246 近道の判断 =思考の羽化=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第246号
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ご愛読ありがとうございます。第246話をお届けします。

 ゴールデン・ウィークが近づいて参りました。ここ数年恒例になっているの
が、ゴールデン・ウィーク前後に、人間ドックの一日コースに行くことです。
零細個人事業はカラダが資本ですので、単なる健康診断ではなく、人間ドック
に行くようにしてみました。商工会議所の会員割引価格が適用になり、一回の
割引額で、殆ど年会費を回収できることも動機の一つです。商工会議所から年
会費の請求書が来るたびに思い出して、人間ドックを申し込みます。

 前回から始まった四回シリーズ『思考の羽化』の第二弾をお届けします。今
回はネタ元となった『先を読む頭脳』を読んだ中で最も印象に残った「順算と
逆算」の考え方をテーマに取り上げてみました。お楽しみ戴けましたら幸いで
す。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想など
へのお返事の目標納期は5営業日!!
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その246:近道の判断 =思考の羽化(2)=

 太陽光発電のモジュールを一般家庭に、嘗て訪販で売り捲くったと言うクラ
イアント企業の役員が、私が手渡した図表をまじまじと見詰めて、既に数分経
っている。彼が見込み客を訪れた際の商談を録音して貰って聞いた。その内容
をテキストファイルに落としてもらったものをベースに、私は素人でもできる
ような質問による商談プロセスにまとめた。彼がウンウンと頷きながら目で追
っている文章は、見込み客が注文客に変わるように促す具体的な質問である。
 
「つまりさ。お客さんに、だったらやっぱり太陽光発電しなきゃって言う文章
を言わせようとするってことなんだなぁ。その言葉から逆算して、最初にどん
な声掛けをするかから設計するってことなんだな。これがSPINって奴なん
だろ。四段階じゃないから原理だけか。それでも現物を見るのは初めてだから
さ。俺とかは、注文を取ることだけを意識して、商談をきったはったでこなそ
うとするよね。こういう形にまとめられるのかぁ」。

 天才棋士羽生善治の思考方法が詳説された『先を読む頭脳』は、読み返して
も発見がある。二度目に読んで一番気になったのは、逆算と順算の対比。
 
 初級者は、或る局面を見ると駒の配置を確かめてどんな局面かをまず一旦理
解する。その上で「飛車や角をなりこむ」などの目標を設定してから指し手を
考える。それに対して、羽生氏を含む上級者は、或る局面を見た途端に、いき
なりどんな状況かが分かり、目標設定なしに何をすべきかの結論を出すと本は
説明する。初めての目的地に行くには、目的地と言う目標を決め、地図などを
見て、道順を逆算する。しかし、慣れた行き先なら、いや、行く先よりも用事
単位で、道順などを考えずにも、いきなりどの道を行くか判断できる。周囲の
どの地点に置かれても、その地点からの進む方向を順算できる。熟達者の思考
方法は改めて指摘されると深く頷くものが多い。
 
 午後の喫茶店で、今は低廉な相談料を支払う一クライアントになった元弟子
が、自分が作成したエクセルのプリントアウトを示して、勉強会の進行につい
ての自分の案を説明する。丁寧に作りこまれ、整然と並ぶタイムスケジュール。
各々の項目に自分の行なうことの説明と想定される相手の反応まで書き込まれ
ている。全体での到達点は明確で、それを勉強会の時間パーツごとにブレーク
ダウンして、積み重ねるように設計されている。

「うん。時間配分は自分に一番あっている感じならそれでいいから。ただ、前
回からの流れで今回の展開自体が、傍聴している社長から見て、基本的にまだ
るっこい感じであることは間違いないから、参加者が何かハッとしたり、わぁ
と沸くような場面が欲しいね」。
 いつもの通り、時間配分の分析を飛び越して、勉強会の場の空気を想像して
の助言を手抜きにはならない程度の詳しさで説明した。 
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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次号予告:
 第247話 『記憶の肌理』 =思考の羽化(3)= (5月10日発行) 
 天才棋士羽生善治の思考方法を最新科学で説明する本、『先を読む頭脳』の
読後感をまとめたシリーズ第三弾です。熟達者が、研究の時には実際の将棋版
と駒を使うのは、記憶を強固にするためとの説明を読んで、自分の日常を振り
返ってみました。

(完)