511 背馳者の夢想

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経営コラム SOLID AS FAITH 第511号
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 ご愛読ありがとうございます。第511話をお届けします。

 前号のご挨拶の文章で紹介した当コラム創刊以来の最長シリーズ『南国の
史実』全10話の文章が完成いたしました。過疎化が進む地方経済において、
米国のウォルマートを遥かに凌駕する素晴らしいビジネス・モデルの原型を、
鹿児島に実際に観に行ってきた体験をもとに原稿化した内容です。その鹿児
島旅行に至るまでの経緯は、第318話『浅知恵』と第491話『ガラパゴスの
理解』に登場しますので、合わせてお読みいただけると幸いです。

 最長シリーズ『南国の史実』は第517話からお届けする予定で第526話まで
続きます。第526話は丁度クリスマス当日の2021年最終発行号です。シリー
ズの途中で22周年記念特別号も発行されます。22周年記念特別号は、久々に
オーナー経営者論をテーマとする方向で調整中です。今年の後半も盛りだく
さんですので、ご期待ください。

 今回の『背馳者の夢想』は、ライトノベル・ライト文芸作品群の定番の物
語パターンから所謂「若者的な人々」のニーズを探った内容です。ご意見・
ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は
5営業日!!

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■第318話『浅知恵』 http://tales.msi-group.org/?p=596
■第491話『ガラパゴスの理解』 http://tales.msi-group.org/?p=1908
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その511:背馳者の夢想

「ふ~ん。主人公は男子だよねぇ。まあ若者ね。『職業はクリエイター』、
『何故かモテ』、そして、『異世界転生』。なるほどねぇ」。
 毎月大量のタイトルが出版されているライトノベル・ライト文芸作品群。
新書・コミックと並んで、今となっては売上減少に悩まされる多くの出版社
の因となっている。そのラノベ類の典型的ヒットのキーワードを長年の知人
の出版社社長に聞いた。
 
「なんで『職業はクリエイター』な訳?やっぱり人とあまりコミュニケー
ション取らなくていい商売と思われているからか。『何故かモテ』は『少年
ジャンプ』のラブコメみたいな感じで、こっちから迫らなくても、真剣でひ
たむきな姿勢を取り続けていればかわいい女子が自分を発見してくれる…み
たいな。で、『異世界転生』は、あ、昔NHKで『今日から(マ)のつく自由
業!』とか観たわ。あんまり冴えない男子高校生が水に溺れるごとに異世界
に行ってしまってそこでは魔王になっている奴。あと『正解するカド』。は
違うか…」。

「そうです。そうです。」と、私より10歳ほど若い彼女はニコニコと頷く。
「けどさ。物書きも絵描きも本当は滅茶苦茶コミュ力が求められるよね。
『何故かモテ』もさ、昔結構愛読した『電波男』にもあるけど、恋愛ヒエラ
ルキーとか特に男にはガッツリあるから、あんまり起きないんじゃないの。
ああ。実感湧くわ。かなり無理だよねぇ。『異世界転生』は、『うん、まあ
こっちの世界でまず頑張ろうよ』って感じかなぁ。異世界で成長して現世に
戻ってくるの?いや現世でも山ほど成長の機会があるし」。

 すると社長は「或る意味、皆“現実逃避”のキーワードってことですかね
ぇ」と私を覗き込んで考え込んだ。確かに現実の人間関係から遁走しようと
する姿勢が透かし見える。

 長年お仕事をいただいている雀荘チェーンの現場リーダーとスタッフの店
内研修の打ち合わせをした。22歳の彼女はスタッフの中でも抜きんでてコミ
ュ力が高く「コミュ力おばけ」の異名を持つ。このチェーンの雀荘は若い女
性スタッフで溢れている。麻雀があまりできないスタッフも接客をしている。
中年以上の男性客も多い。女性スタッフに触るのも禁止、同伴のような店外
サービスも全くない。コミュ力おばけの彼女は「お客さんは、ウチの女性ス
タッフからエネルギーを貰いに来るんですよ。お客さんが思っている“イマ
ドキの子”との非日常が欲しくていらっしゃるんだと思いますよ」と真顔で
宣う。

 現実の世界はそれほど遁走したくて仕方がないような場所なのだろうか。
私はありとあらゆる職業適性試験で、コミュ力がないも同然どころか、就業
意欲も極端に低く、試験によってはエラー扱いになる。けれども仕事だから
コミュ力おばけともにこやかに話せる。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
独立してから、師匠・市川からいろいろな考え方を学んでいます。

なかでも、お客様のニーズを満たし、他社にはない強みを徹底する
『差別化』の考え方は、小さな会社が生き残るために考えるべき
非常に重要な要素の一つです。

以下、合資会社MSIグループのサイトから詳しい内容をお読みいただけます。
http://msi-group.org/msi-differentiation-vol1/

以下の動画で私が詳しく説明していますので、ぜひ見てみてくださいね。
https://kaisha-yorozuya.support/works/webinar-exp/differentiation-0/

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『萬屋のもっと深く愛してい』第8回「ディープ・ラーニング」

製造業の製品の検査や品質管理に十分に時間を割けるほど人材がいなかった
り、新人を教育して任せられるようになるまでに時間がかかってしまったり
するなど、小さな会社における人手不足はあらゆる場面で困難が生じます。
画像処理や音声認識として活用されることが多いディープ・ラーニングを活
用することで、熟練技が必要な作業も簡単に代替することが可能です。

ディープ・ラーニングは日本語で言うと、「深層学習」と呼ばれ、「機械学
習」と並べて話題になることが多いです。前回の記事でご紹介した「機械学
習」は、AIの仕組みの一つだと表現しましたが、「ディープ・ラーニング」
は、その「機械学習」のなかの一種です。過去の膨大なデータから学習し、
一定のパターンを見つけることは機械学習と同じです。異なるのは、これま
ではノウハウをもった人間が指定してきた特徴の抽出も含めて、コンピュー
タ自身が見いだせるようになったことです。抽出すべき特徴の選択自体も人
間の手を介さず、機械に学習させることができるのです。

AIによる画像認識の技術は以前からありましたが、ディープ・ラーニングの
登場により、すでに人間を上回る精度で情報を処理できるようになったと言
われています。画像認識により来店客の情報を取得し、会員データに反映さ
せたり、店舗においてレジを通った商品数や価格を瞬時に読み取ったりする
など、作業の大幅な効率化とお客様の待ち時間解消にもつながります。

ここまで3回にわたって、AI関連の技術について紹介してきました。紹介し
たものも、AIブームに乗っかってただ単に取り入れるだけでは、きちんと使
いこなせず、時間もお金も無駄になってしまいます。技術を活用して解決し
たい自社の課題をまずは考え、さらに自社の社員のレベルに合った方法を見
つけることも大切です。流行っているから、かっこいいからという理由だけ
で、取り入れるのは本当に危険です。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『やり抜く力 …』 アンジェラ・ダックワース 著
■『副業愛人 年収300万円で囲えるオンナの素顔28』 中山美里 著
■『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』 広瀬隆 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
 bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
(http://www.mag2.com/ ) 

毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まず足掛け22年。

マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
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次号予告:
 第512話 『アンチ・ミスディレクション』 (5月25日発行) 
 人間の無意識を暴くアイトラッキング技術の話から考えたことをまとめて
みました。

(完)