495 最強の経営者

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経営コラム SOLID AS FAITH 第495号
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 ご愛読ありがとうございます。第495話をお届けします。

 10年以上も昔からずっと「いつか一度行ってみたいもんやね」と思い続け
てきて、そのまま重い腰を上げることがなかったことにとうとう取り組むこ
ととなりました。まだ一度も行ったことのない鹿児島県の或る商業施設で買
い物体験をするために、あなたがこのメールマガジンを受け取った翌日に出
立します。

 地方の人口はどんどん減少していきます。「若者は将来に不安があるから
子供など作っていられない」とか、「そんな不安ある社会を作っている政府
が悪い」などと政府の少子化対策の不備を論う論調をよく耳にしますが、多
分大きな間違いです。当時を舞台にした小説などを読むと、B29が頻繁に東
京を焼き尽くし、未知の大量破壊兵器ピカドンが日本の二都市を焼失させた
直後でも、たくさん子供は生まれていたことが分かります。
 
 世界初の核戦争が勃発すると全世界に緊張が走ったキューバ危機の時にも、
恐怖の大王が空から降臨すると日本人の多くが信じていた様な際にも、たく
さん子供は生まれています。むしろ、丙午の年であることの方が、出産に大
きな影響があったかもしれません。
 
 ですから、社会不安や経済不安以外の理由で子供はどんどん減って、多分
政府の施策もあまり功を奏さないでしょう。当分人口もどんどん減り続けま
す。それも(あくまでも全体的な傾向で見ると)東名阪以外の地域から優先
的にどんどん人が消えていきます。そんな中で、商業はどうあるべきか。地
域経済はどうあるべきか。そんなことを考えるヒントを、弟子が「じゃあ、
行けばいいじゃないですか」と気軽に手配してくれて、あっさり実現するこ
とになったこの旅行で得られたら良いものと思っています。
 
 今回の号は『最強の経営者』と題して、オーナー経営者が本来持つ強みに
関して考えてみたものです。オーナー経営者最強説には一応根拠があると経
済誌に書かれていました。そのオーナー経営者は上場企業の人々です。国内
に存在する企業の9割に及ぶ中小零細企業のオーナー経営者は同じく最強で
あるのか否か、少々答えを探してみました。ご一緒にお愉しみ戴けたら幸い
です。期せずして奥田美幸の『萬屋日和』もオーナー経営者に関わる内容で
す。合わせてご笑覧賜れればと思います。ご意見・ご感想をお待ちしており
ます。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その495:最強の経営者

 表紙にドーンと『オーナー社長 最強列伝』と書かれた2018年の『週刊ダ
イヤモンド』を書棚から取ってその特集記事を久々に読んでみた。その中に
紹介されている『ファミリービジネス白書2018』によると、オーナー経営者
率いる同族企業の収益性も安全性も他の企業全体に比して抜きんでているら
しい。ROAも、オーナー企業群の平均値は、記事の中のグラフで1996年以降
一度たりとも非オーナー企業群のそれを下回ったことがない。
 
 記事では、オーナー社長が雇われ社長に比べて秀でた経営を行なうのには、
いくつかの理由があるとされているが、大きく二点に集約できそうだ。一つ
は30年先さえも見据えた長期的な視点からの経営判断を積み重ねられること。
日本電産の永守重信会長兼社長のM&A戦略などが紹介されている。もう一つ
は大きなリスクを引き受けられ、失敗の際には撤収の判断も早いこと。鳴り
物入りで参入した野菜事業から僅か1年余りでスピード撤退した柳井正会長
兼社長のエピソードなどが挙げられている。
 
 まとめると、オーナー経営者は、長期的視野で事業を行ない、機を見て大
きなリスクさえ引き受ける判断を下す攻めの経営ができるということだろう。
意見の偏りを避けようとしたのか、記事は雇われ社長を「守りに強いが変化
に対応しにくい」と表現している。中小零細企業のオーナー経営者を見渡す
と、それが創業者であれ二代目以降の経営者であれ、目先の状況に振り回さ
れている経営者は山ほどいるし、サンク・コストやしがらみや見栄に引きず
られてずるずると赤字を垂れ流し続ける経営者もやたらに思い当たる。
 
 以前のこのコラムの『危機中毒』にも書いた通り、留学時代に読込んだミ
ンツバーグの書いた組織心理学の教科書を捲ってみることが時々ある。ミン
ツバーグによる組織の五大分類の最初は「シンプル・ストラクチャー」。一
人の人間が自分の手足となって働く者達を直接指揮する「文鎮型組織」の形
態。読んでは、なるほどと頷く。5つの組織形態の中で、最も機動性が高く、
変化に柔軟に対応できるが、結局は指揮者に万一のことがあれば大変なこと
になるばかりか、個人の判断に左右されるリスクも非常に大きいとある。

 組織を構成する人数が50人以下ぐらいの非上場企業はほぼ全てが、オーナ
ー経営者がトップに立つ文鎮型組織だろう。バブル崩壊やリーマン・ショッ
ク、急な円高や消費税増税でも、それどころか、環境保護をヒステリックに
訴えるスウェーデンの少女のおかしな不登校理由でも、バタバタとこうした
中小零細企業は潰れていく。最も機動性が高く、変化に柔軟に対応できる組
織を率いてさえも、淘汰されるオーナー経営者達。ミンツバーグの説明に拠
れば、本人達に万一のことがなかったのであれば、個人の判断が余程不適切
なものだったということなのだろう。

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■第136話『危機中毒』 http://tales.msi-group.org/?p=188
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

全く信じ難いことですが、
1999年10月末日の創刊から毎月二話ずつを発行し続けて、
とうとう500話に達しようとしています。
続けるコツも秘訣もありませんが、
何となく今に至ることができました。
読者のあなたに心より御礼申し上げます。

そして、10月末日には今年も恒例の21周年記念特別号が発行です。
今年は話が長くなってしまったので、二回に分けて、
10月末日と11月末日の二回のタイミングで、
前篇と後篇を発行します。
原稿は漸く7割以上完成しました。

『自然派宣言』と題して、
『言ってはいけない』並みにヤバいネタを
『ゴーマニズム宣言』並みに躊躇いなく、
二ヶ月に渡ってお届けします。

FACTFULNESSが流行のようですので、
敢えて時流に乗って、
FACTFULNESSに人はどれだけ耐え得るのかに
挑戦してみます。

ご期待ください。

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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
中小零細企業のオーナー経営者は、
常に「不安」・「孤独」・「猜疑心」を抱えており、
その想いを理解することが大切だと師匠の市川はよく口にします。

そこで、オーナー経営者の考え方やオーナー企業の強み、
良いオーナー経営者の共通点をレポートにまとめました。
以下からダウンロードしていただけますので、ぜひご一読ください。

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『札幌市民のための16歳からのキャリア論』 常見陽平 著
■『米陸軍戦略大学校テキスト 孫子とクラウゼヴィッツ』 M・ハンデル 著
■『胃腸を最速で強くする …』 奥田昌子 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
下のアドレスにご意見・ご感想を頂ければ幸いです。
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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次号予告:
 第496話 『変態志向』 (9月25日発行) 
 労働者協同組合という新しい組織の形について説明を受ける機会を得まし
た。次代の社会のトレンドに合っているというその組織の構造を聞いて、考
えたことをまとめてみました。

(完)