460 零下15度の融点 =平成ライダーズ=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第460号
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 ご愛読ありがとうございます。第460話をお届けします。

 新宿で寝泊まりしているマンションの近くのATMが撤去されました。最近
読んだ『捨てられる銀行』シリーズ三冊でも、金融機関に普通の企業のよう
な経営感覚が求められている様子が描かれていました。RPAの導入が主たる
要因との噂を聞きますが、10000人規模の人員削減をメガバンクの殆どが打
ち出すというのは尋常なことではありません。

「移民受け入れに舵を切った」と騒がれていた入管法改正は、『未来年表
人口減少危機論のウソ』によれば、寧ろ“管理を徹底する側面が強い”よう
に書かれていましたが、現実に外国人労働者は以前より減り始めたというニ
ュースがちらほら出るようになりました。景気後退の局面では、より稼げる
国へ外国人労働者はどんどんシフトしていくことでしょう。不況を生き抜き
つつある企業には仕事が集中して繁忙を極めているのに、いざ雇おうとして
もロクな人材が雇えない。そんな時代が既に始まっているように感じます。

 PR欄では、4月の有休取得必須化を前にして、自社の既存人員を抱えるリ
スクとコストがどんどん膨らむことを改めて考え直してみる内容を載せてみ
ました。題して「既存社員を(段階的に)非雇用化する」です。是非ご高覧
ください。

 今回のシリーズ『平成ライダーズ』は、配車アプリやライドシェア、国内
では白タク行為になってしまうビジネス・モデル、そして自動運転車などで
揺れに揺れているタクシー業界をモチーフに、ICT技術の発展を背景にした
規制緩和について考えてみます。ご意見・ご感想お待ちしております。頂戴
したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!

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その460:零下15度の融点 =平成ライダーズ(2)=

 年の瀬が近い頃、東京から札幌に帰ろうとしたら、豪雪で道央地区の交通
が寸断されている状態になっていた。降りしきる雪の量が一定以上になると、
空港の滑走路も除雪が間に合わなくなる。毎日羽田空港に通い、漸く3日目
の午前中の便で新千歳空港に到着した。
 
 JRは全く動く目途がたたず、バスも徐行運転前提で間引きされている。仕
方なく空港屋外のタクシー乗り場に行ったが、そこには50人以上の人が並ん
でいた。乗り場にタクシーが1時間に1台も止まることはなかった。しかし、
5分に1台以上の頻度で空車が目の前を素通りする。この気温が常識化して
いる私でさえ凍える中、土気色の顔になり始めしゃがみ込む旅行者もいる。
事態が飲み込めない外国人観光客も何事かを騒ぎ始めた。
 
 素通りしようとした1台のタクシーに私と数人が、「おい。いい加減にし
ろ。止まれ。人を乗せないで何のためのタクシーだ」と怒号を浴びせかける。
中の運転手は徐行しながら首を横に振って通過して行った。すると、列の中
に妻子を置いて一人の30過ぎの男が車道に飛び出て、空車を身を挺して止め
た。わっと人々が駆け寄り、窓を開けさせ運転手に詰め寄った。「札幌から
人を乗せてきただけなんで、札幌のタクシーは規則でここで人を乗せちゃ行
けないんです。千歳のタクシーが来るのを待っていてください」と運転手は
慄いて言った。誰一人納得しない。後続の空車もみるみる止められて同じ目
に合った。

「それじゃ。乗せますから、車に乗る前に本社に電話してください。迎車で
来たってことなら、ルール違反にならないんで。それだけは協力してくださ
い」と、路上で吊るし上げられた運転手の一人が苦悩を顔に浮かべて言った。
「なんだ。それなら早くそう言え」とスマホ片手にどんどん列の人々はタク
シーに乗り込んでいった。

 自動運転車の脅威のせいか、タクシーの運転手がお客様満足を自分達が如
何に意識しているかを語ることが増えているように感じる。単なる運転だけ
ではないサービスが確かにあるべきと私も思う。そんな時、私はあの豪雪の
日の暴動について話すことにしている。

「個人タクシーならいざ知らず、会社のタクシーさんが零下15度の屋外にお
客を大量に放置して平気で通り過ぎることができるってことですよね。こち
らが迫らなければ、“迎車工作”さえ提案することもなかった。私なら『こ
こぞ稼ぎ時』とばかりに、100均で画用紙を買って『本社に電話して貰えるな
らすぐ乗せます』と貼り出しますけどね。おまけに、下手をすると死人を出
すような状況だったのに、『ああいうことは間違っている』と声を上げる運
転手も、署名運動する運転手も全くいないらしい。それで挨拶や言葉遣い程
度のお客様満足論ですか。私なら自動運転車でも構わないので凍え死なない
車に乗りますよ」。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】

働き方改革が“動き”始めます!
社員やスタッフを抱えるコストとリスクは上がる一方です。
自社の存続のために…

「いっそ、社内に社員を存在させないことにする!」
という選択肢はいかがでしょう?

しかし、社員だけを減らしても、
「同一労働同一賃金」の原則も法制化されて行きますから、
アルバイト・スタッフでも、パート社員でも、
基本は同じことになります。それなら…

「いっそ、社内に雇用されている人間を存在させないことにする!」
という選択肢はいかがでしょう?

何を誰にさせるかを考えて決める役員数人と…
人工知能めいたシステムやら、自動機械があって、
その周辺で現場の業務を進めるのは業務委託契約のスタッフだけ。
これであれば、雇用されている人間はゼロです。

雇用されている人間は、抱えるコストもリスクも高いのですから、
これからは贅沢品になります!
贅沢品はおいそれと使えなくなる時代が来ます。

弊社では、「既存社員を(段階的に)非雇用化する」企画の
立案と実施支援を行なっています。

既存社員を非雇用化すると、
ケース・バイ・ケースですが、概ね…

◎法律で決められた労働者の管理監督責任から解放される。
◎複雑な給与計算や各種労務管理手続きから解放される。
◎雇用によって発生する各種のリスクが或る程度抑制できる。
◎解雇の必要性がなくなる。
◎消費税の納付額が激減する。

などの数々のメリットがあります。

既存社員を(段階的に)非雇用化する!

関連情報を弊社ウェブサイトにまとめてみました。
是非ご高覧ください。
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ご関心を賜れましたら、メールでお気軽にご一報ください。
 bizcom@msi-group.org

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『もうすぐ絶滅するという煙草について』 芥川龍之介 他 著
■『なぜあなたのECサイトは価格で勝負するのか?』 尼口友厚 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第461話 『ハンガー・ゲーム』
 シリーズ『比較優位の夢』(4月10日発行) 
 社会における格差が広がっていると言われて久しいですが、他の多くの先
進国に比べると、国内の格差など殆どとるに足らないように感じられます。
シリーズ『平成ライダーズ』を終えて、今度は格差について考える二話シリ
ーズ『比較優位の夢』が始まります。

(完)