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経営コラム SOLID AS FAITH 第359号
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新年明けましておめでとうございます。第359話をお届けします。
このコラムも、今年の10月末日が来ると16年続いたことになります。今年頂
戴した年賀状でも、「ソリアズを毎号楽しみにしています」とのコメントを幾
つか頂戴しております。ご愛読に心より御礼申し上げます。
独立してから15年。弊社の仕事の枠は、お客様の個別の状況と個別のご要望
に応じる形で、ありとあらゆるバリエーションを追加することで、拡大し続け
て参りました。お蔭様で、手練手管の幅が広がり、やっていること自体の事例
を紹介するだけでは、何屋であるのかが全く説明できなくなってしまいました。
何をするのかではなく、どんな問題が解決できるのかと言う視点で、自分の事
業を説明できるようにしようと考えております。
毎年恒例の大判寒中見舞いの内容は、中小零細組織の現場力向上を切り口に
まとめてみました。昨今の経営学で言われる“創発型組織”を中小零細企業で
実現するステップについて簡単にまとめてみた内容となっています。今年も
250通あまりを接点のあった方々などを中心にお届けする予定です。ご希望の方
は、是非、メールにてご一報下さい。
何やら物騒なタイトルの2015年第一号は、私が2013年初夏に見て、仕事のあ
り方についていろいろと考えさせられた映画の話です。有名なラーメン店『大
勝軒』が如何に続けられ、如何に消えたかが描かれています。字数の許す範囲
であらすじも書き込みましたので、人生における仕事の位置付けの一つの形に
ついて、一緒に御一考賜れれば幸いです。本文に対するご意見・ご感想をお待
ちしております。頂戴したご感想などへのお返事の目標納期は5営業日!!
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その359:呪われた仕事
浅黒い彼の額には暑くもないのに汗が滲んでいた。ラーメン好きで有名な彼
に知り合って5年。クライアント企業の私の案件とは関係ない部署の人物。渋
谷の喫茶店で話を聞く。痛風が悪化し歩くことも儘ならなくなり、長期入院の
ため、職を捨てるらしい。明らかに世帯収入がダウンするこの選択。家族はど
う見ていたのか、関心が湧いた。
「市川さんは病気に色々と詳しいじゃないですか。これからもお付き合いお願
いしますよ。もし良かったら、たまに見舞いに来て、旨いラーメン屋に行った
話とか、聞かせてください。なんか、目標もてたほうが早く退院できそうな気
がして」と彼は言う。
長蛇の行列で有名なラーメン店店主の、引退直後までの半生を描いたドキュ
メンタリー映画『ラーメンより大切なもの 東池袋 大勝軒 50年の秘密』を思
い出した。
主人は、26歳のときに自分の店を持ち、同郷の従兄弟で同じ年齢の妻と二人
で切り盛りし、味の探求を重ねて、行列のできる店を作り上げた。40歳。長時
間の立ち仕事で両足に静脈瘤ができて初めての長期休業。暗転は52歳の時。妻
が突如倒れ末期がんと判明。一ヵ月後に急逝。休業したが、お客がシャッター
に貼った言葉を見て再開。店舗の上にある、夫婦二人で過ごした部屋はその後
一切開かず、厨房器具の位置まで変えないままに、毎日決まった営業を機械の
ように繰り返し始める。
2002年68歳。手の指、膝の関節の軟骨が悉く摩耗し激痛が止まらなくなる。
肥満が酷く歩行も困難になった。減量もせず、コンビニ弁当を食べ続け、店の
丸椅子の上に板を載せて寝るのを止めず営業を続けた。奇跡も何も起きず、と
うとう、血流の悪い足が堅く腫れ上がり、靴下さえ自分で履けなくなる。さら
に、体液が足の皮膚から染み出始め、肥満と血行不良で呼吸も困難になり、眠
ることもできず、倒れるまでにさらに二年。
この映画を見た知人は、「職業人の生き様は壮絶だね」と笑って言った。お
客様の期待に一生を捧げたように見えたらしい。店主には、特に長蛇の行列に
感謝しているフシが見えない。お客さんに向ける笑顔とは裏腹に、毎日機械の
如く、全く同じ作業を繰り返す。妻を気遣うこともできず死に追いやってし
まった自分を、その“日常”と言う牢獄に閉じ込め、終身刑を自分に科した様
な生き様に見える。他にできることも思いつかない。恋愛結婚でもなく、親戚
づきあいの中で自分を選んでくれた優しき妻を死なせておいて、自分だけ助か
りたいと思わなかったのだと、私には思えて仕方がない。
「旨いラーメンは、もしかして命の味がするんじゃないですか。ハーズバーグ
の動機付け要因は、人を仕事に駆り立てるじゃないですか。その中の“責任”
には、強烈な良心の呵責も含まれているって、初めて気づきましたよ」。
ラーメン好きの彼に大勝軒の話をして、よたよたとした後姿を私は見送った。
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映画『ラーメンより大切なもの 東池袋 大勝軒 50年の秘密』
映画感想ブログ『脱兎見!東京キネマ』での感想はこちらから。
http://tales.msi-group.org/?p=607
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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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【MSIグループからのPR】
今年も恒例の大判寒中見舞い 発送作業進行中!
社長、創業から何年経ちましたか?
創業以来、社長の仕事は増えるばかりで、
このままでは、いつまでも、どこまでも
楽にならないのではありませんか?
これからも、それでいいのですか?
今回のテーマは、「自発的に行動する社員で組織を満たす!」
社員の数が、10人になり、20人になり、どんどん増えてきても、
社員が自発的に働くようにならなければ、
経営者は何年経とうと、まったく楽になりません。
社員が自発的に働く組織。
昔ながらの日本的経営では「現場力の高い組織」です。
そして、最近では「創発型組織」などと呼ばれています。
そんな組織の作りかたの大筋を、分かりやすくまとめてみました。
弊社恒例大判寒中見舞い!
ご希望の方は、メールにて、
会社名・会社所在地・お役職・ご氏名など、
発送に当たっての必要事項をお知らせ下さい。
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■『英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄』 ヘンリー・S・ストークス 著
■『子供はわかってあげない(上下巻)』 田島列島 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
第360話 『守成の本質』 (1月25日発行)
「創業は易く、守成は難し」と言う言葉があります。どれだけ苦労をしようと、
創業者は自分の好きな事業を勝手に始めることに変わりはありません。そので
き上がった枠を壊さぬように行なう事業承継の方が、余程困難だと言う意味で
す。その言葉を実感させる打ち合わせがあったので、ネタにしてみました。
(完)