517 悪徳商人 =南国の史実=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第517号
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 ご愛読ありがとうございます。第517話をお届けします。

 とうとう当コラム過去最長記録のシリーズ『南国の史実』が始まります。
全10話シリーズで今年の最終発行号まで続く“連載”です。単なる批判でも、
そして勿論中傷でもなく、九州の大型ディスカウント・ストアの経営者の画
期的な取り組みについて、彼の著書の内容と現地の事実とを組み合わせて検
証してみたいと思っています。シリーズも最長ですが、内容もかなり野心的
です。第一回目は店舗における効率的なオペレーションの意義について考え
てみたものです。

 この文中には名前も登場する九州の大型ディスカウント・ストアでは「効
率的なオペレーション」を「売り手都合の行為」と断じて、それを敢えて行
わないと経営者が宣言しています。人時生産性を意識する優れたサービス業
種の企業群では、お客様が気付きにくい所でどんどん効率的なオペレーショ
ンを追求しています。それが「売り手都合」と括れるものであるはずがあり
ません。中長期的には、お客様の満足度向上無くして人時生産性の継続的な
伸びは覚束ないからです。

 人口の極端な減少に悩まされる地域経済の人々の利便を追求しようとした
このディスカウント・ストアの経営姿勢には、間違いなくお客様視点の秀逸
な方針が存在し、非常に勉強になります。一方で、その独自の経営姿勢には、
多くの独善的な誤謬も存在していることは否めないように思えてなりません。
ひと時一緒にお考え下さい。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴し
たご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その517:悪徳商人 シリーズ『南国の史実』(1)

「AZでは、店に都合のよい効率的なオペレーションは敢えて行いません。効
率がよくて喜ぶのは、売り手側だけだからです。
 売り手側に都合よく考えるより、お客様にとってどうあるべきか。一番大
切なことは、お客様に「ありがとう」と言っていただくことです。そのため
には、損得や効率はいったん脇に置いて考える必要があります。」
 弟子が運転してくれた車を降りて駐車場に降り立つと、前方に視界に収ま
りきらないほど長く左右に広がった店舗が迫る。「さぁて…と」と10年以上
前から念願の訪店に向けて歩み出しながら、私はこの店舗の社長が著した
『利益第二主義』の一節を思い出していた。

 10年以上前の政府は海外の先進国の働かない人々の風潮に迎合して「企業
の生産性を上げて人々が働かないようにせよ」とは言っていなかった。今は
政府が、企業の生産性が上がらないのは中小企業の人海戦術のせいで、そう
いう企業はより効率の良い企業に吸収合併されてまともになった方が良いと、
徒に最低賃金を引き上げて経営環境を悪化させる。

 別に10年前でも意欲ある中小零細企業経営者は利益確保のために現場改
善に取り組んでいた。『「最強のサービス」の教科書』は非常にためになる。
人間の労働そのものを売っているサービス業では、ホスピタリティと効率化
の両立の難易度が他業種に比べて極端に高い。紹介されている老舗旅館とし
て高名な加賀屋では、フロア間の配膳をエレベータ等の機械が行なっている
と書かれている。その他にもありとあらゆる機械化・効率化が図られ、その
結果、人件費の多くは従業員がお客様と接する時間に投じられるようになり、
接客の質が段違いに上がったとある。
 
 スーパーホテルの事例も面白い。ベッドを脚がないタイプに変えて、ベッ
ドの下にモノを落としてしまうお客様の対応時間をなくし、さらにベッド下
の清掃時間もカットした。おまけに、ビジネスホテルなのに、最上階に大浴
場を設けて、各部屋のバスルームの清掃時間を大幅に減らしたと説明されて
いる。当時クライアントだったパチンコ店チェーンの店長や幹部に何度聞か
せたか分からないほど有意義なエピソード。お客様満足と効率化は背反しな
い。寧ろ背反させないような揚棄が遮二無二求められるべきだろう。
 
 南国の初めて訪れた巨大スーパーの食堂に行ってみると、厨房の中の人々
が声掛けをしながら移動して注文された食事を用意していた。動線がクロス
していて声を掛けねばぶつかり合うらしい。30分の間に2度も人々が擦れ違
いざまに何かを床に落としている。なるほど確かに「売り手都合の効率的な
オペレーション」は行なわれていない。けれども、社長の思惑に反して、私
はそのような厨房の人々を労って礼を言いたくなりはしなかった。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋のもっと深く愛してい』第14回「ビジネスチャットツール」

コロナ禍の影響により在宅勤務が増え、社内のコミュニケーションの不足を
感じている方もいらっしゃるかと思います。会社に行けばすぐに話しかけら
れる距離にいましたが、リモートワークの場合、意識的にならないとコミュ
ニケーションを取らない状態に慣れてしまいます。

ビジネスチャットツールとは、コミュニケーションツールの一つであり、
SNSのようにリアルタイムで情報を共有することができるツールです。多く
の方が使っているLINEのビジネス版とイメージしていただくと分かりやすい
かもしれません。離れた場所にいても、主に文字による情報のやり取りや絵
文字、スタンプの利用などにより、メールなどに比べ、円滑にコミュニケー
ションを取ることができます。ファイル送信はもちろんのこと、最近では
チャットツールにビデオ通話や音声通話機能を備えるツールも増加していま
す。場所にとらわれないコミュニケーションを実現し、利便性がより高まっ
てきています。

利用料無料でも機能が充実しているサービスもいくつかあり、特に対象人数
が少なければ費用の負担を抑えることができます。ただ、導入する際に以下
のポイントを確認しておくことが重要です。

(1)必要な機能があるか
(2)使いやすいか
(3)コストパフォーマンスが合うか
(4)セキュリティに関する機能が充実しているか

なかでも、(1)、(2)は導入後の安定使用にも関わってきます。業務効率
化のために導入したとしても、必要のない機能が多く使いにくいものとなっ
てしまっていたら、元も子もありません。さらに、多くの機能があった場合、
ITに慣れていない従業員がいると、教育コストがかかってしまう可能性もあ
るでしょう。セキュリティに関しては、権限に応じて閲覧制限をかけられる
など、社内の情報共有の面でも検討が必要かもしれません。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『自分の半径5mから日本の未来と働き方を…』 出口治明・島澤諭 共著
■『ソープランドのボーイをしていました』 玉井次郎 著
■『FACTを基に日本を正しく読み解く方法』 高橋洋一 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第518話 『コールド・スリープ』
 シリーズ『南国の史実』(2) (8月25日発行) 
 当コラム過去最長の10回シリーズの第二回目は、九州南部の超大型ディス
カウント・ストアのロングテール在庫について考えてみました。

(完)