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経営コラム SOLID AS FAITH 第10号
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第10号をお届けします。
第7号発行以来、再び緩やかに増え始めた読者の方の数は、ほぼ1150にな
りました。そして、みなさまがお読みの今この瞬間にも、その数字は逓増して
いることでしょう。読者の方には、SOLID AS FAITH にご関心を賜り、大変感
謝しております。
以前からの読者の方はご存知と思いますが、「人」とその「姿勢」が中心の
中小企業経営論を、身近な視点や私の想い出話から考えてみるだけの短い文章
ですので、お気軽にお読みいただくと同時に、何かのお話のネタや参考にして
いただくことがあれば幸いと存じます。
今号は、最近よく尋ねられる雑用の意義について、私のいつもの答えをまと
めてみました。ご感想はいつでも歓迎ですので、どうぞご遠慮なくお寄せ下さ
い。
それでは、今後とも、SOLID AS FAITH にご愛読を賜りますようお願い申し
上げます。
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その10:雑用に勤しむ社員
「おい。コピー何部とった?俺は、5部だって言ったよな。オリジを入れて6
部しかないぞ」「はい。だから、コピーを5部…」「馬鹿野郎。おまえの分は
どうした。俺はおまえが読んでもいいと思って任したんだぞ。何で、自分もコ
ピーとって読まないんだ。おまえは、自分の職場で何が起きてるのか知りたく
ないのか!」
高卒で勤めていた大手企業の職場で、係長は私を怒鳴りつけた。大手企業と
は言っても、田舎の小さな事業所。たった16人の職場に6年ぶりに入った新卒
社員の私は、基本的に「お茶汲み」、「コピー取り」ばかりやっていた。徒弟
制度そのままの技術屋の職場で、この係長だけは、私に雑用を言いつけては、
因縁をつけてきた。
「おい。山さんは何の書類書いてた?今、お茶置いてきたんだろう?なんで、
そんなことが分かんないんだ」お茶をいれていて、こう怒鳴られたこともある。
何をしても、一筋縄ではいかない質問が待っていた。私はこの係長が苦手だっ
た。
入社後半年、機械保守の夜勤に入ることになった。日勤の社員が帰った後は
自分一人の職場。機械相手に音楽などかけて仕事をしていると、帰ったはずの
係長が半酩酊で戻ってくる。「おまえに宿題を出す。日勤に戻るまでに、先輩
の机を全部開けて、中の図面やマニュアルの場所の一覧を作れ!それを覚え
ろ!いいか、テストするからな」
仕方なく、私は本来の仕事の傍ら夜通し職場の机を開け、引出しごとの書類
の一覧を作った。作業は半年間続いて、日勤に戻った。「おい。今度やる工事
の適任者は誰だ。言ってみろ!」「はい。川田さんだと思います。図面に書き
込みが多かったです」「ふん、そうか。じゃ、川田君に任そう。おまえは荷物
持ちをやれ」テストには辛うじて合格したようだ。程なく係長はどこかの職場
に栄転し、その後音信は途絶えた。
「雑用ばかりやらされて、自分がこの職場で得るものも無ければ、尊敬できる
者もいない」こんなことを言って、不況の中、入社したての職場を去る若者が
激増しているという。私も、時たまそんな相談にのるが、今は感謝してもしき
れない「親にも胸を張れるような」雑用を命じてくれた係長の話を、必ず聞か
せることにしている。
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発行 MSIグループ
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次号予告:「ありがたい」もの(3月25日発行)
福利厚生らしきことをフィットネスクラブで考えてみました。ご期待下さい。