526 人非人業界 =南国の史実=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第526号
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 ご愛読ありがとうございます。第526話をお届けします。

 とうとう今年最後の発行号となりました。毎年当コラムの年内最終発行号
はクリスマス当日の朝に読者のあなたにお届けしています。今年のクリスマ
ス・イブは金曜日です。バブルの頃からかクリスマス当日よりもクリスマス
・イブの方が盛り上がる場面になったように思いますので、仮に“オール明
け”であっても、特別な意義のある今号をじっくりお読みいただきたく思い
ます。

 今号は年内最終発行号である以外に、当コラム創刊以来の最長全10回シリ
ーズの完結号です。狙ってこのような終わりになるよう発行タイミングを調
整した訳ではないのですが、偶然そのようになりました。10年来の希望を叶
えて、1泊2日で訪れた南九州の過疎地を選んで建設されている巨大ディス
カウントストア。本当にたくさんの学びがありました。
 
 三現主義はよく知られていますが、やはり現場で現実を見ることによる学
びには圧倒的な力があるものと思います。10年もの時を待たずに行くべきだ
ったと少々後悔しています。2、3年に一回はこのような視察や見学の旅行に
出て、好しにつけ悪しきにつけ、変化していく社会・経済を感じるべきだな
と思っています。これからのそうした視察や見学の結果は、最長シリーズ記
録を塗り替えるほどのことにはそうそうならないとは思いますが、どんどん
当コラムのネタになることは間違いありませんので、ご期待ください。
 
 今回の過去最長シリーズ最終回は『人非人業界』と題して、学びによる行
動変化について考えてみたものです。座右の銘レベルで弊社代表の市川が好
きな言葉「賢者は愚者にも学ぶが、愚者は賢者にも学ばない」について、是
非年の瀬のひと時一緒にお考えになってみてください。ご意見・ご感想をお
待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その526:人非人業界 シリーズ『南国の史実』(10)

「学ぶという心がけがあれば、宇宙の万物はみな先生となります。先輩から
の叱責はもちろん、物言わぬ木や石、天候などの自然現象など、一つとして
師ならざるものはありません。すべてが先生です。
 ですから従業員には、「どんな人からも謙虚に素直に学ぶよう心がけてく
ださい。そして、仕事に生かすことができるように、発想力や応用力を養っ
てください」と話しています。学ぶ心の旺盛な人ほど新しい考えを作り出し、
独創性を発揮できる人といっても過言ではありません、
 実際、わたしどもは既存の小売業の業態を否定しているので、一般的な流
通や小売りのノウハウをいくら学んでも効果は期待できません」。

 鹿児島県内の人口減少・高齢化が進む地域に24時間営業の巨大スーパーを
作る計画を、多くの業界関係者に否定された経験から、その経営者は自分の
著書『利益第二主義』で「学び」についてこう語っている。「物言わぬ木や
石」にまで学びを求めるのは、「石よ樹よ水よ 僕よりも 誰も傷つけぬ者
たちよ」と寄り添う中島みゆきの『命の別名』を思い出させ好感が持てる。

 名著『脳には妙なクセがある』で脳研究者の池谷裕二は、「反射」という
言葉を「脊髄反射のような単純な反射ばかりではなく、その場面において惹
起される限定的で自動的な応答全般」と定義している。その上で、人間に意
思決定などはあり得ず、「どうせ無意識の自分が勝手に決めてしまっている」
という。無意識の自動判定機が適切な反射をするか否かは、本人が過去にど
れほどよい経験をしてきているかによって決まる。良い経験を通して、脳は
それをプログラムとして蓄え無意識を駆動する。
 
 話題の書『ケーキの切れない非行少年たち』でも認知能力が低めの子供た
ちが、学校教育から脱落し、貧困や孤独、虐待の体験から犯罪へと転落する
負の連鎖が描かれている。良い経験が良い価値観や言動を作り、悪い経験が
悪い価値観や言動を作る。例外もあるだろうが、一般論として十分納得でき
る。そのエビデンスも存在するようだ。
 
「賢者は愚者にも学ぶが、愚者は賢者にも学ばない」は私の好きな言葉。愚
者にも学ぶ余地があるなら、なぜ賢者の脳は愚者からの学びの悪いインプッ
トを基に負の軌道を進まないでいられるのだろうか。多分そこには批評的な
視点が存在しているからだろう。

 物言わぬ石や木からまで学ぶことができるという経営者。批評的精神から
無生物からも何かを学び取れる至高の心境だろう。そして、そのような批評
精神があっても尚、学びの効果のない小売業界の人々は、人以下どころか無
生物以下の存在と推量できる。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
副業や個人事業主をはじめ働き方が多様化している中、
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『萬屋のもっと深く愛してい』第23回「AR」

前回ご紹介した「VR」とともに注目度が高まっている「AR」。Augmented
Realityの略称で、現実世界に仮想の情報を重ね合わせて表示する「拡張現
実」の技術を指しています。「VR」は仮想の空間に入り込むのに対し、
「AR」は現実世界に情報を追加(拡張)するものです。違いが分かりにくい
ですが、利用者がどこの世界をメインにしているかが大きな違いとなってい
ます。

数年前には街のあちこちでスマホを片手に楽しむ方がいたゲーム「ポケモン
GO」もARを用いたサービスの一つです。スマートフォンのカメラ機能を使っ
て映した現実の風景と、CGで作ったポケモンを合成して画面上に映し出すこ
とで、あたかも目の前にポケモンが出現したように感じさせています。

現実世界の延長に情報を加えることから、ゲームなどのエンターテインメン
ト分野だけではなく、日常生活の不便を解消するようなものも増えています。

例えば、鉄道に使われているボルトが走行中に緩むことのないように、ボル
ト締結作業管理システムが実用化されています。ヘッドマウンド型と呼ばれ
る、頭部から覆うメガネのような形のディスプレイ上に、締結すべきボルト
の位置や作業の記録などをARで表示します。目視で確認する必要があった従
来の方法から、手間を削減することが可能となりました。導入することで、
作業効率の向上により、熟練作業員不足の課題解消にもつながったようです。

中小企業が導入するにはまだコストが高い分野ではありますが、このような
技術を上手く組み合わせることで、人件費高騰や熟練人材不足など、効率化
以外の課題まで解決できる日も遠くないかもしれません。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『取締役「こんな時どうする」基本事典』 浜辺陽一郎 著
■『ばるぼら』 手塚治虫 著
■『…デジタルマーケティングいちばん最初に読む本』 野上眞一 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第527話 『飢餓状態』 (1月10日発行) 
「売り込む」という意味での営業行為の重要性がやや薄れてきたと感じる発
見がありました。中小零細企業には有利に働く要因であるように思えます。

(完)