300 軽薄長大 =脱兎の心中= 300話発行記念特別号 第一弾

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経営コラム SOLID AS FAITH 第300話発行記念特別号 第一弾
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目次 
1 ご挨拶
2 300話 『軽薄長大』    =脱兎の心中(1)=
3 特別インタビュー 石田様 =忘季の兎狩(1)=
4 あとがき
5 次号予告
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☆注意:お読みになる際には、枚数がかさみ恐縮ながら、プリントアウトの上
お読みになることを、心よりお勧め申し上げます。
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1 ご挨拶

 御愛読御礼申し上げます。300話にとうとう到達しました。

 200話到達を果たしてから、あっと言う間であったように思います。300話に
当たって200話の時のように、何かの書籍をベースに連作を書こうかと考えま
したが、200話発行記念の『斜陽の樹影』で紹介したことは、その後、多くの
クライアントの社員の皆様の学習項目となって、長く弊社業務に浸透してしま
いました。それを超えるような体系的な気付きに至る書籍も見つからないまま、
約4年の歳月が過ぎました。
 
 世の中ではソーシャル・マーケティングが持て囃され、弊社でもソリアズの
ブログ化から一歩踏み出して、『脱兎見!東京キネマ』を掲示してきましたが、
ソリアズの各号同様に固定したファンの方々を獲得していることに気がつきま
した。そこで、読み込んで下さっている読者の皆様から尋ねられる『脱兎見!
東京キネマ』についての疑問に答える形で、ソリアズ5話を構成してみること
と致しました。
 
 弊社では、弊社のサービスをターゲットとなる中小零細企業のオーナー経営
者の方々にベネフィットが発生するように組み上げています。297話から299話
に至る『お友達未満』のシリーズで描いた無駄や不都合の回避を意識したブロ
グ運営であるので、ファンの方々からお寄せ戴く代表的な5つの質問には、弊
社の経営方針に照らして合理性のある回答を用意しているつもりです。第一回
目のご質問は…

「『脱兎見!東京キネマ』は、ブログなのになぜこんなに長いのか」。

 弊社MSIグループのソーシャル系情報発信の舞台裏を是非御一緒に一時お
楽しみ戴けましたら幸いです。『脱兎見!東京キネマ』読者の方々のインタ
ビューまでセットしたサービス号ですが、最後までどうぞお付き合い下さい。

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2 その300:軽薄長大 =脱兎の心中(1)=

「うわーっと、データサイズと送信者を見ただけで思うんですよ。昼休みとか、
軽くメールチェックしたつもりが、殆ど地雷状態ですよ。市川さんからのメー
ルは。おまけに内容が重いじゃないですか。で、論点がきちんと固められてい
るから、ずっしり来るんですよ」。
 クライアント企業との打ち合わせで、苦笑しながら営業部長が言う。長いお
付き合いを戴いている。打ち合わせ用に一昨日打ったメールは、標準フォント
のワードに貼り付けると4ページ少々。「では、どこを省略しましょう」と言
う私からの問いは遥か昔に投げかけられている。「何かの試練だと思うことに
しますから、今のままでいいです」が応えだった。

 私は打ち合わせの場で現状分析や提案を語る時、同じことを二度三度と繰り
返して言うことがある。その場で見込み客企業担当者が「市川さん、仰りたい
ことは分かりますから、強調しなくて良いですよ」と言えば成約の見込み薄の
サイン。その場で既存クライアントの担当者が同じことを言えば、その担当者
の退職マーカー値アップ。

 コミックの『エンゼルバンク』には、社内の伝言ゲームが上手く行っている
会社は必ず儲かると説明されている。私の頭の中にある架空のモデル企業組織
は、伝言ゲームの価値を侮り、指示の意図や情報の意味を組織の隅々に浸透さ
せようと努力はしない。私は見込み客法人の担当者にもその想定で臨み、自分
の主旨を念入りに伝える。相手に自分の考えの復唱を促すような場面さえ稀に
ある。その意図が分からないか、そのような必要がない会社は、コミュニケー
ション企画請負業のサービスを求めていなくても不思議ない。伝言ゲームが未
熟な既存クライアント企業で担当者が私の意図の確認を厭うなら、担当者自身
がその組織の現況に辟易している可能性は高い。

 考え方は見ることも触ることもできない。物理的に手渡すこともできない。
含蓄多く簡潔にまとめた名文は、その解釈が読み手の能力や知識経験に大きく
左右される。既存クライアントの人々に対して、私が自分の考えを述べるメー
ルは大抵長大で、それに曝されているうちに、私の使う言葉や考え方が、先方
の組織に徐々に浸透し、「数人に一人の確率で“市川化”が発生する」と仰る
クライアント企業幹部もいる。

「『脱兎見!東京キネマ』見ましたよ。私も見たんで、あの映画。書いてある
ことは大方私も思ったことですね。ただ、あの文章、物凄い量ですよね。読み
こなすのが大変です。あれはもう、ブログじゃないですよね。同じブログに収
まっているソリアズは、本文だけならかなり短めですが、あちらは難解で、何
度も読み返す羽目になるので、別の意味でブログとは思えませんよ」などと、
クライアント先でブログの感想を聞かされる。

「長い文章は書き物が下手な証拠と『文章読本』などにも書かれていますから、
ソリアズのようなのも書けはするんですと、見せておかなきゃならないじゃな
いですか」。
 私はそう笑って応じるが常である。

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3 特別インタビュー 石田様 =忘季の兎狩(1)=

 皆様、初めまして。この度、有難くも300話発行記念特別号の特集記事を担
当させて戴くこととなりました山口佳織と申します。
 
 私は今年の新卒で入社した中小物流企業を5月に退職後、中小零細企業に向
けたITとマーケティングの支援を行なう個人事業主として独立し、市川の下、
鞄持ち修行をしておりました。
 
 今回は同行期間中に『脱兎見!東京キネマ』読者から任意で選ばせて戴きま
した5名の方に対し、『脱兎見!東京キネマ』の面白さについてインタビュー
をさせていただき、それぞれの楽しみ方を紐解いてみました。拙い文章ではあ
りますが、ご笑覧戴ければ幸いです。

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トイズハート株式会社 石田貴之常務

 今回インタビューさせていただいたトイズハート株式会社の石田常務は、前
職場のIT系企業で市川と知り合い、2010年にトイズハート株式会社(当時の
株式会社全協販)を買収し、同社の経営全般を担っていらっしゃいます。石田
常務と初めてお会いしたのは私が市川の鞄持ちとして同行し始めてから2日目
のことで、当日の急な依頼にも関わらずインタビューに応じていただきまし
た。

『脱兎見!東京キネマ』の読者ということは映画をかなり観られるのだろうと
思い伺ってみると、「最近は、映画はほとんど観ませんね。そもそも、ただの
映画評なら『脱兎見!…』は読みませんし、記事の内容もほとんど覚えていな
いですね」という意外な答えが返ってきました。そこには、何か別の理由があ
りそうです。

「ソリアズは届いた時に一度メールを開いてみて、すぐに理解できそうな内容
であればそのまま読むし、時間がかかりそうだと思ったら未読に戻して改めて
時間が取れそうなときにじっくり読み込む。それと比べて、『脱兎見!…』は
素直な文章で読みやすいですね。周囲の人に勧める場合、読み物としてならば
ソリアズを先に紹介しますけど、いずれにしても市川さん本人を知ってから読
まないと、楽しさがないように思います」

 石田常務は市川が書いているからこそ『脱兎見!…』を読み、文章から市川
らしさや市川の考え方を再確認すると仰います。インタビューの後、市川に石
田常務と『脱兎見!…』について話題に挙がるのはどういった時か尋ねたとこ
ろ、石田常務の中の市川像とソリアズ・『脱兎見!…』から感じた市川像が一
致しないと感じたときに話題に出ることが多いとのことでした。
 
 ソリアズ・『脱兎見!…』は、今後も市川がどのような人物であるかを測る、
ある種の使い捨て可能な試金石として用いられ続けることでしょう。

<インタビューを終えて>
 石田常務にとっての『脱兎見!…』は、市川という商売上の重要人物を研究
するための教材のようです。市川をそこまでの重要人物と位置づける理由は、
自社の社員に勉強会を通じて考え方を浸透させる役割を担う人物の思考を知る
必要があるからだと思います。しかし、初めて私が石田常務とお会いした際に
「市川さんが賛同してくれなかったら、今の仕事に踏み切れなかったかもしれ
ません」と仰っていた言葉からは、単なるクライアントと“請負業者”以上の
関係性を感じざるを得ないのでした。

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4 あとがき

 それまで『シゴタノ!』様のサイト上に間借りしているだけだったブログ版
ソリアズを自社ブログでもアップしようと思い立ったのには、文章そのものの
価値を認めて下さって掲示して下さっている『シゴタノ!』様ではPR欄や予
告編の記録が残せないからなどの理由からでした。

 英文留学体験記の『 My Life in Klamath Falls 』も留学中には「本にした
ほうが良い」と言われた可笑しな話ばかりですが、長らく日の目を見ないまま
に保管されていました。これをソリアズのアーカイブとセットにしようとする
と、どうしても自社ブログが必要になります。これが弊社ブログの
『 MSI-TALES 』が生まれた理由です。

『 My Life in Klamath Falls 』は既に書き上がっているもので、新作がアッ
プされる訳ではありません。更新の魅力のない英文の敷居の高さに、ソリアズ
の含蓄が加わると、どうも気軽に開いて読む気を削ぎます。そこで、前回まで
のシリーズ『お友達未満』と今回のシリーズ『脱兎の心中』全話でまとめた内
容を考え巡らせた末に、『脱兎見!東京キネマ』は開始されました。

 今では140タイトルを越える内容となり、メールマガジンの受信から弊社ブ
ログでのご愛読に徐々にソリアズの読者の軸足が移行するに連れて、トップペ
ージに折々紹介される新エントリーで『脱兎見!東京キネマ』も読者の方々を
獲得して行ったのだと思っています。

 ソリアズがコンパクトであるなら、『脱兎見!東京キネマ』は長大。ソリア
ズのネタが現実世界であるなら、『脱兎見!東京キネマ』は銀幕の虚構のみ。
ソリアズが旬ネタなどお構いなしなら、『脱兎見!東京キネマ』は上映期間の
みの新鮮ネタばかり。ソリアズは起承転結の枠の中にあるのに、『脱兎見!東
京キネマ』は多層構造。他にも多様な軸で二つのブログカテゴリーは対極に位
置します。だからこそ、対比も相互引用も成立し易くなるのではないかと思っ
ています。

 今後とも『脱兎見!東京キネマ』をソリアズ共々末永くご愛読賜れれば幸い
です。

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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け13年。
そしてとうとう300話到達!

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5 次号予告
 シリーズ『脱兎の心中』の第二弾は、読者の皆様の「『脱兎見!東京キネマ』
はテーマとして、なぜ映画だけを選んだのか」と言う疑問にお答えする号です。
ご期待下さい。

(完)