147 笑えるスキル =感情の労働=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第147号
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ご愛読ありがとうございます。第147話をお届けします。

とうとうテレビでも桜前線が話題となる時期になりました。皆様は如何お過
ごしでしょうか。私にとっては約二ヶ月に渡る花粉症との闘いの始まりでして、
既に抗ヒスタミン剤で眠い日々を送っております。

さて、今号は前回からの続きで、二回連続のシリーズ『感情の労働』の二回
目です。感情労働を考える時、やはり、心より意図しないにも関わらず、職業
上の笑みを浮かべなくてはならない所が、一番単純化した問題の図式のように
思われます。そこで、今回の号は、その笑みに関して考えてみました。ご意見
・ご感想お待ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5
営業日!!
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その147:笑えるスキル =感情の労働 (2)=

「日本人にとって、目を合わせて人に向かうのは失礼だった訳です。時代劇で
も、偉い方は御簾に隠れていたり、下の人がお辞儀をしながら話をしますね。
それで、今の日本人も、相手を直視しなくてはならない会話では、敵意がない
ことを示すために、にこやかな顔で話を聞くことになるんですよ。ところが、
向うではそうではありません。もともと相手の目を見つめて話を聞くのが当り
前で、目をそらすことは無関心や無視の表現です。笑うのは、笑うべき内容の
時だけで、それ以外の時に笑うのは異常に映ります。だから、人と会話する時
は、目を見つめて、笑わないようにして、適切な区切りで、相槌を打って下さ
い」。

留学直前に、お世話になった福原先生からこんなに丁寧に説明されていたの
に、渡米して相手をごく近距離で見つめ、笑みをこらえることは至難の技だっ
た。ついニコニコしてしまうと、「何が可笑しい」と不愉快な顔で詰問された。
確かに向うでテレビドラマを見ていて、初対面でニコニコ近づいて来る登場人
物は、大抵下心ある役どころである。実生活でも、貼り付いたような笑みで私
を迎えるのは、留学生担当アドバイザー、保険屋のエージェントなど、笑うこ
とを職業の一貫と割りきれるほどに職業意識の高い人々であったように記憶す
る。

年単位の留学生活を経て、脱「笑い」が身に付くと、帰国後の成田空港の喫
茶店で話す人々が視線をそらしつつ話し、視線を交わすと微笑む様子が、とて
も無気味に見えるようになる。二十年近く前でも、この国では、工事現場脇の
誘導係でさえ、微笑むことが良しとされていた。総合病院の待合室に行くと、
「斉藤先生だと、無愛想なので、余計病気が悪くなるような気がする」などと
長く通う患者が話していたりする。「愛想がなくても、医術の技が素晴らしけ
れば問題ない」と主張する声はあまり聞こえてこない。

日本でも米国発のマニュアル式店員教育が導入され始めた頃、某ハンバーガ
ー店では「スマイル ¥0」とメニューにあるのが話題となった。日本人なら、
「笑みを商売の現場に徹底すべき」との高尚な教えと解釈すべきだろうか。普
通の店員を仕事で笑わせるのは彼の国なら容易ではない。「スマイル ¥0」
と掲げるのは、「金を取れるつもりで、割りきって笑え」と言う一般店員への
訓示ではなかったか。その米国では、感情労働者と言う定義が生まれ、感情を
コントロールすることに疲れ、精神を病む者が出ると言う。ケアする体制を作
るほどに、笑うことは特別なスキルと位置付けられて行く。

「いやあ、市川さん、コンサルティングも正に今流行りの感情労働ですよ、本
当に」などと、或る会合で言われる。
「ええと、そうすると、笑えることはヒューマン・スキルなんですか、それと
もスペシャリストになれるようなテクニカル・スキルなんでしょうか。笑える
ことのスペシャリストって、なんだか食って行けなさそうですね」と答えて怪
訝な顔をされた。
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次号予告: 第148号 『発話の要否』 (3月25日発行)
お客様のニーズや意向が分からないと言う場面になると、簡単にアンケート
を取ろうという話が持ち上がるようです。「分からない、分からない」と言わ
れるお客様のニーズ。それを理解するツールとしてのアンケートを考えてみま
した。ご期待下さい。(完)