
があることでしょう。前回の第450話『メタ憂慮』でも描いたMA技術などを
含む多くの先端技術は、徐々に中小零細企業にも手の届くものとなりつつあ
ります。

 弊社のクライアントでも、来店客のDB構築や社内事務作業の簡便化、集客
面におけるウェブ活用の高度化など、ICT技術が大きく利益体質の実現に寄
与したケースが近年目立ちます。今後、中小零細企業でも本格化せざるを得
ないICT技術の活用を前に、社内インフラとしての情報セキュリティが最低
限行き届いた体制の構築が必要となるものと考えられます。その一助に今回
の19周年記念特別号がなれれば良いものと思っています。

 上述のような先端技術活用に関わる事柄と並んで、今回の号も珍しく、従
来取り上げることとがほとんどなかったテーマである労働力としての外国人
活用の現場について考えてみた内容です。これからさらにより一層の外国人
労働力が日本で必要とされるという予測がありますが、諸外国の事例をみる
と、経済から好況が去れば、外国人労働者も去ります。中長期的には、自動
運転車やドローンなども含む広義のRPA技術群や、AIの音声認識システムな
どによる省力化が急激に進み、労働力不足を補っていくのではないかと弊社
では考えています。
 
 そんな日本の現在の外国人労働者活用の身近な現場について取り上げてみ
ました。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返
事の目標納期は5営業日!!

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その451:注文の多い牛丼店

 住宅街のど真ん中にある訪問先企業から出て、真夏の太陽がじりじりと照
り付ける緩い坂道を上ると茗荷谷の駅が唐突に現れた。「そうだ。昼時だっ
た。時間もないし」と牛丼屋に入ってカウンタ席に腰掛けた。横に長いカウ
ンタ越しに横長の厨房スペースが丸見えになっている。見れば店員は外国人
ばかり。メニューを置いた私が目を上げると、「早く何か言え」とばかりに、
ごく間近から私の顔を濃い肌の色の外国人が見つめている。

 彼の後ろに、「先に行ったやつ」と書かれたプレートの下にテイクアウト
用らしき包材の一部が積んであることに気づいた。よく見ると意味不明なも
のを含めて各種の注意書きが厨房中に貼り付けられている。私の注文がきち
んと理解できたか否か不安を抱かせる店員の対応も忘れて、私はそれらの貼
り紙を読むことにした。

「弁当容器、ぎゅうぎゅうに補充するな」とあるのを読んだ時には笑いが込
み上げてきた。マニュアル通りかもしれないが、僅かな愛想もなく、仏頂面
でただテキパキと働く外国人達。すぐに私の注文のミニ牛丼を持ってきた。
半券を確認して何かを言ったが、よく聞き取れなかった。外国人店員が多い
と来店客からクレームが減少するという話を聞いたことがある。言いやすい
店員になら言うという客の心理は、共感しないが分からないではない。
 
 書店で平積みされていた『コンビニ外国人』という新書の帯には、日本が
実質先進国有数の外国人受入国になっていると書かれていた。移民は受入れ
ないが、留学生の受入れには熱心で、留学生のバイトにも非常に寛容な国、
日本。私が米国に留学した時には、キャンパス内で、家庭教師のような仕事
しかさせて貰えなかった。ぺらぺらとページをめくると、コンビニのバイト
は日本語と日本社会の両方の勉強になると、留学生達に概ね好評であると書
かれていた。寧ろ送り出す側の国の中の仕組みや受入れる側の日本の学校に、
暗部を抱えたビジネスが広がっていると書籍は指摘している。

 外国人だけで黙々と無言で働いていて日本語は上達するのか。決められた
シフト、限られたメニュー、貼り紙に書かれた調理とは懸け離れた作業群。
本にあったコンビニの仕事と異なり、この店で日本語や日本社会が理解でき
るようになるとは思えない。

「補充するな」と書かれて「補充」という漢字は知るだろう。ただ補充をし
てはいけない理由は説明されるのだろうか。仕事の背景や接遇の基本的考え
方はどこかで学ぶのだろうか。零細企業でもスキル・マップを使って人材育
成に取り組む時代。貼り紙の指示に従って毎日を過ごす外国人スタッフの超
機械的な接遇に対して、妙に寛容な気分になってしまう理由を考えてみたが、
奥深すぎて店を出ても分からなかった。

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次号予告:
 第452話 『脳内フローラ』 (11月25日発行) 
 本人の自覚の有無は兎も角として、稼ぐことや生きることに楽観的で楽し
げな人々が増えているように思います。マズローの欲求段階説の上位に辿り
着いたらしい人々の姿について考えてみました。

(完)