396 死に絶えるべき人々

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消失したものです。弊社にて過去のデータを浚い、概ね回復しましたが、
一部に当初ページ・コンテンツのアップ時とは異なっている可能性があります。
ご了承ください。
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経営コラム SOLID AS FAITH 第396号
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 ご愛読ありがとうございます。第396話をお届けします。

 暑くなってまいりました。暑いのが好きな弊社代表は毎日ヘラヘラ過ごして
おります。クライアント企業さんの勉強会参加者の方々に、こちらから薦める
こともあれば、先方からご希望のこともあって、このメルマガの読者数が久々
に逓増傾向にあります。

 コンプライアンスやコーポレート・ガバナンスなど、大手企業のタテマエ型
経営のキャッチ・フレーズには大分手垢が着いて、巷間から消え入りつつある
ようです。しかし、現実には、中小零細企業の経営の現場にも、この手の奇麗
事が幅を聞かせる場面が増えていて、あちこちで耳目にするようになっていま
す。
 
 そんな中で、『経営コラム SOLID AS FAITH』は、創刊以来の中小零細企業
の経営観・現場感を見失うことなく、ダラダラと発信を続けて行きたいと思っ
ています。我田引水の感がありますが、「うっそぉ。小さい会社って、ただ小
さいだけかと思ってたけど、大手と全然考え方が違うんだなぁ」などと、感嘆
されること頻りの弊社代表の考えを文字に定着させていきます。世の中的には
珍しいコンテンツをこれからも発信し続けますので、400号を経て、17周年を
経ても、よろしくお付き合いください。

 今回は『死に絶えるべき人々』と題して、組織の中の価値観の遷移に当って、
組織の人々はどのように変化するのかをちょっとまじめに考えてみた内容です。
実際に弊社が長年お付き合いして戴いている多くのクライアント企業さんで発
生している現象を一つの事例にまとめてみました。一緒に御一考賜れたら幸で
す。本文に対するご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想など
へのお返事の目標納期は5営業日!!
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その396:死に絶えるべき人々

「ちょっとこっちで話をしましょう。お伝えしておかなければならないことが
あるので…」。
 常務は毎月定例の勉強会に現れた私を応接室に通した。悲観的な私は思い当
たる理由もないのに、6年以上続いている案件を止める話かと、半自動的に覚
悟を固めていたが、そうではなかった。

「新卒採用をもう4年続けてきて、全部営業に入れているので、どんどん人数
が増えてしまうかと思っていたら、古参の人間で何人か退職者が出て来まして。
勉強会から降ろした何人かと言えば、市川さんも分かるでしょう。彼らはほぼ
全員辞めつつありますよ。
 旧態依然の“当たり前”だと思ってきた根性営業を辞めて、お客さんのニー
ズをがっちり捉える方針に切り替えて、もう6年ですね。この方針を採ること
にデメリットはあるかと、私が聞いたら、中長期的には営業コストが逓増する
こと、ただ、短期的には方針転換について来られない中堅社員が退職する可能
性が高いこと。そう市川さんは言ってましたね。全くその通りになりましたよ。
今日は、そのことを話しておきたくて」。

 退職者が出るのは愉快なことではない。勉強会の場を使って新方針を執拗に
浸透させる努力はしている。しかし、学ぶことも変わることもあまりに面倒で、
従前の思考や行動のパターンを捨てることができない人々も少なからず存在す
る。彼らは、本音とは別の理由を言い募って、勉強会に背を向け、そして多く
の場合、組織にも背を向ける。

 何かで読んだ、プランク定数で高名なマックス・プランクが言ったとされる
言葉を思い出す。二つの世界大戦の時代のドイツに留まって、家族が戦争や思
想によって死んで行く中、当時の混迷の物理学に量子力学の道を開いた彼の言
葉。
「新しい科学の真理が勝利を収めるのは、反発する人々が納得し、その真理を
理解するからではなく、彼らが最終的に死に絶え、その真理に慣れ親しんだ新
しい世代が育つからだ」。

 女子高生までが学ぶとされるドラッカーの教えには、少々手垢が着いてしま
ったのか、最近はネットや経済誌などで、シュンペーターの言葉らしい「イノ
ベーション」が喧伝されている。社会や経済はどうか知らないが、組織には確
かにイノベーションが必要だと思う。機動性が最も効果的な差別化ポイントで
ある中小零細企業などなおさらだ。

 多くのイノベーション論では、変革の必然性と輝かしい未来が無邪気に語ら
れている。しかし、夥しい死に絶えるべき人々の発生については、あまり語ら
れていない。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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次号予告:
第397話 『凡庸の手前』 (8月10日発行) 
「いい人だ」や「悪い人ではない」は、多くの場合、低い評価の言い換えでし
かありません。ビジネスにおいて、そのような人々の辿り着く場所を、或る異
業種交流会の話から考えてみました。

(完)