518 コールド・スリープ =南国の史実=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第518号
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 ご愛読ありがとうございます。第518話をお届けします。

 前回から始まった当コラム過去最長記録のシリーズ『南国の史実』全10回。
第二回の目の今回は、『コールド・スリープ』と題して膨大な在庫群のロン
グテール・アイテムの管理について考えてみます。

 弊社代表の市川が10年近く前からの念願の視察旅行を実現し、後継者の奥
田と共に、九州の大型ディスカウント・ストアを訪れました。人口の極端な
減少に悩まされる地域経済の人々の利便を追求しようとしたこのディスカウ
ント・ストアの経営姿勢には、間違いなくお客様視点の秀逸な方針が存在し
ます。一方で、その独自の経営姿勢には、多くの独善的な誤謬も存在してい
ることは否めないように思えてなりません。
 
 このチェーン三店の第一号店がオープンしたのは1997年。日本では先行し
て存在していた「パソコン通信の世界」が、登場して間もない「インターネ
ットの世界」に置き換えられつつある時代でした。Yahoo!は1994年の創業で、
Googleは1998年の創業ですから、まさにインターネットの黎明期です。それ
からネット通販の利便性がどんどん向上し、ウェブ2.0と共に「ロングテー
ル」の概念が提唱され始めたのは2005頃のことです。つまり、このディスカ
ウント・ストアでは、「ロングテール」が提唱される7年も前から「ロング
テール」をリアル店舗で実現していたことになります。
 
 ネット通販が最大限に普及し小売業の主流になりつつある今、創業から大
きく変わらぬこのチェーン店の在庫管理のありかたを考えてみました。ご意
見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納
期は5営業日!!

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その518:コールド・スリープ シリーズ『南国の史実』(2)

 雑誌『SPA!』(2021年4月20日号)の表紙に書かれた特集タイトル『親が
死ぬ前にやることリスト30』が気になって早速買った。リストには「パソコ
ンやスマホにログイン可能にしておく」という項目がある。「その時」に、
子が中の情報を見られるようにしておく心得。高齢者がパソコンやスマホを
使いこなすだけでは飽き足らない。「親に最新デジタル機器を使ってもらう」
という項目もある。タブレットでパズドラをさせたりネットフリックスのド
ラマを見させたりし、居間にはAIスピーカーを置いて会話させると説明され
ている。
 
 高齢者がDXに乗り遅れているなどというのは昔話になりつつある。考えて
みると私が映画の『生理ちゃん』と『ホテルローヤル』で認識できるように
なった女優伊藤沙莉が出ているメルカリのCMを見ていると、柄本明やタモリ
がメルカリを使いこなそうとしている。

「小売業のオペレーションから考えればどんなに効率が悪い商品でも、日々
の生活に必要なものはすべて置くことにしているのです。
 効率よく売り上げるためには、通常、売れ筋商品への絞り込みが行われま
す。しかし、小売業で一般的に「死に筋」と言われる商品も、地域のお客様
の日々の生活に必要なものであればすべて揃えています。(中略)
 取扱商品の中には、たしかに、それほど売れない商品、ほとんど売れない
商品もあります。棚ごとに売り場を見ていくと店内は採算に合わない棚だら
けです。
 小売業は在庫管理が生命線と言われていますが、いわゆる死に筋商品を検
証してみると生活者に必要なものがたくさんあります。わらじ、ふんどし、
梅を干すのに使う大きなざる、など、年に数個しか売れないような商品でも
売場においてあるのは、日々の生活でそれを必要とするお客様がいらっしゃ
るからです。」

 巨大スーパーの商品管理について、社長が『利益第二主義』に書いた一節。
巨大プレハブのような建物の高い天井の照明はコストカットのために薄暗く、
棚に置かれ続けた死に筋商品は埃塗れで薄汚れている。アマゾンでも年に数
個のロングテール在庫は倉庫の奥に眠らせているだろう。せめて量販店の
USBメモリのように棚に札を置けないか。

 想定されているターゲット客は周辺地域に住む高齢者だという。そもそも
なぜ彼らは、わらじ・ふんどし・ざるを、唐突に或る日或る時、買おうと思
い立つのか。取り寄せたり、配送したりしては不都合なのか。いっそ自社サ
イトを立ち上げて、タブレットで死に筋商品を注文してもらってはどうか。
使い方も「メルカリ教室」のように教えればよい。

 その購買行動を知らずして、地域住民の利便を考えることができるように
は思えない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
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『萬屋のもっと深く愛してい』第15回「リモートワーク用監視システム」

東京を含めたいくつかの地域で緊急事態宣言が延長になり、引き続きリモー
トワークで働いている方もいらっしゃるかと思います。リモートワークにな
ると、従業員目線では移動の手間が減り、自宅の慣れた環境で仕事ができる
など良い面に焦点があてられることが多いです。

経営者目線で言えば、社内で業務する場合と異なり、従業員の働きぶりを直
接見られないことから、本当にちゃんと働いているのか不安に感じる場合も
あるかもしれません。実際に知り合いのある会社では、完全リモートワーク
だったようですが、生産性の低下が顕著となり、週4回は会社に出勤しなけ
ればならない状態になったそうです。

リモートワーク中の社員の働き方を監視できるシステムが増えてきています。
パソコンでの操作記録から、業務に関するデータを収集し分析できるように
した「業務可視化ツール」と呼ばれるものや、「着席」・「退席」ボタンの
クリックでリアルタイムの在席状況を把握できる「在籍管理ツール」、業務
ごとに経過時間を計測する「タスク管理ツール」などさまざまあります。あ
る「在席管理ツール」は、一定時間ごとにパソコンの画面を自動的に撮影す
ることで、画面が一定時間変わっておらず業務に取り組んでいない状態でな
いかなども確認することができます。

上司や同僚の目がないからといって手を抜いていないかを監視するためにシ
ステム導入を検討するのはもちろん大切です。ただ、結果として、無駄な業
務を行なっていないか、従業員間の業務量に偏りがないか、働きすぎていな
いかなどを把握することで、業務改善につなげることも可能です。

ただ「監視」されるだけだと感じると、従業員の動機付けが下がってしまう
かもしれません。システム導入の際には、導入の意義や従業員にとってのメ
リットをきちんと伝えることが重要です。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『女と男 なぜわかりあえないのか』 橘玲 著
■『あぶない法哲学 …』 住吉雅美 著
■『白人ナショナリズム …』 渡辺靖 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第519話 『日々唯々諾々』
 シリーズ『南国の史実』(3) (9月10日発行) 
 製造業や卸売業に比べて小売業は目の前に一般消費者と言う“エンド・ユ
ーザー”が存在します。その属性もニーズも簡単に把握できるはずですが、
それを意識的に行なっている小売業企業は少ないように感じます。長編シリ
ーズ第三回目です。

(完)