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経営コラム SOLID AS FAITH 第160号
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ご愛読ありがとうございます。第160話をお届けします。
前回から開始の4回連続シリーズ『愉悦のフライト』ですが、その第一弾に
は、お会いした方々から、各種のご感想を戴きました。「著者の女性の好みを
論じたものである」などの評価(?)もありましたし、「やはり、男にブラジ
ャーは売れないということかな」などと言うものもありました。
弊社では業種業態を問わず、(弊社のドメイン通り)コミュニケーション企
画の請負をしておりますが、やはり、普段接点のない業種・業態のクライアン
ト企業のご依頼は、まず、その課題の理解に時間を要することが多々あります。
その延長線上で、少なくとも自分がその立場で消費を経験することがないよう
な対象者に対するマーケティング企画の立案には、以前にもまして、困難が伴
うと感じつつあるのは本当です。
しかし、各種の情報媒体の最終形である書籍を読んで、初めて自分の周囲の
人々を見回すようでは、情けないというのも実感でして、そのような感慨をま
とめた話と解釈して頂けましたら、幸いです。
さて、第二回の今回は、『高確率の退屈』と題して、巨大な仕組みの維持と
いうことを考えてみました。自らの事業が代替可能性の低い巨大な社会資本に
なっていることは、中小零細企業では少ないものと思いますが、地域や商材を
限定すると差別化の結果、代替の利かない結果を支える事業は、多々存在する
ことでしょう。その保守・維持の運用上の難しさを描いてみました。巨大な仕
組みの運用技術の進歩と人の疎外の事例を描いた第131話『効率的電話』も合
わせてご覧下さい。
※http://cyblog.jp/modules/wordpress/index.php?p=249
本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへ
のお返事の目標納期は5営業日!!
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その160:高確率の退屈 =愉悦のフライト(2)=
日曜日の午後、先輩も出かけ、一人ぽつんと作業の合間の10休憩。電話局の
局内設備は、電磁石のリレーでできた膨大な機器群。ワイヤー入りの厚ガラス
の窓の近くに立っていると、ドーンと言う大きな衝撃とともに、窓ガラスにピ
シッとひびが入った。思わず目を閉じた刹那に、外の景色は変わっていた。20
年以上前のことである。
数十メートル先のアパートの二階が消失していた。住人がガス自殺をしよう
としての爆発であると分かったのは数時間後。地震でも機器に異常がなければ
何もしない。その一軒の電話の不通なら局内で特に為すべきことはない。持ち
場を離れる訳にも行かない。「強化ガラスも割れるんだなぁ」などとひびを見
つめていると、機械群の奥で、チン、チンと警報が鳴っている。その頻度は徐
々に高まる。機械の処置をしながら、各種図面を開いて考えた末、判明したの
は、そのアパート脇の幹線の電話線の存在。切れた数千本の繋がらない電話線
に機械は自動的に何度も繋ごうと過剰に作動し始めていた。緊急の対処を一人
で終えるまでの間は、血液が逆流するような思いが続いた。
「市川。大当たりだな。こんな経験はそうあるもんじゃないぞ」と戻ってきた
先輩は言う。パワーショベルが地中のケーブルを切断することも、田舎町では
年に数回も起きない。それが一人で居る時に起きるなど、なかなかない。職場
の日常では、無味乾燥な点検作業と異常時対処マニュアルの学習が続いていた。
羽田に到着した機内では、ピンポンと言う音が鳴り続ける。機内のインター
ホンの着信音が、誰も呼んでいないのに鳴り響く。止められないらしい。同じ
故障に最近よく遭遇する。乗員も慣れたもので、まるで聞こえないかのように
振舞っている。また、着陸後なぜか照明が点かず、手探りで降機したのも一度
ではない。座席の読書灯が点かず席を替わらせられたこともある。エンジンが
点火せず、離陸前にピットに戻ったこともある。この航空会社は事故が続出し
ている。飛行中には部品は落とし、修学旅行生が戯れに救命胴衣を持ち出して
いるのにさえ気づかぬままに居たとも言う。
原発事故や列車事故。大規模なコンピュータシステムの障害。巨大システム
の負う役割は重く、システム維持は重要だ。維持作業とは、変わらぬ日常を監
視・点検するもの。極端に稀になった異常時を日々想像するのも、備えを怠ら
ぬのも、至難の業である。
「え?。市川さん、あの会社の便に乗っているんですか。命あってのモノダネ
ですよ」と言って下さる方もいる。日常の重い価値は失われることを前提にし
か感じられない。果てしなく続く定型作業の中で、身震いするような危機意識
を維持するのは、非常に困難と私は知っている。だから、「確率の問題ですよ。
私がいつも座る後部座席は、落ちても死に難いようですよ」などと答えている。
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次号予告:
第161号 『見られる足元』
シリーズ『愉悦のフライト』(3)(10月10日発行)
シリーズの第三回目は、サービス品質を顧客がどう認識するかについて考え
てみたものです。商品そのものの価値さえ、その買い手、使い手によって、効
用が大きく違うのは当然です。それが、無形のサービスとなると、顧客の認識
する価値そのものがサービスの価値であり、提供側の想定する「あるべき価値」
との相違は頻発します。顧客が認識する価値の決定要素について一緒にお考え
下さい。(完)