494 見えない頸木  =ハイパー・パイパー=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第494号
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 ご愛読ありがとうございます。第494話をお届けします。

 通称「武漢ウイルス」が中小零細企業経営に及ぼす影響について考えてき
た4回シリーズ『ハイパー・パイパー』も、漸く最終話に至りました。「ヤバ
い話が多い」と好評のようで、内容について時々一言単位の感想をお聞かせ
いただくこともあります。

 ただ、そのような感想をお聞かせいただく割には、シリーズ・タイトルの
意味を尋ねられたことがなく、「世の中にはめっちゃ察しの良い人が増えた
んかいな」と弊社代表の市川は思っているようです。
 
 4話に至るシリーズはかなり久しぶりです。2016年の400話記念特別号でさ
え、3話シリーズ『相違と多様』で、4話を超えるシリーズは2015年の未曽有
の7話シリーズ『これからの生活』以来です。それだけ通称「武漢ウイルス」
の空騒ぎは、世の中に流布浸透したのということなのでしょう。今回の『ハ
イパー・パイパー』が読者のあなたの一考を促したのであれば、とても嬉し
く思います。
 
 最終話の『見えない頸木』は、新しい働き方の現実を見つめてみた内容で
す。これから社会全体で顕在化するであろう労働をめぐる艱難辛苦を少々想
像してみました。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その494:見えない頸木 シリーズ『ハイパー・パイパー』(4)

 私は現在の労働法の「工場で大量生産のための単純労働を日がな一日続け
る労働モデル」の前提が完全に現状に合わなくなったと思っている。オカミ
によると、労働者は決められた時間に決められた職場で決められた仕事をす
ることで決められた賃金をもらうことになっている。だから、気が利かない
社員や物覚えが悪くて何度も同じミスをする社員、風体や人相でお客から敬
遠される社員など、解雇を争って裁判所に行けば会社側がほぼ確実に負ける。
多くの中小零細企業のオーナー経営者の嘆息を今まで何度も聞いてきた。一
方でほぼ毎日遅刻をするとか決められた場所に現れない社員などは格段に解
雇しやすい。
 
 通称「武漢ウイルス」が蔓延している中で、奴隷根性が露呈したのか、全
く根拠に乏しいオカミの脅しに従って、自ら大切な顧客との縁を切って商売
を自粛する企業の様子が「惨状」として報道されている。たまにはコントラ
ストが必要と、「惨状」の中で空前のバカ儲けの企業事例もたまに紹介され
る。その一つは、テレワークの管理システム開発会社。

 お役所の指導で、「賃金を払うに値する労働」は「既定の職場に既定の時
間枠の間、存在すること」だったのに、今度は出勤するなという。感染して
も9割は無症状で死者発生数も全然際立たない感染症を防ぐために、テレワー
クを急遽導入せよと言い出した。出来高で管理するのは労基的な方針に合っ
ていない。ただ職場に存在せよというのなら、テレワークの場合、カメラの
前にただ座っていれば賃金を貰えることになる。その管理を自動的に行なう
ため、PCの前に座っていた時間やキーボードを叩き続けた時間を計測するシ
ステムが求められ、「遠隔地での存在証明」が試行錯誤されている。
 
 労働者の年齢も健康状態もスキルも就業意欲も全く関係なく、オカミは会
ったこともなく書類を見たこともない人間に、「これ以上働いてはダメです」
とはた迷惑にも言い募り、最大残業時間数を規定した。全く個人の人間性も
働く自由も無視したこの扱いは、被雇用者を人間と見做してないに等しいと
私は秘かに思っている。けれども、世の中の趨勢は奴隷根性丸出しの施策が
世界のトレンドだと歓迎するものだった。
 
 テレワークが普及すれば、今まで職場に来ても何か実効的な成果を出すこ
となく「労働」していたことになっていた人々が炙り出される。そして彼ら
が職場にいなくても仕事はどんどん進められる構造も明白になる。おまけに
テレワークを問題なくこなすのに必要な個々人のIT知識の程度まで露見す
る。
 
 職場の頸木に繋がれていた人々はテレワークの普及で解放されたのではな
い。自粛企業群の自ら招いた「惨状」と違い、無自覚の「惨状」が多くの被
雇用者に迫っているようだ。

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次号予告:
 第495話 『最強の経営者』 (9月10日発行) 
 大手企業の経営においても、オーナー経営者による経営が見直されてきて
いると聞きます。オーナー経営者による経営がほとんどの中小零細企業の経
営を考えてみます。

(完)