536 ネゴシアビリティ

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経営コラム SOLID AS FAITH 第536号
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 ご愛読ありがとうございます。第536話をお届けします。

 暖かい日々が増えてきたと思っていたら梅雨の到来です。如何お過ごしで
しょうか。ニュースを見ていると、行方不明者の捜索は未だに継続し、船体
は引き揚げ作業が進み、事故から一ヶ月を経て杜撰な経営という最悪の人災
による知床の海難事故はおさまりが見えて来ません。

 米国ではそれほどの認知度でもありませんが日本では経営の神様扱いのド
ラッカーは、第436話『次世代タンス預金』でも言及されていますが、往年
ダイエーの中内功と文通していたことが知られています。その往復書簡が分
厚い書籍にもなっています。無残に沈みゆく巨艦企業の報を聞き、その経営
者と密に文通していた経営の神様は反省とか後悔とか忸怩たる思いなどを抱
くのでしょうか。
 
 先日、雑誌を読んでいたら関東圏の中小企業向け某有名経営コンサルタン
トが、杜撰な遊覧船会社の経営者を指導していたとの記事を発見しました。
事故に対する法的な責任関係は成立しえないことと思いますが、そのコンサ
ルタントはどうも事故を防ぐことができた立場にいたようにその記事には書
かれています。いつまで経っても日本が「二週間前のニューヨーク」に変貌
することなく、通称武漢ウイルスはジワリと勢いを失ってきています。「二
週間前のナンチャラ」と一所懸命喧伝していた高学歴・高権威性の方々はど
のように思っているのか誰も追加インタビュー番組などを企画しないこの国
で、ドラッカーも某経営コンサルタントも何らの想いも抱く必要がないのか
もしれません。
 
 今回の号は『ネゴシアビリティ』と題して、所謂“業者さん”選定の条件
のようなものに考えを巡らせてみた内容です。ご一読の上、会社の日常の中
で適切な機を捉えて、“It’s negotiable.”(「それは交渉可能だよ」)な
どとサラッと仰ってみては如何でしょうか。ちょっと賢そうに見えるかもし
れません。(変な奴、嫌な奴、出羽守と評価される結果になっても責任は取
りかねます。)ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想など
へのお返事の目標納期は5営業日!!

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■第436話『次世代タンス預金』 http://tales.msi-group.org/?p=1222
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その536:ネゴシアビリティ

「ずっと先代から付き合いが続いている社労士さんが結構いい歳で。まあ、
社労士さんとして当たり前のことをただやってくれているという感じなんで
すよ。この前、異業種交流会に行ったら若いやり手の社労士さんに会って、
報酬も安いのに色々なことを相談できるという話なんです。今の社労士さん
はウチの業界のこともうちの会社のこともよく知っているんで、そういう点
も含めて、こういう時はどちらが良いんでしょうね」
 月一でお邪魔するクライアント企業の社長が私の顔を見て話し始めた。社
長には賃金体系と就業規則を見直すべきだとの認識が以前からある。

「そうですね。社長が期待していることをできる能力があるかという問題は
ありますが、仮にそれがあるのだとしても、私も含めた“業者さん”選定の
絶対条件は、私は交渉できる余地があるかということだと思っているんです。
こっちの都合や考えにお構いなく先方の思うままの結果にしかならないのな
ら、それは結局奴隷ということでしょう」。
 私はニコニコ笑顔で答えているのに、社長の表情は一段と曇って行った。
 
 古い慣習ばかりに通暁した業界特化型コンサルタント、成果がよく分から
ないコーチングのコーチ、考えてみると企業側の都合などお構いなしに報酬
を貰い続けている“業者さん”は、それなりに簡単に見つかる。浪花節に弱
いオーナー経営者の中小零細企業だけの話ではない。大手企業や大手金融機
関でさえ、法的規制が実現するまで自分達ではどうすることもできずにブラ
ック・ジャーナリズムに大金を払い続けていた。
 
「あなたの知り合いが毎月決まった日にあなたの所に来て、あなたの見てい
る前で勝手にあなたの財布から欲しいだけ金を抜き取っていくとします。何
故かあなたはそれを止めることをしません。そんな状態であなたはお金を貯
めたりできると思いますか。そんな風にお金をあなたから巻き上げ続けてい
る存在。それは国です」。
 第493話『町内会活動』でも言及した橘玲が著書で主張している趣旨。国
家の手先の企業が源泉徴収をする仕組みから逃れられないサラリーマンは人
生のダークサイドを歩くことになると述べていた。確かに税金額を自分で決
めるには独立するのが順当だ。

 米国オレゴン州の田舎町に留学していた頃、アドバイザーと場末のレスト
ランに行った。話が長くなりそうで、閉店時間を過ぎても少々いて良いかと
オーナー店長に尋ねたら、“Yeah. It’s negotiable.”という答えが返っ
てきた。「交渉可能である」という表現を日本ではあまり聞かない。「少し
だけなら」とか「その時の状況による」ぐらいが普通だろう。商売をしてい
て「Win-Winの関係で」とか「対等なパートナーとして」という表現はよく
聞く。しかし自らダークサイドの立場を選んでいる経営者でさえ相応に散見
される。

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■第493話『町内会活動』 http://tales.msi-group.org/?p=1931
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
クライアントが主催するセミナーの企画立てから集客支援、
講師との交渉支援をご依頼いただきました。

クライアントにとって初めてのオンラインセミナーだったので、
興味をもつであろうターゲットへの適切なアプローチ方法の案出から
入念な事前リハーサルまで行ない、
大変ご好評いただく結果となりました。

具体的にお聞きになりたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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『萬屋のもっと深く愛してい』第33回「記録メディア(USBメモリ)」

今までさまざまな記録メディアを紹介してきましたが、今回はフラッシュメ
モリという小型の保存媒体の一つである「USBメモリ」について紹介します。
「フラッシュドライブ」「USBフラッシュメモリ」など様々な呼び方があり
ますが、ここでは「USBメモリ」と呼ぶことにします。

「USBメモリ」は、パソコンにUSB端子が標準的に搭載されるようになったこ
とから、環境を選ばずに手軽にデータを持ち運べる外部ストレージとして
2000年代から普及し始めました。

USBメモリの登場までは、デスクトップ型パソコンの携帯可能な外部記憶装
置としてCD-ROMが身近でしたが、USBメモリは光ディスクよりも高速でコン
パクトにできる上、低価格化・大容量化に伴い、急速に普及していきました。
複数のパソコンを利用している場合のファイルの移動や作業中のファイルの
持ち歩き、受け渡しといった用途に向いています。

USBメモリの容量は8GBや16GB等小さめのものから、128GBや256GBの大容量ま
でさまざまあります。テキストファイル等の軽いデータなら8GBのデータ容
量でも十分です。写真の保存なら32GBや64GB程度の容量があると安心です。
動画などのさらに大きいデータ容量のものをたくさん保存したい場合は、
128GBや256GBのものがおすすめです。もちろん、USBメモリの容量が大きく
てもUSBメモリ本体の大きさは変わりません。

また、USBメモリの使われている規格によって転送速度が異なります。USBの
規格には主にUSB2.0、USB3.0、USB3.1があり、数字が大きいほどデータ転送
が速くなります。転送速度が速いほど価格が高くなる傾向がありますが、そ
の分、扱うデータ量が多い場合でもストレスなく使用することが可能です。

USBメモリは持ち運びやすい分、情報漏洩のリスクも高くなってしまいます。
セキュリティ機能として、登録していないパソコンやスマートフォン、タブ
レットで使おうとするとパスワードの入力を求めるものや、データを自動的
に暗号化して保存するもの、指紋認証機能がついたものもあります。セキュ
リティ機能がついている分、割高になってしまいますが、情報漏洩リスクの
可能性をなくすためにはむしろ安いかもしれません。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『無意識がわかれば人生が変わる…』 前野隆司・由佐美加子 共著
■『山口組分裂と国際金融…』 猫組長・渡邉哲也 共著
■『まちづくり幻想 地域再生はなぜこれほど失敗するのか』 木下斉 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第537話 『人質の解放』 (6月10日発行) 
 過去にもシリーズ『愉悦のフライト』など航空機や航空会社に関わる話が
いくつも登場していますが、今回は或る航空会社のホスピタリティの示し方
について考えてみました。

(完)