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経営コラム SOLID AS FAITH 第245号
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ご愛読ありがとうございます。第245話をお届けします。
今年の四分の一が過ぎ去ってしまいました。寒いのが苦手で、花粉症でもあ
るので、花粉が何となく収束した上での春の到来を非常に嬉しく思っておりま
す。
先日、弊社ブログのカテゴリー分類の項目をクリックしてもエラーになって、
当コラムのタイトル一覧が表示されない状態になってしまいました。原因が大
まかには分かっても修繕できないままになっていましたが、以前お取引戴いた
企業の石田執行役員・宮竹主任のご配慮・ご対応で、迅速な修繕をして戴きま
した。心より御礼申し上げます。現在は全く問題なく作動しております。
今回から四回のシリーズ『思考の羽化』をお届けします。このシリーズは、
天才棋士羽生善治の思考方法を説明した『先を読む頭脳』を読んだ感想から構
成されています。第一弾は『相対的巧手』と題して、慣れた戦術を使うと、良
くない手を打たないようにすることが大変であり、良い手と思われる手は寧ろ
少ないとの文脈から考えたことをまとめてみました。
クライアント企業との関係性を一つの将棋の試合に見立てて考える時、特定
の陣形で攻め続ける便利さと、その陣形を維持することのリスクの両方が見え
て来ることが多くあります。手馴れた手を自ら崩さねばならない局面について
考えてみました。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴し
たご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その245:相対的巧手 =思考の羽化(1)=
「なるほどねぇ。話のあちこちに学びがあるなぁ。差別化ってそんなことだっ
たのか」。
私の考える差別化について、一時間以上を掛けて説明したら、クライアントの
社長は感嘆した。感嘆ついでに、この話を部下にも聞かせたいと言い出した。
有償になりますよと言っても聞かないので、幹部二十名を集めた大会議室での
二時間のミニ講演に打って出ることとなった。全く同じ話で良いからすぐとの
ことで、本番は翌週となる。
差別化の私なりの考え方を自社のサイトにアップしている。ランチェスター
の戦略論にも触れず、単に今まで多くの経営者から聞いた差別化論を熟成して、
実践に供するものとした。今では何となく落語のように定番の話となっている。
当日はサイトのプリントアウトを人数分用意してもらい、宿題として事前にそ
れを読んできてもらうこととした。
大会議室に入ると、スクール形式に配置された机にびっしりと幹部達が並び、
見渡せば手には一様に自社サイトの背景色の書類を持っている。挨拶も早々に、
それでは資料の内容について分からないことを質問して戴きましょうと宣言し、
出方を見た。予想外の展開に面食らった社長をそのままに、質疑応答で一時間
以上を費やし、最後に資料全体の概要を大まかに流れに沿って説明した。
最近読んだ『先を読む頭脳』は、天才棋士羽生善治の思考方法を最新科学で
裏付けしつつ説明する本。その中で、羽生氏は「一つの局面である手を指すこ
とは、自分にとってマイナスになる可能性が高い」と述べ、「指さないですむ
ならば指さない方が良かったというマイナスの手の方が、実際には圧倒的に多
い」と説明する。自分のベストの陣形を作ると、後はどの手を指しても、陣形
を崩すことにしかならず、ゲームが進むにつれて動かさない方が良い駒がどん
どん増えると言う。
終了後、社長室に引き込まれた。満足度だけの評価なら結果オーライだった
ものの、社長には物足りないおかしな展開の理由を糺された。
「以前、社長に話した差別化の話は、経営者をターゲットとして構成されてい
るんですよ。多くの社長の方々に面白いと思って戴けるのはそのためです。一
般に幹部の意識は低く、御社では二十人も集めたので、可能性だけを言えば、
玉石混交であると想定するのが無難です。バラバラで全般には低いと思われる
レベルに、前もって合わせることができないので、先に向こうから攻めて貰う
ことにしたんですよ。経営観の乏しい人には乏しい人向けの対応も一応あるに
はある訳ですから」と私は笑って言った。
有難いことに独立して十年近く経って、考え方やら見たてやらネタ話やら、
色々と蓄積されてきた。マイナスを生まないために、遮二無二用意してきたそ
れらが、誰に向け何を目的として成立したのかを精査し、場合によっては使わ
ない判断の必要が時々発生する。
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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次号予告:
第246話 『近道の判断』 =思考の羽化(2)= (4月25日発行)
天才棋士羽生善治の思考方法を最新科学で説明する本、『先を読む頭脳』の
読後感をまとめたシリーズ第二弾は、順算と逆算と言われる考え方について取
り上げてみたものです。初心者は駒の配置から局面の状況を考える。それに対
して上級者は局面を見た瞬間に打つべき手が浮かぶ。大きな発見でした。
(完)