133 静物画の役割 =林檎の教え=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第133号
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ご愛読ありがとうございます。第133話をお届けします。

暑い日々が続いていおりますが、皆様は如何お過ごしでしょうか。夏休みの
ご計画は既に“立案済み”のことと思います。私は、大学生達の最終レポート
の採点と、8月から9月に新たに始まる勉強会サービスの準備に追われており
ます。最近ご好評の勉強会のサービスにつきまして、PR欄にまとめてみまし
たので、ご高覧下さい。

さて、今回の号は、久々の二話連続のシリーズで、題して『林檎の教え』の
二回目です。前号が経営理念や経営方針を扱ったのに対して、第二回目の今回
は、経営計画・事業計画の意義について考えてみます。

あるべき姿を紙に落し込むのが苦手な私は、事業計画や賃金体系などに関わ
るお仕事のご依頼は、「ルールを破るのは得意ですが、ルールを作ったり守っ
たりするのは苦手ですので」と信頼できる知人に回してしまいます。そんな弊
社の“方針”を知って頂けましたら幸いです。ご意見・ご感想お待ちしており
ます。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その133:静物画の役割  =林檎の教え(2)=

「経営計画とか事業ドメインの設定をするって、ヤッパリ難しいですよね」と
今度会社を辞めて独立事業者になる彼が言う。事務所を構える訳でもなければ、
人を雇う予定があるでもない。まして、金を借りて設備を買う訳でもなければ、
店舗を持ちもしない。

そんな彼に、「経営計画って立てるもんなの?そんなの金貸しを安心させる
ためのもんだと思ってた。事業ドメインって、目先の取れそうな仕事があるん
だったら、その二、三の案件を含めて矛盾がないように、適当にでっち上げた
ら良いだけの話でしょ。どうせ、頼まれた商売は、まずは一旦受ける覚悟の独
立なんだから、ドメインなんか必要ないよ」と答えて驚かれる。

今は傾き、消え入らんとする大手企業の子会社の契約社員だった。そこでは、
幹部が四半期に一度、全国から集まり、自分の担当する事業の現状と今後の展
開を高らかに謳い上げる会議が開かれる。私が所属していた部署の幹部は、通
称“パワポ大魔王”で、全社に先駆けて美しいプレゼンテーション資料で発表
を行った人物である。彼が資料作成に費やすまるまる2日間は、慣れない他幹
部の3日間、4日間となって全社に伝染した。しかし、資料に謳われた事柄の
多くはその実現を見ることがない。

優れた経営手腕によって実現した経営計画を単に私が知らないだけなのか。
それとも幾多の資料に描かれた経営計画は紙のままに終わるのが宿命なのか。
私が大好きな米国の組織心理学者ミンツバーグの“The Rise and Fall of
Strategic Planning”は直訳すると、「戦略的計画の勃興と凋落」。これほど
に痛快な研究書を、私は今だかつて読んだことがない。情報システム構築の会
社にいた頃、「社内システムは完成した瞬間から陳腐化を始める」と習った。
陳腐化の速度なら、経営計画の方が数十倍早い。

百人に満たない社員に会社の目指す所を示すため、或る社長がエクセルに向
かってウンウン唸って、終いに私に言う。
「おまえ、こんな仕事も代行できるのか」。
「ああ、そう言う仕事苦手なんです。私の好きな或る歌の中で、カレシにカノ
ジョが言うんですよ。写真を撮られるのが嫌だと。その訳が『写真になっちゃ
えば私が古くなる』と言うことなんです。組織もおんなじで、生きているもん
ですから、そんな絵づらを見せなくても、その変化や躍動感を、組織そのもの
を通じて体感させたらだめなんでしょうか。社員にはそっちの方が余程効き目
がある様に思いますけど」と聞き、社長は考え込む。

「よく、林檎の写真やスケッチが、美術の習作として展示されていますよね。
ああ言うのは誰が何のために観賞するんでしょうか。まさに絵に描いた餅で、
『食べたら美味しいだろうね』と言われるよりも、さっさとそれを現実に食べ
させて貰うか、自分でそれを得られる喜びを体感した方が嬉しいと、つい思っ
てしまうんですが」と、野卑な私は言ってみた。
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次号予告: 第134号 ラストリゾート(8月25日発行)
ICと言う言葉をご存知でしょうか。インディペンデント・コントラクタと
言って、「雇われることも雇うことも無い独立した業務請負者」の立場を指す
ようです。ICとして独立する中高年人材について考えてみました。(完)