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経営コラム SOLID AS FAITH 500話発行記念特別号 第三弾
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目次
1 ご挨拶
2 502話 『心象風景』 =回路明察(3)=
3 特別原稿 『日日是考日~師匠が教えてくれた4つのこと~』
第三話 『ヨロズヤの考える「売れる仕組み」』
4 『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR
5 MSIグループの仕入完了報告
6 あとがき
7 次号予告
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☆注意:お読みになる際には、枚数がかさみ恐縮ながら、プリントアウトの上
お読みになることを、心よりお勧め申し上げます。
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1 ご挨拶
御愛読御礼申し上げます。502話です。
あっという間に1年が過ぎ、再び今年の最終号となりました。「外出をす
るな」、「集まるな」、「老人に会うな」と色々と煩く言われる中のクリス
マス当日を、読者のあなたは如何お過ごしでしょうか。例年のように当メー
ルマガジンは、盆暮れ正月も土日祝日も全く関係なく発行しています。家で
過ごす年末年始のちょっとした時間にでも読んでいただければ幸いです。
シリーズ『回路明察』は第三回目です。変な表現ですが、無意識の存在を
意識したビジネスの在り方を考えるのが、シリーズ『回路明察』です。今回
は無意識に自社商品やサービスの望ましいイメージを書き込む手法として、
「シーン・マーケティング」を取り上げてみました。
単なるイメージであってもそれが具体的なものであれば、人間の無意識は
実体験と同等の処理をします。つまり、その方法が文字を読ませることであ
ろうと、画像を見せることであろうと、動画を見せることであろうと、具体
的なイメージを抱かせることができれば、無意識に深くそれを書き込むこと
ができるということです。体験させることの重要性が語られることもありま
すが、必ずしもそうではありません。
私が大学の卒論のテーマにした「シーン・マーケティング」は、脳神経の
研究の進展に伴い、その有効性が科学的に説明されるようになってきました。
シーンのイメージを伝えることの重要性について、是非一緒にご一考くださ
い。単にお客に対して売り込む場面のみならず、社員を始め誰に対してでも、
コミュニケーションの効果を引き上げる効果をもたらすはずです。
また、4回シリーズの特別原稿は「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥
田美幸による、4話シリーズ『日日是考日~師匠が教えてくれた4つのこと
~』です。第3回の今回は中小零細企業へのマーケティングの基礎原理の適
用について解説する内容です。元々人事畑を会社員時代に歩いてきた奥田だ
からこそ、自分が感動を以て学んだマーケティングの原理原則をクライアン
トのビジネス・モデルに忠実に当てはめて、評価や改善を行なうことができ
ているように思えます。あなたの会社の売れる仕組みを明確に理解すること
にも役立つ部分があれば幸いです。普段と一味違うソリアズ記念特別号をお
楽しみください。
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その502:心象風景 シリーズ『回路明察』(3)
「初夏の風に吹かれて湘南をちょっと歩くならこのストール」。
そんなキャッチコピーがスタイルごとに乱立したファッション誌のページ
に踊っていた1980年代後半。全国的にバブル経済が残った日本を離れて米国
に留学することになった。大学で初めてマーケティング理論を学んだ時の感
激は大きかったが、それは米国の殆どを占める田舎町の消費を説明してばか
りだった。モノもサービスも飽和の限界を超えた中でのマーケティングを理
解するには、ボードリヤールが唱えていた記号の消費の概念が必要であると、
夏休みに帰国した日本の書店で関連書籍を立ち読みして気が付いた。
マーケティングの基本に市場のセグメント化がある。細分化した市場のい
ずれかを標的に設定して、すべての事業活動をそこに集中させる。細分化の
軸は、消費者なら年齢性別や職業などの属性。法人なら企業規模や業種や立
地などが主なものかもしれない。しかし、同じセグメントの人も会社も、価
値観や方針だのが個々に異なって購買行動が一様ではない。仕方がないので、
ライフスタイル分析などのセグメント化が台頭した。しかし、この方法は属
性分類と違って、対象の人や会社のセグメント分類結果を簡便に再現できな
い。
そんな紆余曲折を経て売り手達はセグメントへの迎合を止めた。そして、
売りたい商品やサービスが消費される場面に特定セグメントの人々が憧れを
感じるように仕向けることにした。この「シーン・マーケティング」によっ
て、「初夏の湘南を歩くためのストール」や「ワンレンの女を載せて六本木
を走るためのクルマ」など、数多のコピーが誕生した。米国の田舎暮らしで
は見ることのないそのマーケティング手法を私は卒論のテーマにした。
人を操ることには一定の需要が常に存在している。『人を操る黒いテクニ
ック』などのタイトルはコンビニの狭い棚でさえよく見かける。苫米地英人
の本などを読むと、洗脳のテクニックの核には、相手に具体的なイメージを
抱かせることがあるらしい。無意識のプログラミングに書き込まれる暗示の
表現には、エピソード、メタファー、オノマトペが大事とあったので試すと、
確かに商談の場でさえ相手が真剣に聞き入るようになりやすい。
人を動かす無意識の情報処理パターンらしきものを「インサイト」と呼ん
で、それを販売に活かす取り組みを最近よく聞く。無意識はイメージによっ
て操作されるのなら、強いイメージを刷り込んで人を購買に走らせることは
全く新しくない。強いイメージを練るノウハウ抜きに、雑に「お客に経験を
売る“経験マーケティング”」と括る駄説まである。
自家用の車両の国内販売台数は落ち続ける。そんな時代でもテレビをつけ
ると、どう見ても日本国内になさそうな洒落た街並みを颯爽と駆け抜ける自
動車のCMが流れている。
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3 特別原稿 『日日是考日~師匠が教えてくれた4つのこと~』
第三話 『ヨロズヤの考える「売れる仕組み」』
ソリアズ読者のみなさま。こんにちは。会社の萬屋 企画改善請負本舗の奥
田美幸です。500話発行記念特別号の全4回シリーズとして原稿を書く機会を
いただき、後半戦となりました。拙い文章となりますが、最後までお付き合
いいただけますと幸いです。
全4回シリーズのタイトルは、『日日是考日~師匠が教えてくれた4つのこと
~』。今夏にIT企業の一採用担当から個人事業主として独立し、師匠・市川
の下で教わったことは到底数え切れません。その中でも、ヨロズヤとして事
業を行なう際の「核」となる教えを厳選しご紹介してまいります。3話目の
今号は、「売れる仕組み」づくりについてまとめてみました。ぜひご笑覧く
ださい。
小さな営業系の会社は企業規模が小さいゆえ、営業職専門の担当者が存在せ
ず、存在しているとしても営業以外の業務も兼任しているか、社長自身がそ
の役割を担っている場合が多いです。
社長が営業を行なっている場合も含め営業担当者が限られている状況では、
売上向上のための活動に充てられる時間も限界があります。さらに、特定の
人に頼り切った状態では、その人に万が一のことが起きた際に企業が負うリ
スクが非常に高くなります。その状況の打開策として、営業担当者を教育に
よって育てておくことが考えられます。ただ、新人の方に教育をしてすぐに
既存の営業担当者と同等の成果を出せるようなスキルを身につけることは困
難です。教育も並行して行ないつつ、営業を効率化する方法として、営業担
当者のスキルに関係なく、お客様が買いたくなるような「仕組み」を作るこ
とが有用なのです。
小さな会社で自ら営業活動を行なうことも多い社長に、お客様が自社の商品
を買う理由を聞いても、「分からない」と答える方が多いと市川は言います。
中には、その理由がなんとなくわかってはいますが、それを明確に言語化し
たことがないから答えられない場合もあるかもしれません。いずれにせよ、
お客様が他の会社の商品ではなく自社の商品を選んでくれる理由や自社の商
品を手に入れたときの感情を考えないまま、ただ漠然と商売をやっている方
は意外に多く見られます。需要超過で何でも物が売れる時代なら何とか乗り
切れるかもしれませんが、供給過多で物がなかなか売れない状況では長く商
売を続けていくのが困難となってしまいます。
ただ漫然と商売を続けるのではなく、自社の商品が売れている理由にある程
度意識的であることが、できる経営者の条件です。それを言語化し、部下に
教え込むのが経営者として重要な役割なのです。自社のお客様がどこにいて、
何が嬉しくて自社の商品を買いに来るのか。自社の強みがわからない状態で
は、「売れる仕組み」を作ることが難しく、手の打ちようもありません。こ
れは、営業会社のみならず、店舗でお客様に販売する形態の事業であっても
全く変わりません。お客様が自社の商品・サービスを買う理由、自社のどん
な対応・仕組みに嬉しがるのかをまずは言語化し、それを従業員との間で共
有していくことが重要です。
ヨロズヤが行なった「売れる仕組み」を作る事例として、エステ店の新規立
上げ事業があります。自社の強みを把握した上でターゲット(=自社のお客
様像)を明確にしていき、接客面やお店のコンセプトなどあらゆる側面でそ
の人に合う方法を考えていきます。また、遊興店の事例ではターゲットに合
わせた「売れる仕組み」がすでに明確だったので、「売れる仕組み」を全社
員が実践できるように、明確になったターゲットの共有により人材育成を効
率化するお手伝いをしました。
ターゲットが明確になれば、お客様が何を嬉しがるか分かるので、自社がす
べきことも見えてきます。ターゲットさえ決めてしまえば、完成まで半分の
地点にたどり着いたようなものです。
実はその「売れる仕組み」を考えて運用していくことが「マーケティング」
です。マーケティングの考え方で商売をやっていくことで、営業担当者や販
売担当者の能力にあまり依存せずに高い成果を上げやすくなります。究極の
マーケティングは営業活動をせずに、「売れる仕組み」を使うことでお客様
側から「買いたい」と求められるようにすることだと言われています。
ヨロズヤは、まさにその「売れる仕組み」を作るお手伝いをしています。売
上がなんとなく下がっているがその理由が分からない。そんな状況がなぜ起
きているのか考えてみませんか。その簡単だけれど目からウロコの考え方を
以下の動画にて分かりやすく説明してみました、以下のURLにて予告編を配
信していますので、ぜひご覧ください。
『小さな会社の社長が知らなきゃマズイ生き残り術!
奥田美幸の簡単オンラインセミナー』
https://kaisha-yorozuya.support/works/webinar-exp-2/
シリーズ3話目の今号も最後までお付き合いいただき、誠にありがとうござ
います。500話発行記念特別号のシリーズ最終話となる次回は、小さな会社
における人材活用の重要性についてお話していきます。
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4 『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR
「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
姉弟子・山口の合同会社アイソリューションが受注した
金属加工会社様のICT活用による業務効率化の案件を
お手伝いすることになりました。
効率的なICT活用を行なうためには、まず業務の見直しを行ないます。
最適な業務の流れに整えてから、具体的なICT活用をあてはめます。
ヨロズヤではICT活用を始めとする生産性改善の
企画と実践のお手伝いにも取り組んでいます。
https://kaisha-yorozuya.support/works/solutionsaboutproductivity-exp/
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5 MSIグループの仕入完了報告
前号に続き、500話発行記念特別号の4号では、感想付きで比較的最近読
ん
だ書籍3冊を紹介します。
■『ビジネスが変わるコグニティブ・サイエンス』 苫米地英人 著
今回の『心象風景』の中にも登場する、洗脳の解除などで有名になった苫
米地英人の著作です。無意識の中に埋め込まれたリミッターを外して、最大
限の能力を発揮する手法をマンガで分かりやすく紹介しています。確かにや
る気に強いブーストがかかりそうに思えます。ただ、どれほどやる気が湧い
ても、やり方を学んでいなくては徒労を重ねるだけです。書籍の紹介には
「『無駄な努力』はもういらない!」とありますが、この書籍ではほとんど
言及されていない適切な方法論の学習をセットにしなくては、余計に無駄な
努力を重ねるリスクがありそうです。
■『「マニュアル」をナメるな! 職場のミスの本当の原因』 中田亨 著
著者は以前『「事務ミス」をナメるな!』という書籍を書いています。職
場でのミスの発生原因を丁寧に分析し、対策のありようを解説した好著でし
た。この作品ではその対策の主要なものであるマニュアルの適切なつくり方
が再び精緻な構成で述べられています。前著ほどの気づきはもたらしません
が、マニュアル作りのマニュアルとして有効な内容です。ただ今回のタイト
ルにある「職場のミスの本当の原因」は前著できちんと分析されているので、
少々ミスタイトルに感じられるのが残念なポイントです。
■『京大式DEEP THINKING』 川上浩司 著
第1章のタイトルにもある「鉛筆で記す人」の事例のように、すぐ答えに
至らないで一見無駄に見えるような思考のプロセスを甘受するといった趣旨
の本です。思考法が分かるというよりも思考に対する姿勢といったものにつ
いての内容です。一つ疑問なのは、この内容が川上教授の個人的な考えでは
なく、京大全学で「京大式」として共有されているものであるのかというこ
とです。
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6 あとがき
会社の萬屋 企画改善請負本舗の奥田美幸による特別原稿は、マーケティ
ングがテーマでした。マーケティングというと、「SNSで集客するテクは分
かっている」や、「宣伝すれば売れるという時代ではない」や、「ウチはも
っといい商品を入れればいいだけだ」など頓珍漢な答えをする経営者が今で
も相当数存在することに驚かされます。マーケティングは売れる仕組みを作
り、実践・維持していくことですから、それが自社の存在意義そのものと言
っていいぐらいの根本的で大事な話です。
マーケティングの理解そのものがそんな調子であることが多いので、売上
向上の対策も滅茶苦茶な話が結構あります。先日も「コロナ禍でお客がゼロ
になった」と絶望する飲食店主に、「お客さんをきちんと囲い込んでいた店
は、売上減でもそれなりにお客が来ていますよ。ロイヤルティを上げる努力
をきちんとしなかったツケと考えて、対策をゼロベースで考えるしかないで
しょう。それとも廃業しますか」と言ってみました。すると驚くべきことに
「お客さんの満足を追求したりするのは、そういうスタイルの店がやること
だろう。ウチはそうじゃないから、関係ない」とその経営者は答えました。
なかなかラジカルな誤解です。そのような脆弱な経営体制しかなければ、通
称「武漢ウイルス」以外の経営環境の悪化でもすぐに干上がってしまってい
たことと思われます。
奥田が言うように、長く続けるビジネスの根幹にはゴーイング・コンサー
ンをベースにしたマーケティングが、きちんと存在していなければなりませ
ん。弊社の事業もそのように考えていて、現在のクライアントさんにも差別
化の効いたサービスを長く提供していくために、奥田に色々なことを教え込
んでいます。
奥田は将来このメルマガ発行も引き継ぐと言ってくれているので、その事
前演習も兼ねて、現在の中小零細企業の経営を考える上で重要で、尚且つ21
年前から続く当コラムのスタイルの中に欠けている要素を奥田に付け足して
もらおうかと考え至りました。パッと考えつくのは、ICT活用の分野です。
通称「武漢ウイルス」の流行の中でも、ビッグサイトなどで再開されるよ
うになった展示会のテーマの多くはICT系のもので、必ずしも自社「情シス
部門」を擁する大手企業向けの商材だけではありません。日進月歩の技術は、
じわじわと中小零細企業でも十分活用できる範囲ににじり寄ってきています。
当コラムでは、過去数回にわたって周年記念特別号でICT系のテーマを扱っ
てきましたが、ソリアズ本文のテーマとしてはより本質的な経営の事象を
扱うことが多く、ICTの活用の面では穴が開いたままでした。
そこで1月25日号から、中小零細企業での活用を考える切り口で、各種の
ICT用語を大胆なまでに分かりやすく解説する記事枠を設けることとしまし
た。ITパスポート保持者の奥田が毎号月二回、一用語ずつ解説していきます。
題して『萬屋のもっと深く愛してい』。
自社のどこのどんな業務プロセスにどんな技術をどうやって導入し、どん
な仕組みを実現して、どんな成果を得るか。その面倒な問いをじっくり考え
る所から、中小零細企業のICT活用は始まります。そのきっかけを分かりや
すい文章で提供する新記事枠『萬屋のもっと深く愛してい』にご期待くださ
い。
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
bizcom@msi-group.org
このメールマガジンは、
インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して
発行しています。
(http://www.mag2.com/ )
毎月10日・25日発行 盆暮れ年始、一切休まずまる21年。
そしてとうとう500話到達!
マガジンID:0000019921 (ナント、たった5ケタ)
★弊社代表のコラムが色々満載。
ソリアズのバックナンバーも各号の全文が読める新設ブログ。
『脱兎見!東京キネマ』もこちらで御覧下さい。
http://tales.msi-group.org/
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http://msi-group.org/msi-profile/saf-index/
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7 次号予告
シリーズ『回路明察』の第四弾は、『空気製造職』と題して、AI搭載のシ
ステムや機械群が人間の仕事を肩代わりしていく中で、人間が仕事の主要な
分野の一つについて考えてみます。ご期待下さい。
(完)