182 花瓶の配達 =出前芝居=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第182号
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ご愛読ありがとうございます。第182話をお届けします。

暑い夏休み。皆様は如何お過ごしでしたでしょうか。月曜日から金曜日は通
常通り上京していた私は、勉強会が休みになった時間を利用して、名ばかりの
顧問をさせて戴いている山梨県の医療施設を訪問してきました。

最近、大のお気に入りのルパートのショートパンツに革ベルト。Tシャツに
サングラスで、焼け付くような日差しの中、(某クライアント企業の後継者様
が出して下さった車で)快適に「遠出」を楽しんで参りました。札幌では夏が
早くも終わりかけています。暑いのが好きな私には残念なことです。皆様も季
節の変わり目に向かい、ご自愛下さい。

さて、昨年の10月に初の4回連続のシリーズものを発行して以降、久々の
シリーズものが今号から二回続きます。シリーズは題して『出前芝居』。もう
随分前になってしまいましたが、言葉を失うほどに衝撃を受けた映画『紀子の
食卓』を見た後に考えたことを二話に分けてまとめてみました。一話目の今回
は、勉強会企画運営サービスを提供する私自身の日々の仕事のあり方を考えて
みたものです。二回目は社員の役割を考えてみる号になっています。本文に対
するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の
目標納期は5営業日!!
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その182:花瓶の配達  =出前芝居(1)=

中学生の頃、劇団四季の『走れメロス』の当時の私の常識では信じ難い演出
を目の当たりにし、高熱を出して寝込んだことがある。その日、顔色が悪いで
すが大丈夫ですかと、定宿のホテル員にも心配されるほど、園子温監督の『紀
子の食卓』を見ての映画館からの帰り道、頭の中はグルグルと「役割」と言う
言葉を反芻していた。四十を過ぎても尚、顔に出るほど、『紀子の食卓』の衝
撃は大きかった。

レンタル家族と言うサービスをこの映画は題材としている。時間枠に従って、
数々の独居老人宅を数人で家族になりきりながら、訪問して回るのが劇中最初
に登場するサービスの場面。その後、中年男の家には“不良娘”を派遣し、感
極まった“父”との間で時間延長をめぐりトラブルが発生する。さらに、夫と
の泥沼化した痴話喧嘩の設定で、クライアントである “夫”に、本当に刺殺さ
れてしまう“妻”まで出てくる。

彼女は、付き添いにBGMの手配をしながら、最後の演技に臨むため、“夫”
の待つホテルの部屋のドアをノックした。死を厭うことすらできないこの事業
は、劇中では「派遣業」として認識されている。花には、それを受け止める花
瓶が必要。人が皆花になろうとしたら、誰かがそれを受け止めなければならな
い。それがこの壮絶な派遣業の存在意義であると登場人物が説明する。誰もが
ウサギになりたがらないのに、誰もがウサギを食べたがる社会だからこその活
動だと。

テーマも色々、新規事業の立上げ、新商品の発売、大卒採用。形式も、動機
付け優先型の勉強会やら、課題共有型の勉強会、そしてタスクフォースと色付
けがある。ありがたいことに、中小零細組織における社員の手による風土改善
や課題解決の提案は、そこここの企業で受容され、それを企画し進行する仕事
が増えている。行けばその社員の集まりを見届ける。一社で数時間は滞在する。
一日に3社を回る日も出てきた。

その会社の業種・業態、規模、社風、会の位置づけと参加者の構成、そして、
テーマと開催頻度。数々の条件によって、企画や運営の係に求められる役割は
異なる。一件の案件が終わると、次の案件へと向かう道すがら、前回の議事録
に眼を通し、その会社との自分の関係性を思い出す。その日自分が果たさねば
ならない役割を頭の中で確認する。

中小零細企業の組織モデルは頭の中でどんどん強化され、対処の仕方が類型
化されはする。それでも、他社の勉強会の議事録を見たクライアントが、「市
川さん、他社ではこんなすすめ方もあるんですね」と驚くほどに、カスタマイ
ズをどんどん施していく。施さねば、中小零細企業の差別化は成立しない。役
割の切替が多く激しい日は、クライアント先から一歩出ると、思考が空転する
のが分かる。切替スイッチは磨耗するのかもしれない。それでも、花瓶は花の
もとに届けられねばならない。
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☆本シリーズ『出前芝居』の二話は、DVD『紀子の食卓』をご覧になった上、
プリントアウトしてお読み戴くと、より一層楽しめます。
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次号予告:
第183号『眼前の台本』 =出前芝居(2)=(9月10日発行)
「コーチングを受けさせると、社員は辞めていくというのは本当か」。或る社
長の唐突な質問から考え始めた、オーナー社長の率いる零細組織における社員
の役割。そんなことを考えまとめてみた内容です。ご期待下さい。(完)