480 R63号の発明

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経営コラム SOLID AS FAITH 第480号
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 ご愛読ありがとうございます。第480話をお届けします。

 弊社で毎年1月にお世話になった皆様にお届けしている寒中見舞いも、漸
く全体の7割以上が発信されました。今年は「コスパが悪くなる雇用」につ
いて考えてみるもので、説明文の中に「雇用は“無理ゲー化”しつつある」
と書きました。この表現はかなり的を射たものであったようで、寒中見舞い
を受け取った方々から口々に「“無理ゲー”の対策かぁ」などと話題に出し
ていただけます。

 昨年の当メルマガ20周年記念特別号で告知いたしましたプレゼント企画
『生き残る中小零細組織の鉄則』も漸く発送が終了しました。一般に言われ
る経営常識とは一線を画した内容で、ご好評を戴いている様子です。本年も
中小零細企業の現実的で実践可能な組織改善・事業改善の企画をご要請に応
じてどんどん案出して参りますので、よろしくお願い申し上げます。
 
 今号は弊社代表の市川が高校時代に熱中した安部公房の短編の物語の紹介
を経て、現在の働き方改革の行方について考えてみた内容です。高校時代の
市川の安部公房熱は第200話『伸びる棒』でも描かれています。『R62号の発
明』は1953年に発表されましたが、その時点でロボットの労働と人間の生産
性改善がテーマに扱われていました。中小零細企業に先行して働き方改革の
各種施策が施行されて行く大手企業の職場で何が起きているかを注視するこ
とは、中小零細企業経営の未来予想の上で必須となりつつあります。

 そのような観点から、今号をお楽しみ戴ければ幸いです。ご意見・ご感想
お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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■第200話『伸びる棒』 http://tales.msi-group.org/?p=265
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その480:R63号の発明

 その失業した機械設計技師は自殺のために港に来たら、一人の学生に声を
掛けられ、「自分の死体」を売ることになった。死んでから死体を引き渡す
のではなく、生きているうちに契約先に行き、命を投げ出すことを指してい
る。契約相手の組織は国際Rクラブ。人間の脳を改造して合理的且つ効率的
に働くロボットの製造を行ないもう数十体の実績がある。
 
 政財界有力者などが集うクラブが今まで作って来たロボットは看護師や事
務員など。まだ日本でも人件費がやたらに安かった時代。クラブはロボット
が自ら働くステージから、ロボットが有り触れた労働力である人間をより効
率的に働かせるステージに移行した。機械設計技師はその新ステージの最初
のロボット「R62号」となって、人間の作業能力を最大限に引き出す装置の
設計製作を行なった。

 R62号の成果物の発表会。彼の居た機械製作所の社長を自動的に装置は包
み込み、勝手に起動した。横長の大きなキーボード上でランプが点灯したキ
ーを最大2.4秒以内に押さなければ、指が切断される。10本の指が切断され
てから起動されるはずの刃物が、7本の指を失って朦朧とし倒れ掛かった社
長を貫いて作業は終了した。ロボットが人間の能力を最大限に引き出そうと
したこの試みは、安部公房の『R62号の発明』という物語。

 働き方改革に大手企業が真面目に取り組んで、労働時間の削減を推し進め
たら、割を食ったのはスキル習熟の時間だった。新卒の入社者が多い大手企
業では、多くの仕事を経験しながら昇進していくのが定型パターン。その各
種スキルの習熟は長時間労働を前提とした、職場内のOJTやオフJTによって
成り立っていることが多い。

「もちろん、職場での教育訓練の時間が減少したとしても、その分、職場外
での研鑽の時間が増えればよい。(中略)しかし、その時間の増分は年間5時
間未満程度の人が圧倒的に多く、職場の教育訓練投資の減少分を補うほどで
はないことも分かった」。
『ウェッジ』の2019年10月号に載っている経済産業研究所が行なった調査結
果。中小零細企業では望むべくもない優秀な人々が集結している大手企業で
も、会社が研修のお膳立てを止めると、ほとんどの人々がぐうたらになって
自分の職業的価値を忘れるのだろう。

 遥か以前、廉価な労働力のコスパをさらに上げようとして、R62号は失敗
した。今度は労働力の価格が暴騰し、余暇時間を餌にコスパを引上げようと
して失敗したようだ。多分国際Rクラブは存続しているに違いない。時代の
要請に対応すべく作られたR63号は社会制度を作り替えたのだろう。けれど
も、死人の想定よりもずっと人間はぐうたらだったので、高学歴の大手社員
でさえ余暇ができたら遊び惚けるだけだった。

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次号予告:
 第481話 『公金蕩尽業』 (2月10日発行) 
 久々に廃業数が上向くことが予想されています。企業数を増やす努力も為
されています。その対策のあり方について客観的に考えてみました。

(完)