492 使徒頻来 =ハイパー・パイパー=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第492号
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 ご愛読ありがとうございます。第492話をお届けします。

 平日の昼間に新宿西口を歩いていると、「某国営放送」と揶揄されること
の多いテレビ局のアナウンサーとクルーの3人に呼び止められ、「GO TOキャ
ンペーン」から始まり、通称「武漢ウイルス」についての意見を求められま
した。その日の夜のニュースの時間に放送される予定だとのことでした。

 先日、某特別区のベテラン区議会議員の方のお話を伺う機会がありました
が、「23区の保健所は都に牛耳られていて、『都の方から極力検査をしない
で、感染者の発見をしないように』」とお触れがずっと出ていた」とのこと
でした。単純に、発表されるその日の感染者数を記録しておいて、数日前の
分をテレビのグラフでチェックすると、値が変更されていたりさえします。
ファクトフルネスなどという流行がある中で、全く分析にも値しない適当な
恣意的に作り上げられた数字と考えても良いかもしれません。そのような数
字で、一喜一憂したり、さらには、悪者探しをしたりすることが馬鹿げてい
るように感じられます。
 
 弊社では通称「武漢ウイルス」に対して通常のインフルエンザ程度の入念
な対応をとれば十分と考えています。空騒ぎに振り回されることなく、当た
り前にやるべきことをやっていきたいと考えています。そんな観点から中小
零細企業の経営を考えてみた4回シリーズ『ハイパー・パイパー』の第二話
目をお届けします。

 タイトルは『使徒頻来』。通称「武漢ウイルス」騒ぎであからさまになっ
た、企業のお客様のロイヤルティについて考えてみた内容です。お愉しみ戴
ければ幸いです。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想な
どへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その492:使徒頻来 シリーズ『ハイパー・パイパー』(2)

「礼拝できないぐらいなら、感染して殉教した方がましだ」。「人のいない
モスクは見たくない」。「疫病を取り除くためには神に近づくべきだ」。
 イスラムのどこかの国のニュース画像の下に、路上で人々が叫んでいる言
葉が翻訳されている。2020年3月下旬。通称「武漢ウイルス」の世界的な蔓
延により、メッカなどを含む聖地を閉鎖された挙句に、巡礼に向けて出掛け
ることさえ許されないとされつつある人々。感染の上、殉教さえ厭わぬ人々
の続出に政府は頭を痛め、軍の出動を検討せざるを得なくなっていると報道
されている。

 自衛隊の出動をあまり考えていない日本でさえ、偉い人々が「不要不急」
の用事では出掛けるなと外出自粛を呼び掛けている。イスラム圏の人々にと
って、聖地巡礼や寺院での礼拝は、到底不要不急ではないどころか、生きる
ことそのものにさえ優先する重要なものであったということなのかもしれな
い。

 通称「武漢ウイルス」が広まって、所謂「三密」が揃って感染クラスター
が発生しやすいと政府から名指しされた雀荘も飲食店もクライアントに存在
する。パチンコ店も現在直接のクライアントは存在しないが、状況をそれな
りに知る立場にいる。不思議なことに、お客様がまるっきりいない店が存在
する一方で、「不要不急」の外出の自粛を政府が呼び掛けても、「三密」の
具体例を挙げても、殆ど客足に影響のない店もある。立地の問題でもなけれ
ば、業態の問題でもない。その来店が来店者にとって日常の一部になってお
り、「不要不急」とは認識されない店は売上を落とさず、「不要不急」と認
識された店は「自粛」対象にされる単純な原理によるように見える。

 嘗て、ハーバード大学で教えるヘスケットは、お客様をそのロイヤルティ
によって、「敵対者」、「傭兵」、「忠誠者」、「伝播的忠誠者」、「使徒」
の五段階に分類した。お客様ロイヤルティが後者に向かい高まっていくと、
お客様満足度も強い相関をもって高まるという。この流れから外れた位置に
いて、満足度が低いのに、その商品を何かの制約などから買い続けなくては
ならない見かけ上ロイヤルティが高い人々を彼は「人質」と呼ぶ。

「顧客ロイヤリティが5%向上するだけで、企業利益は25%から85%も増加
する」と妙にアバウトな説を彼と共同研究者は唱えていると何かで読んだ。
ロイヤルティが高い「忠誠者」、「伝播的忠誠者」、「使徒」は、販促も受
けずに再来店し、新たなお客様も勧誘し、おまけに店の勧めに応じて何でも
購入する。熱く焼けつく大地の人々同様、命さえ顧みないような使徒を多数
抱える優れた店は、ウイルス蔓延の渦中にあっても繁盛し続けるのだろう。
可視化された高ロイヤルティは淘汰の波さえ寄せ付けない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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今年の秋以降、当コラムは記念特別号が二種類発行されます。
約4年に1度の大サービスの年です。

一つは500話発行記念特別号です。
500話から503話までの4回のシリーズで
中小零細企業の現場目線で「インサイト」を扱ってみます。

もう一つは21周年記念特別号です。
いつもの通り、
毎年恒例の10月末日に発行する予定でしたが、
中身が盛りだくさんになってしまい、
10月末日に前編、11月末日に後編を
発行しようかと考えています。

テーマは『自然派宣言』です。
と言っても、アウトドア生活とか、
ロハスとかマクロビとかの話ではありません。

ルーシーと呼ばれる
アウストラロピテクス(猿人)の女性が
生きていたのは400万年前ぐらいで、
原人と呼ばれるホモ・ハビリスが現れたのは
200万年前ぐらいです。

人間の脳の構造も基本的な機能も
この頃からほとんど変わっていません。
カラダの基本的な働きも大きく変わってはいません。

今の人間とほぼ変わらないと言われる
クロマニヨン人ですら、20万年以上前からいます。
国家を作るとか、文明を築いたのは
たった数千年前からのことです。
つまり、人間の脳も肉体も、
クロマニヨン人の生活の方に合わせてできています。

当たり前ですが、
クロマニヨン人は数千とか数万の単位で集団生活を
することがありませんでした。
多分、それが理由で、
大手企業の組織運営は色々と無理が出ます。

クロマニヨン人は5年先の計画など立てる必要がありません。
だから長期的で合理的に立案された計画は頻繁に外れます。

こんな風に、文明がどれだけ進歩しようと、
人間そのものはクロマニヨン人と同じなら、
企業経営もその人事戦略も全部、
クロマニヨン人でも無理のないものであった方が
適切であることになります。

人間に元々備わっている自然な脳と肉体が
適応しやすい組織の在り方を考える。
それが21周年記念特別号の『自然派宣言』のテーマです。

ご期待ください。

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「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
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■『働かない技術』 新井健一 著
■『行動経済学入門』 多田洋介 著
■『日本の気配』 武田砂鉄 著
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次号予告:
 第493話 『町内会活動』 シリーズ『ハイパー・パイパー』
 (8月10日発行) 
 リバタリアニズムという考え方があります。政府の役割を可能な限り小さ
くすべきとする考え方です。政府が合理的根拠を欠く自粛要請を重ねる中、
リバタリアンの人々が怒りの論陣を張るのかと思えば、そうではないようで
した。少々リバタリアン気味な立場からこの問題を考えてみます。

(完)