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経営コラム SOLID AS FAITH 第625号
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ご愛読ありがとうございます。第625話をお届けします。
2月になりました。前号のご挨拶でも「新年に入って、またも大きく政局
が動いています。」と書いたばかりですが、衆議院選を経てさらに再び政局
が大きな節目を超えたように思えます。為替レートの問題もあれば、人手不
足の問題など、現政権の施策が概ね軌道に乗っても、大きな解決が望めなさ
そうな分野は幾つも見受けられますが、それでも昨年前半までの10年以上に
及ぶ混乱と停滞・閉塞の経営環境は相応に改善されるのではないかと思えま
す。
逆差別や不公平を生み出すばかりだった各種の「弱者救済策」も世界的に
見直されつつあるように見えます。西欧では多くの国々で同性愛が犯罪と見
做されなくなってからまだ100年も経っていません。元々イスラム教徒など
の特定宗教の教えでも同性愛は犯罪ですから、そのような国から見れば、西
欧の急激な変化とその揺り戻しの奇妙さはお笑い種であることでしょう。
そうした中で、日本は本来性的な事柄に対して寛容な風土を持っていまし
たが、その強みを無闇矢鱈に西欧に追随して失いかけてしまい残念です。し
かしながら、ここ最近の主要先進国の保守化による、右へ左への馬鹿げた制
度変更による経営環境の激変は、国内では辛うじて回避できているように思
えます。
国内では先日ここ数年業界全体で市場を構成しつつあった退職代行の主要
会社が刑事告発されました。会社を辞める意志を当事者が伝えられない事情
とはどんなものであるのか、ずっと疑問に思ってきましたが、今回の事件報
道の中で、その実態のお粗末さが広く知られるようになったと思えました。
現政権は労働行政や労働管理のあり方を根本から見直す想定でいるとよく聞
きます。いろいろと中小零細企業の雇用環境にも変化が訪れそうです。
今回の号は『R64号の発明』です。『R62号の発明』は安部公房の傑作短編
です。当コラムの第480話『R63号の発明』では、『R62号の発明』の内容を
モチーフに働き手の動機づけと効率化実現について考えてみました。そして
今回はその続きです。本来『続・R63号の発明』となるはずのタイトルです
が、初めての試みで『続・』を採用せずに続編を書いてみることとしました。
第480話『R63号の発明』ともども、そして宜しければ、オリジナルの短編小
説『R62号の発明』も合わせてお読みになってください。ご意見・ご感想を
お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業
日!!
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■短編小説『R62号の発明』 安部公房 著 https://amzn.to/3LXbnKl
■第480話『R63号の発明』 http://tales.msi-group.org/?p=1777
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その625:R64号の発明
東京から大分離れた場所にいて、親戚縁者も界隈にあまりいない叔母がガ
ンの末期だと分かったので、面倒を看るために退職したいと、入社3年目の
若手社員が言ってきた。或るクライアント企業での話。その退職から2ヶ月
経って、相応に繁忙期が続いたはずなのに、それほどそう残業時間も増えて
いず、10人余りの社員の様子はあまり変わっていない。
「久々の退職者なので、もっとわちゃわちゃするかと思っていましたが、そ
うでもなかったですね。残業も全然増えていませんし。仕事の割り振りをい
ろいろ社員間で工夫したようですが、敢えて言うなら、その程度の影響で済
みました。まあ、時間があれば、ある時間を埋め、時間が足りないとそれに
合わせてそれなりに仕事を片付けるのでしょう」。
社長が私に説明した。単純に人数割で計算したなら、労働時間キャパは7、
8%はダウンしている。何かの作業を棚上げしてしまっている様子もなく、何
か効果の高い生産性改善策を導入した訳でもない。そういう状況だと無意識
に社員が悟ったということだろう。
秘密組織「国際Rクラブ」は、人間の脳を改造して合理的・効率的に働く
ロボットの製造している。R62号は自ら働くのではなく、人間の作業能力を
最大限に引き出す装置を作り出した。その装置の作業が遅れると作業者の指
が切断される。安部公房の『R62号の発明』。第480話の『R63号の発明』で、
多分国際クラブは存続していて最新型のR63号が勤務時間を制限し余暇を増
やし、人間が自ら自己研鑽をするように期待したと私は書いた。
労働時間を総量で規制したら、通常業務の維持が精一杯になって、自己研
鑽は自己責任で余暇時間に行なうものになった。もう会社が研修のお膳立て
などしない。しかし、ぐうたらな人間は余暇が増えても自分に投資したりし
ないので、R63号の計画も水泡に帰した。
或る種の活魚、例えば鰻の稚魚や河豚などは、水槽に入れて輸送すると環
境の変化でばたばたと死んでしまうという。水の温度や酸素濃度、空間の明
るさや揺れなどをいろいろと調整しても改善しない。しかし、或る簡単でロ
ーコストな方法で活魚は殆ど死ななくなった。それは水槽に1尾の天敵を入
れること。ウナギの稚魚の水槽にはナマズを、河豚の水槽にはカワハギを入
れると、喰われまいとする緊張が命を長らえるという話を、異なる人々から
異なる経緯で異なる種類の活魚について何度も聞いたことがある。
私はこの話を謎解きのように社長に伝え、「どうしたら、ローコストで生
存率を上げられると思います?」と尋ねた。答えに窮した社長に満腹な天敵
を1尾入れると告げると、「緊張を作り上げるってことか!」と膝を打ち、
「ちょっとだけウチに似てますね」と言った。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
MSIグループ 市川正人
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次号予告:
第626話 『聖戦の傭兵』 (2月25日発行)
家電量販店が公正取引委員会から勧告を受けたと報じられていました。業
界全体で見ると過去に何度もこうした勧告や是正命令を受けています。同様
に下請業者に対する元請会社の不当な扱いも後を絶ちません。その構図を考
えてみました。
(完)