514 ゼロ・リスクの道  =診察室の奥=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第514号
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 ご愛読ありがとうございます。第514話をお届けします。

 今回お届けする第514話は前回始まった久々のシリーズものの第二話です。
シリーズ・タイトルは『診察室の奥』。今から丁度3年前の2018年の6月か
ら7月に、弊社代表の市川が歯科や口腔外科を数件訪ねて治療の可能性を尋
ね歩いた経験をもとに書かれています。大半の歯科医の常識に逆らって、
奥歯の直下深くが細菌に侵され骨まで腐りかけていたのを、抜歯せずに手術
で治療することができました。

 前回の号の「次号予告」の中で、「抜歯に至るまで数件の歯科や口腔外科
を当たりました」と誤って書いてしまいましたが、正しくは「抜歯を避ける
のに」、または「手術に至るまで」となるべきでした。謹んで訂正いたしま
す。(弊社ブログ『MSI-TALES』では修正を施してあります。)

 前号で描いたように、問答無用で抜歯とインプラントを薦めて譲らない歯
科医や口腔外科医と、顎の骨まで削ってできる大穴を予め採っておいた血液
で用意したパテで埋めてまで手術を行なってくれる口腔外科医の価値判断の
違いから、「患者の希望を叶える」ことに対する姿勢が透かし見えるように
思えてなりません。

 前回描いたインプラントを薦めて譲らない医師の態度に続いて、今回はそ
の判断の根拠を尋ねてみた結果をまとめてみました。医療をビジネスとして
見てその現場を捉える時、今回の体験にはマーケティング的悪手が散見され
ます。保険範囲の“野戦病院”と異なり高付加価値を謳う医療の現場での、
患者目線の欠落についてご一緒にお考え下さい。ご意見・ご感想をお待ちし
ております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その514:ゼロ・リスクの道  シリーズ『診察室の奥』(2)

 その長身の口腔外科医は白壁のラウンジのテーブルの上に私の歯茎のX線
写真をばさりと置き、私に掛けるよう促した。傍らのコーヒー・サーバに向
かっていく。その日は患者も少なくゆっくり話ができるのだという。
「コーヒーにミルクは要りますか。はい。市川さん、お仕事は。へぇ。中小
企業診断士。コンサルさんですね。ウチのグループにもボスコン辞めてメデ
ィカル系コンサルになった男がいましたよ。引く手あまたで忙しいようです。
コンサルは頭の出来が違わないとできませんよね。合理的な思考ができなき
ゃ。さてと。歯根の深い所で感染が広がってますね。抜いてインプラントで
しょ。それが合理的です。外科手術ですか。ないですね」。
 
 左下奥歯の歯茎が細菌に感染して、血豆のような膨らみができたのはもう
15年以上前。疲れが溜まると膨らみは僅かに大きくなり、押すと血が噴き出
る。しかし痛む訳でも大きくなる訳でもない。15年間に二度歯茎の切開を試
みたが、そのたびに内出血が顎全体に広がって外から見て分かるぐらいにな
ったのに、一週間とせず元の状態に戻ってしまった。
 
 二週間前に近隣の歯科医が「何とかしますよ」と上の銀冠を取ったら、ま
るで休火山の突然の噴火のように激しく痛み始め、その歯科医は「もう抜く
しかない」と言い出した。抜けば入歯かインプラントしかなくなる。手術の
選択肢を求めてこの口腔外科を訪ねた。
 
 私が余裕ありげに外科手術が「ない」理由を尋ねると、彼の答えは驚きの
内容だった。
「外科手術は歯茎を横から抉って肉も骨も削るんですよ。けど、細菌は目に
見える訳じゃないから、僅かに残っていて再発するかもしれない。米国とか
だと、患者は訴えてくるんです。抜いてしまえば、そういうことはないから
リスクがゼロです。訴えても結局抜くことになるんだから、結局患者も合理
的な選択の方がハッピーになるんですよ」。
 
 鮫などと違って永久歯は抜けば二度と生えてこない。削ろうと詰めようと、
最初に生えた時に比べたら、永久歯は死ぬまで現状維持か悪くなるかしかな
い。抜けば総てお終いだ。その後、更に二軒目の口腔外科で手術を受けるこ
とができ、20年近い宿痾は全く問題なく治癒した。治る可能性のある歯茎に
対して、訴訟のリスクや手間やコストを避けるために替えのない歯をすぐに
抜くのは本当に合理的な選択なのだろうか。

 ラウンジの隅のマガジンラックには数冊の古い週刊誌があった。そのうち
の一冊の特集記事はインプラントの失敗事例集。「力む仕事の人は要注意」
との見出しの脇に、歯が割れてなくなり、血塗れの歯茎から屹立するボルト
の写真まで載っている。古い雑誌は5S不足によるものではなく、「力む人」
や「高リスク希望者」の排除装置だったのかもしれない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
独立に先立ち「萬屋日和」の連載を開始してから、
ついに2年目になりました。

長いようであっという間の1年でしたが、
大変ありがたいことに、前職での経験をもとにした採用の分野に限らず、
いろいろなお仕事をご依頼いただきました。

そのご依頼内容をまとめてみました。以下URLより
 https://kaisha-yorozuya.support/stockpile/
・『人に関するお悩みの事例一覧_2021』
・『売上に関するお悩みの事例一覧_2021』
・『生産性・利益に関するお悩みの事例一覧_2021』
をぜひご笑覧ください。

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『萬屋のもっと深く愛してい』第10回「クラウド」

ここ数年で認知度を高めてきている「クラウド」という言葉。Gmailなどの
メールサービスや、Google Drive、Dropboxといったオンラインストレージ
(=クラウドストレージ)サービスなど、初期費用も抑えられ、自社におけ
るITの調達や保守、セキュリティ対策の負担を軽減するためのサービスは
年々増加しています。

インターネット上で必要に応じてサービスを利用できる“仕組み”を「クラ
ウド」と呼び、この仕組みを用いて提供される“サービス”のことを「クラ
ウドサービス」と称します。クラウドは英語で「雲」を意味し、実際にクラ
ウドを説明する際には雲のイラストや図解が用いられることがあります。こ
れは、「技術者がクラウドを説明する際に雲の絵を用いていたから」「ユー
ザーがソフトウェアを持たずにインターネット(雲)越しにサービスを利用
しているイメージから」など、さまざまな説があるそうです。

総務省の『令和2年 情報通信白書』によると、2019年時点で64.7%の企業が
クラウドサービスを利用していると回答しています。インターネットの普及
やICT関連技術の進展により、身近になったと言われています。

別途加入や申込などが必要にはなりますが、インターネットに接続されたパ
ソコンを準備すれば一応クラウドサービスを利用することは可能となります。
インターネットを利用する以上、ウイルス等へのセキュリティ対策は必要と
なりますが、今まで取り上げてきたテーマのなかでも、比較的導入しやすい
ものになっています。

ただ、実際に導入するためには、置き換える業務を明確にすることや運用ル
ールを定めることが重要です。万が一のことがあったときのために、サービ
ス提供会社のヘルプデスクの受付時間や連絡方法をきちんと確認することも
大切ですし、選定基準の一つとすることをおススメします。費用が安い分、
提供会社のサポート体制が万全でない可能性も十分考えられます。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『日中の興亡2025』 青山繁晴 著
■『還暦からの底力―歴史・人・旅に学ぶ生き方』 出口治明 著
■『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論3』 小林よしのり 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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 bizcom@msi-group.org
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第515話 『多幸社長』 (7月10日発行) 
 廃業や倒産が増えています。「企業30年寿命説」もよく聞きます。しかし、
企業の寿命に比して、経営者の寿命は意外に長いようです。最近聞いた「経
営者長命説」について考えてみます。

(完)