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経営コラム SOLID AS FAITH 第183号
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ご愛読ありがとうございます。第183話をお届けします。
東京でも秋の訪れを感じるようになりました。前号でも書いた最近お気に入
りのルパートの服は、季節外れになってきて、慌てて秋用のものを何点か買い
込んでおります。皆様、如何お過ごしでしょうか。
長い読者の方は既にご存知の通り、10月末に、当コラムは毎周年の特別記
念号を発行致します。今年は8周年特別記念号です。例年とは異なり、文章作
成を私が行なうことなく、おまけに寄稿文章をお願いすることも一切なく、異
例の展開を計画し、準備を進めております。ご期待下さい。
さて、前号から続く二回シリーズ『出前芝居』。今回は、『眼前の台本』と
題して、社員が零細企業組織の中で求められる役割のあり方について考えてみ
たものです。きっかけは、或るクライアント企業の社長からの、コーチングに
対する唐突な質問です。
私はコーチングに特に詳しいわけではありません。それが役に立つ分野もあ
れば、それで救われる人々も居ると思う一方で、中小零細企業においては、余
りよい評判や成果を聞かないのもまた事実です。その理由を私なりに想像して
みた結果をまとめたのが今回の号です。お楽しみ戴けましたら幸いです。本文
に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返
事の目標納期は5営業日!!
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その183:眼前の台本 =出前芝居(2)=
小学生の頃に結核に罹り、微熱に浮かされながら、強い薬を飲み続けて長い
期間を過ごした。もともと活発な子供ではなかったが、その頃の運動禁止も影
響し、運動は今尚全般に苦手である。一応の読書好きで、中学校で部活を考え
ねばならないとき、国語の先生の勧めで、演劇部に入ることとなった。照明、
小道具、音響、衣装と、裏方を何度かやった後、一番面白かったのは、演出助
手だった。
映画では監督の役割が演劇では演出。演出は教師と上級生が組み合わせでや
っていた。演出助手はその下で、演出の考えを総て記録理解し、劇全体の流れ
を把握しなければ務まらない。練習のかなり早い段階で、台本も全員分覚えて
しまい、練習を誰かが休んでも、代役が務まるぐらいに習熟する。その役者の
癖を見続け、そこへの演出の指示を記録・記憶しているから、できて当然であ
る。その場で期待される役割を意識するようになった。頭の中に自分を監視す
るもう一人の自分が形成されたのもその頃だと思う。
「それじゃあ、市川さんから一言」。
勉強会の終盤で、参加者がその日の流れ全体に対して、コメントを促す。はい
はいと立ち上がって、即興で話を進める。
昔から人前で話すのが苦にならないような性格でしたかと尋ねる人がいる。
こんな風な仕事のあり方になったのは、人生の中でも直近の10年に満たない。
会社でスクール形式の会議室に行くと必ず、机に向かって神妙に話を聞く側だ
った。性格検査も内向的を超えて、非社会的と出ることもある。それでも、毎
日の仕事がなんとか務まるのは、数年間の部活演劇経験の賜物であろうと思っ
ている。
「コーチングを社員に受けさせると早晩辞めてしまうと言うのは本当かな」
或る社長が、ぶっきらぼうに私に尋ねる。
「さあ、私も詳しくは知りませんが、コーチングは自分の中に答えを見出すと
聞きます。社長もそんな理解ですか。ただ、中小のオーナー企業の“本当にで
きる奴”の第一要件は、オーナー社長から求められる役割を演じきれることで
す。中小零細企業ではオーナー社長は、日々周りに居る訳ですよね。その社長
から鼻先に突きつけられた台本にさえ気付けないようなのは、役者失格です。
そんな大根役者ばかりの会社があったとして、その大根役者が、目の前の台本
ではなくて、自分の中にある台本を使ってアドリブを始めたら、芝居がもたな
くて、舞台から引き摺り下ろされるのは当然かもしれません」
私は遠い日を思い出しながら、独白のように答えた。
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☆本シリーズ『出前芝居』の二話は、DVD『紀子の食卓』をご覧になった上、
プリントアウトしてお読み戴くと、より一層楽しめます。
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【MSIグループからのPR】
8周年特別記念号 現在準備中。
発行日は例年通り、10月末日。
しかし、内容は例年と全く異なり…
●文章作成は、弊社代表の市川に寄らず(一部例外あり)、
●読者の方に全く寄稿をお願いせず、
●さらに、今まで何度かに渡り掲載した「発行の舞台裏の紹介」もなく、
と、詰まるところ、第三者プロデュースによる、
今までの凝り固まった著者の一方的なメッセージのスタイルを破壊し、
ソリアズ本来の枠組みからも逸脱した、
かつてない特別記念号を計画・準備中。
請うご期待。
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合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第184号『正しい努力』 (9月25日発行)
努力しても、埋め合わせのつかない格差が開くと言う、格差社会。弱者・敗
者といわれる人々には再起のチャンスがあるのか否か。弱者・敗者と呼ばれる
人々は何故そのようになっているのか。そんな疑問に明快な答えを出した経営
者が居ます。その意見を、私の考えたことも交えて紹介します。ご期待下さい。
(完)